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192話
しおりを挟むその後は、ユリと料理長の何が良いのか、について聞きながら、会話に花を咲かせていると、小さくコンコン、というノックの後に
「皇妃様、ペントミン伯爵がお見えになりました」
とジュリアが教えに来てくれましたわ。
あら、もうそんな時間になりましたのね。
久しぶりにユリとゆっくり話をして楽しかったんですが、仕方ありません。
だって、元々決まっていた予定ですもの。
「さて、行きましょうか」
と呟いて席を立つと、すかさずユリが鏡の用意をしてくれましたわ。
一応、人に会う、ということで多少は身だしなみを整えないといけませんからね。
あ、ちなみに今日のドレスは少し気を遣っていますのよ?
アルフレッド様の瞳の色を使ったドレスにアクセサリー。
もちろんアルフレッド様は私の瞳の色のアクセサリーを付けてくれるみたいですわ。
まぁ、普段はそんなことをしないんですけどね。
ライア様があまりにも異常なほどアルフレッド様に執着しているのなら、怒り狂ってくるでしょう。
なんだか楽しくなりそうですわ。
なんて思いながら、ニヤッと笑うと、鏡に笑った私が移っていたみたいでユリに
「お嬢様、久しぶりに怖い笑みになっていますよ」
と言われてしまいましたわ。
久しぶりに、だなんて失礼ですわね。
それに
「怖い笑みなんてしていませんわ。純粋に今日はどんなことが起きるのか、楽しみで仕方ないんですのよ」
と本心を言うと、ユリは大きくため息をついていますが、ジュリアは顔を少し強張らせていましたわ。
まぁ!ジュリアまでそんな顔をするなんて、傷つきますわね。
なんて思っていると、再びコンコンというノックの音が聞こえてきましたわ。
それと同時に
「シャルロット、準備は出来たのか?」
というアルフレッド様の声も聞こえてきた、ということは、迎えに来てくれましたのね。
別々で行っても良いと思ったんですが、アルフレッド様が
「何があるかわからないから念のためだ」
と聞かなかったんですの。
まぁ、心配してくれてる、ということですし、アルフレッド様よりも先に、私が到着してしまうと面倒なことになりそう、と判断して結局はお願いしたんですが。
ユリとジュリアに扉を開けてもらって部屋から出たんですが、アルフレッド様は私の姿を見るなり
「やっぱり急いで作らせた甲斐があったな」
となんだか嬉しそうに微笑みましたわ。
確かに、昨日このドレスが急に届いたので、急いだことはわかっていましたが.........
「あら、アルフレッド様はピアスだけだと思っていましたのに、刺繍も同じデザインですのね」
これは少し驚きましたわ。
まさかここまで揃えてくるなんて........。
それに、顔だけは良いのでしっかりと似合っていますわね。
なんて思っていると、私の言葉にアルフレッド様は
「まぁ、たまにはいいだろう」
とだけ言って手を差し出してくれましたが、顔が少し赤くなっていますわ。
やっぱり少し恥ずかしかった、ということじゃないですか。
まぁ、別にいいんですけどね。
部屋でお留守番、ということになっているユリに
「では行ってきますわね」
とだけ言って、部屋を後にしましたわ。
はぁ.......ライア様、一体どのような人なんでしょうか?
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