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186話

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グレン様達が居なくなった応接室では、今までの張りつめたような空気とは一変して、ふんわりとした空気が流れ始めましたわ。

今まで何を言われるか、と神経を張りつめていましたからね。

とりあえず、側室の問題も一気に解決しましたし、一安心、というところでしょうか?

私もやっとのことでお茶を飲むことが出来る、とカップを持ち上げましたが、一番おいしい温度からは完全に冷めていて、少し悲しいですわね。

なんて思っていると

「面倒ごとに巻き込んですまないな」

とアルフレッド様に言われましたわ。

巻き込んで、って......それを言ったらこの国に来てからずっと面倒事ばかりですわよ。

そろそろゆっくりしたいんですが、いつになることやら......。

とりあえずアルフレッド様には

「まぁ、仕方のないことですわ。それよりも、なぜグレン様をあんなにも恐れていましたの?」

と聞いてみることにしましたの。

だって、あまりにも様子がおかしかったですわよね?

しかも、アルフレッド様だけではなく、あのサーラ様達の様子すらも。

ということは、相当グレン様が何かをやらかした、としか考えられませんのよ。

なんて思いながらアルフレッド様の言葉を待つと

「前にも言っただろう.......奴はサーラとの関係を知った時に、相当暴れた、と.........」

大きくため息をつきながら、一気にそう吐き出しましたわ。

まぁ、確かに聞いたことがありますわね。

サーラ様の婚約者は相当惚れ込んでいて、前にも散々な目に遭った、と。

ですが、その内容だけではここまで怖がる意味が分かりませんのよね。

ですが、なかなか話したがらないアルフレッド様に無理やり聞いても良いものか......と思いながらも、内容が気になる私は、何も言わずにただただジッとアルフレッド様を見つめてみましたわ。

すると、そんな私の視線に気付いたのか、隠すのも観念したのかアルフレッド様はポツリ、と一言

「前に殺されかけたんだ..........」

とだけ言って、それ以外は何も話してくれませんでした。

なるほど..........殺されかけた、ですか。

確かに殺されたんだ、とか言っておきながら今こうやって存在するのもおかしい話なので、かけた、っていうのが正しいですが.......。

王族を殺そうだなんて、ヘタしたら自分も処刑になるくらいのことですわよね?

それなのに、グレン様はよく貴族のままでいますわね。

そう思った私は、それに関しても聞きたい、と思いましたが流石にそれ以上聞くのは可哀そうかな、と思って

「では、いまだにそれが忘れることが出来ずに恐れている、ということですのね?」

と言って苦笑すると、アルフレッド様も

「.........笑いたければ笑えばいい」

なんて言って拗ねてしまいましたわ。

まぁ、思いっきり笑えるような内容だったら笑いましたわよ。

ですが、思った以上にやりすぎだ、ということで苦笑だけで終わりますわ。

少し拗ねてしまっているアルフレッド様に

「まぁ、いいですわ。とにかく、残りの手紙を読んでしまいましょうか」

そう言って席を立つと

「そうだな」

とアルフレッド様も席を立ちました。

さて、楽しみにしていたペントミン伯爵の手紙ですわ。

やっと読めるんですから面白い内容じゃなかったら最悪ですわね。
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