187 / 314
186話
しおりを挟む
グレン様達が居なくなった応接室では、今までの張りつめたような空気とは一変して、ふんわりとした空気が流れ始めましたわ。
今まで何を言われるか、と神経を張りつめていましたからね。
とりあえず、側室の問題も一気に解決しましたし、一安心、というところでしょうか?
私もやっとのことでお茶を飲むことが出来る、とカップを持ち上げましたが、一番おいしい温度からは完全に冷めていて、少し悲しいですわね。
なんて思っていると
「面倒ごとに巻き込んですまないな」
とアルフレッド様に言われましたわ。
巻き込んで、って......それを言ったらこの国に来てからずっと面倒事ばかりですわよ。
そろそろゆっくりしたいんですが、いつになることやら......。
とりあえずアルフレッド様には
「まぁ、仕方のないことですわ。それよりも、なぜグレン様をあんなにも恐れていましたの?」
と聞いてみることにしましたの。
だって、あまりにも様子がおかしかったですわよね?
しかも、アルフレッド様だけではなく、あのサーラ様達の様子すらも。
ということは、相当グレン様が何かをやらかした、としか考えられませんのよ。
なんて思いながらアルフレッド様の言葉を待つと
「前にも言っただろう.......奴はサーラとの関係を知った時に、相当暴れた、と.........」
大きくため息をつきながら、一気にそう吐き出しましたわ。
まぁ、確かに聞いたことがありますわね。
サーラ様の婚約者は相当惚れ込んでいて、前にも散々な目に遭った、と。
ですが、その内容だけではここまで怖がる意味が分かりませんのよね。
ですが、なかなか話したがらないアルフレッド様に無理やり聞いても良いものか......と思いながらも、内容が気になる私は、何も言わずにただただジッとアルフレッド様を見つめてみましたわ。
すると、そんな私の視線に気付いたのか、隠すのも観念したのかアルフレッド様はポツリ、と一言
「前に殺されかけたんだ..........」
とだけ言って、それ以外は何も話してくれませんでした。
なるほど..........殺されかけた、ですか。
確かに殺されたんだ、とか言っておきながら今こうやって存在するのもおかしい話なので、かけた、っていうのが正しいですが.......。
王族を殺そうだなんて、ヘタしたら自分も処刑になるくらいのことですわよね?
それなのに、グレン様はよく貴族のままでいますわね。
そう思った私は、それに関しても聞きたい、と思いましたが流石にそれ以上聞くのは可哀そうかな、と思って
「では、いまだにそれが忘れることが出来ずに恐れている、ということですのね?」
と言って苦笑すると、アルフレッド様も
「.........笑いたければ笑えばいい」
なんて言って拗ねてしまいましたわ。
まぁ、思いっきり笑えるような内容だったら笑いましたわよ。
ですが、思った以上にやりすぎだ、ということで苦笑だけで終わりますわ。
少し拗ねてしまっているアルフレッド様に
「まぁ、いいですわ。とにかく、残りの手紙を読んでしまいましょうか」
そう言って席を立つと
「そうだな」
とアルフレッド様も席を立ちました。
さて、楽しみにしていたペントミン伯爵の手紙ですわ。
やっと読めるんですから面白い内容じゃなかったら最悪ですわね。
今まで何を言われるか、と神経を張りつめていましたからね。
とりあえず、側室の問題も一気に解決しましたし、一安心、というところでしょうか?
私もやっとのことでお茶を飲むことが出来る、とカップを持ち上げましたが、一番おいしい温度からは完全に冷めていて、少し悲しいですわね。
なんて思っていると
「面倒ごとに巻き込んですまないな」
とアルフレッド様に言われましたわ。
巻き込んで、って......それを言ったらこの国に来てからずっと面倒事ばかりですわよ。
そろそろゆっくりしたいんですが、いつになることやら......。
とりあえずアルフレッド様には
「まぁ、仕方のないことですわ。それよりも、なぜグレン様をあんなにも恐れていましたの?」
と聞いてみることにしましたの。
だって、あまりにも様子がおかしかったですわよね?
しかも、アルフレッド様だけではなく、あのサーラ様達の様子すらも。
ということは、相当グレン様が何かをやらかした、としか考えられませんのよ。
なんて思いながらアルフレッド様の言葉を待つと
「前にも言っただろう.......奴はサーラとの関係を知った時に、相当暴れた、と.........」
大きくため息をつきながら、一気にそう吐き出しましたわ。
まぁ、確かに聞いたことがありますわね。
サーラ様の婚約者は相当惚れ込んでいて、前にも散々な目に遭った、と。
ですが、その内容だけではここまで怖がる意味が分かりませんのよね。
ですが、なかなか話したがらないアルフレッド様に無理やり聞いても良いものか......と思いながらも、内容が気になる私は、何も言わずにただただジッとアルフレッド様を見つめてみましたわ。
すると、そんな私の視線に気付いたのか、隠すのも観念したのかアルフレッド様はポツリ、と一言
「前に殺されかけたんだ..........」
とだけ言って、それ以外は何も話してくれませんでした。
なるほど..........殺されかけた、ですか。
確かに殺されたんだ、とか言っておきながら今こうやって存在するのもおかしい話なので、かけた、っていうのが正しいですが.......。
王族を殺そうだなんて、ヘタしたら自分も処刑になるくらいのことですわよね?
それなのに、グレン様はよく貴族のままでいますわね。
そう思った私は、それに関しても聞きたい、と思いましたが流石にそれ以上聞くのは可哀そうかな、と思って
「では、いまだにそれが忘れることが出来ずに恐れている、ということですのね?」
と言って苦笑すると、アルフレッド様も
「.........笑いたければ笑えばいい」
なんて言って拗ねてしまいましたわ。
まぁ、思いっきり笑えるような内容だったら笑いましたわよ。
ですが、思った以上にやりすぎだ、ということで苦笑だけで終わりますわ。
少し拗ねてしまっているアルフレッド様に
「まぁ、いいですわ。とにかく、残りの手紙を読んでしまいましょうか」
そう言って席を立つと
「そうだな」
とアルフレッド様も席を立ちました。
さて、楽しみにしていたペントミン伯爵の手紙ですわ。
やっと読めるんですから面白い内容じゃなかったら最悪ですわね。
1
お気に入りに追加
5,332
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。
とうや
恋愛
「私はシャーロットを妻にしようと思う。君は側妃になってくれ」
成婚の儀を迎える半年前。王太子セオドアは、15年も婚約者だったエマにそう言った。微笑んだままのエマ・シーグローブ公爵令嬢と、驚きの余り硬直する近衛騎士ケイレブ・シェパード。幼馴染だった3人の関係は、シャーロットという少女によって崩れた。
「側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります」
********************************************
ATTENTION
********************************************
*世界軸は『側近候補を外されて覚醒したら〜』あたりの、なんちゃってヨーロッパ風。魔法はあるけれど魔王もいないし神様も遠い存在。そんなご都合主義で設定うすうすの世界です。
*いつものような残酷な表現はありませんが、倫理観に難ありで軽い胸糞です。タグを良くご覧ください。
*R-15は保険です。
私が死んだあとの世界で
もちもち太郎
恋愛
婚約破棄をされ断罪された公爵令嬢のマリーが死んだ。
初めはみんな喜んでいたが、時が経つにつれマリーの重要さに気づいて後悔する。
だが、もう遅い。なんてったって、私を断罪したのはあなた達なのですから。
愛すべきマリア
志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。
学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。
家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。
早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。
頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。
その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。
体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。
しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。
他サイトでも掲載しています。
表紙は写真ACより転載しました。
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
選ばれたのは私以外でした 白い結婚、上等です!
凛蓮月
恋愛
【第16回恋愛小説大賞特別賞を頂き、書籍化されました。
紙、電子にて好評発売中です。よろしくお願いします(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾⁾】
婚約者だった王太子は、聖女を選んだ。
王命で結婚した相手には、愛する人がいた。
お飾りの妻としている間に出会った人は、そもそも女を否定した。
──私は選ばれない。
って思っていたら。
「改めてきみに求婚するよ」
そう言ってきたのは騎士団長。
きみの力が必要だ? 王都が不穏だから守らせてくれ?
でもしばらくは白い結婚?
……分かりました、白い結婚、上等です!
【恋愛大賞(最終日確認)大賞pt別二位で終了できました。投票頂いた皆様、ありがとうございます(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾⁾応援ありがとうございました!
ホトラン入り、エール、投票もありがとうございました!】
※なんてあらすじですが、作者の脳内の魔法のある異世界のお話です。
※ヒーローとの本格的な恋愛は、中盤くらいからです。
※恋愛大賞参加作品なので、感想欄を開きます。
よろしければお寄せ下さい。当作品への感想は全て承認します。
※登場人物への口撃は可ですが、他の読者様への口撃は作者からの吹き矢が飛んできます。ご注意下さい。
※鋭い感想ありがとうございます。返信はネタバレしないよう気を付けます。すぐネタバレペロリーナが発動しそうになります(汗)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる