皇妃になりたくてなったわけじゃないんですが

176話

アルフレッド様が差し出してきた手紙を見ると、どうやら中は見ていないみたいですわね。

手紙の入った封筒はまだ綺麗なままですわ。

てっきり気になって先に見るものだと思っていたので以外ですわね。

サーラ様の手紙はすぐに開けていたのに何か理由でもあるんでしょうか？

なんて思いながらアルフレッド様を見ると

「なんだ？」

と訝しげに聞かれてしまいました。

あら、少し見つめすぎましたわね。

まさかそのような顔をされるとは思いませんでしたわ。

なんて思いながらアルフレッド様に

「なんでもありませんわ」

とだけ言うと、不思議そうな顔をしていましたが、慣れた手つきでゆっくりとペーパーナイフで手紙を開け始めました。

封筒に書いてある字を見ると、ブリントン侯爵からの手紙とは違ってとても綺麗な字で書かれてありますわね。

まぁ、封筒だから、かもしれませんが、とても綺麗な字ですわ。

字からも気品が伝わってくるような、そんな感じがします。

後は手紙の内容、ですわね.......。

なんて思っていると、アルフレッド様が手紙を読み始めましたが、サーラ様の時の反応とは違って、ただただ無表情で手紙を読み進めていますわ。

うーん.......これは、どのような反応なんでしょう？

特に変なことも書いていない、一般的な手紙だ、ということなのか、反応に困るほど他愛のない話題が書かれている手紙なのか.........。

どちらにしても、特に反応することもないような内容だ、ということですわよね。

そう思いながらアルフレッド様が手紙を読むのを待っていると、わずか2分ほどで、スッと私の前に手紙を差し出してきましたわ。

これには反射的に

「あら？随分と早いですわね」

と私が言うとアルフレッド様は

「まぁ、なんというか......あの手紙の後だから普通過ぎて拍子抜けしてしまってな」

なんて苦笑しています。

あらあら、普通だったんですのね。

それが一番良いことですが.........。

ここ最近は問題のありすぎる手紙しかこなかったので感覚がマヒしている可能性もありますわ。

アルフレッド様が気付いていないだけで、多少は何かしらの問題発言があると思いますが.......。

なんて思いながらアルフレッド様から受け取ったばかりの手紙を読みましたわ。

内容としては.........そうですわね。

普通、と言ってもいいんでしょうか？というのが私の感想ですわ。

長々と面倒な言い回しをしていましたが、大体の内容は

「アルフレッド様のことが本当に好きで、貴方のことを忘れたことなんて1日たりともありません。貴方と私の子供は今も元気にすくすくと育っています。早く父親だと教えてあげたいです」

という愛のこもったラブレターですわね。

ちなみにDNA鑑定のことについては何も触れてこない、ということはサーラ様と同じですわ。

それほどまでに検査されたくない、ということで合いの告白をして誤魔化そう、という魂胆かしら？

これが普通だ、というアルフレッド様の神経を疑ってしまいますわね。

私的には結構、衝撃的な内容なんですが。