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159話

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こうする、と決めたものの、証拠がないと信じてもらえるか、というところもありますからね。

今、王族に対しての信用があまりないですから、そんな状況で何かを言っても自分の娘のことを信じてしまうのでは?と危惧しているんでしょう。

それに、あの2人の家は中立派です。

今回の対応次第では、反対派の方に入ってしまう可能性だってありますわ。

だからこそ、候補から落とされた理由をしっかりと伝えないといけませんわね。

そう思いながら、パンパン、と手を叩くと

「お嬢、呼んだ?」

なんて言いながら上からリンが降りてきましたわ。

相変わらず音もなく現れますわね。

アルフレッド様は慣れていないので驚いた顔のまま固まってしまっていますわ。

あまりにもアホ面しているものですから思わず笑いそうになってしまいますが、ぐっと堪えて

「リン、あの調査の時の......残っているかしら?」

と尋ねてみました。

一応、保管するように、とは言ってありますが、色んなところに行っている間になくなっている可能性もありますからね。

実際に、何度かそのようなことがありましたし。

そう思いながら尋ねると

「ある。ロンが持ってるから貰ってくる」

と言って、リンは再び姿を消しましたわ。

誰も居なくなってしまった天井に、一応

「えぇ、お願いね」

と声をかけたんですが、多分聞こえていないでしょうね。

仕方ないですわ。

なんて思っていると、アルフレッド様はいまだに消えたリンに驚きながらも

「あの調査、ってなんだ?」

と私に聞いてきましたわ。

アルフレッド様にも報告していたのに、なんだか意味深な言い方をしてしまいましたわね。

普通に言えばよかったですわ。

と少し反省しながら

「あの3人が何をしているのかリンたちに調べてもらっていたんですわ」

そう言って苦笑すると

「そういえば言っていたな。だが調査書くらいでは偽造したと思われてしまうぞ」

アルフレッド様はそう言って、大きくため息をつきましたわ。

確かに、調査書だけでは弱いですわね。

私もそれはわかっていますわ。

だからこそ、リンに持ってくるように頼みましたのよ。

そう思いながら、

「いえ、もっとしっかりとしたものですわよ」

とだけ言って、リンが来るのを待とうとしていると、この短い会話のうちに

「持ってきた」

またリンが上からシュンっと音を立てて現れましたわ。

相変わらず早いですわね。

これにはアルフレッド様も

「随分と早いんだな.........」

と苦笑していますわ。

まぁ、動くのが遅かったら私に何かあったら動けませんからね。

それに、暗殺部隊にいたのに動きが遅かったらすぐに捕らえられてしまいますわ。

......といっても、アルフレッド様は2人が暗殺部隊にいたことは知らないんですけどね。

教えても良いんですが、国から刺客を送ってきた、何て思われても嫌ですし。

そう思いながら

「さて、これは私が持っている証拠ですわ」

と言って、リンが持ってきてくれた証拠をアルフレッド様に差し出しましたわ。
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