皇妃になりたくてなったわけじゃないんですが

156話

候補4人が無事に.......と言って良いのかわかりませんが、帰宅した次の日、メイド達は忙しそうに片付けに追われていますわ。

私は、というと、今日の分の仕事があまり多くなかったので、カーラと一緒に片付けがどこまで進んでいるのか確認に来ましたの。

部屋の掃除と加えて、普段の仕事もあるのでメイド達は朝からバタバタと走り回っているんですのよね。

まず最初に、フェンダ様の部屋の前を通りかかると私の姿に気付いたメイドが

「皇妃様、ディアナ様のお部屋なんですが..........」

と話しかけてきましたわ。

ディアナ様の部屋、というと私もあの悲惨な状況は把握していますわね。

流石にあれを一日で片付けるのはカーラでも無理ですわ。

そう思った私は、メイドに

「あそこは散らかっているし、荷物を片付けたら後回しで良いですわ」

と言って苦笑すると

「わかりました！」

と元気に返事をしてメイドがまた忙しそうに部屋の中に入っていきましたわ。

元々散らかしていない人達の部屋は大体、片付いていますわね。

これだったらディアナ様の部屋以外、今日中に終わりそうですわ。

なんて思っていると、今度はさっきとは違うメイドが

「皇妃様、ミーフィア様が使っていた部屋の掃除が終わったので確認してもらっても良いですか？」

と言いに来ましたわ。

多分、私が来たから部屋の確認をしに来た、と思ったんでしょうね。

ですが、メイド達がこんなにも頑張ってやっているのを見たら、私の確認なんて必要ないと思いますわ。

なので

「確認なんて必要ないわ。だって皆しっかりとやってくれているもの」

そう言って微笑むと、まさかそんな返事が返ってくると思っていなかったメイドは驚いた顔をしながら

「皇妃様........」

と呟いていますわ。

そんなメイド達に

「あ、だからと言って手を抜いたりして、後でわかったらもっと怒られますわよ。心配だったらメイド長に確認してもらって」

というと

「「はいっ！」」

と元気な返事が返ってきましたわ。

なんだかディアナ様たちがいた時よりも元気ですわね。

多分、相当嫌な思いをしていたんでしょう。

速めに候補の期間を切り上げて正解でしたわ。

なんて思いながら部屋を見ていくと、一番奥の、ジュリアの部屋だった場所が見えましたわ。

中ではジュリアが1人で忙しそうに動いていますわね。

頑張っているみたいで安心しましたわ。

そう思いながら、中にいるジュリアに

「ジュリアは終わったかしら？」

と声をかけると

「皇妃様......もう少し時間がかかります」

申し訳なさそうにそう言ったジュリアになんだか申し訳なく感じますわね。

なんだか私が急かしているみたいになってしまいましたわ。

なので、ジュリアに

「そう、今日は予定もないしゆっくりでいいですわ」

と言って微笑むと苦笑が返ってきましたわ。

たぶん、ジュリアのことですから自分の部屋が一番片付いている、と思っていたのに、思った以上にやることが多くて..........っていうところでしょうか？

と思っていると、案の定

「掃除ってこんなに大変だったんですのね。メイド達の仕事を甘く見ていましたわ」

なんだか悔しそうに唇を噛みしめていますわ。

うーん......そもそも、まだ入ったばかりのジュリア1人で一室の掃除をさせる、というのも間違いなんですけどね。

ですが、メイドの人ても足りていませんし..........。

メイドの人数を増やした方が良いかもしれませんわね。

なんて思いながら

「そうは言っても、ジュリアだって毎日覚えることがあって大変なのに頑張っているじゃない。最初から全部できる人なんていませんわ」

そう言って微笑みましたわ。

これは私が毎日のように思っていることですわ。

ジュリアのことは毎日のように話題にあがるので、今日の様子を聞いたりするんですが、早く慣れさせるためなのか、手持ち無沙汰にならないようにするためなのか、その日によって教えることが違いますのよね。

ジュリアのメモ帳がどんどん埋まっていってる、とユリが苦笑しながら教えてくれましたわ。