145 / 314
144話
しおりを挟むため息をつきながらさっきまでの出来事を話すアルフレッド様は本当に疲れ切っているみたいで、目に生気を失ってしまっていますわ。
そんなアルフレッド様に
「リリアン様も本来は気が強めの人ですからね。暴言なんて今まで吐かれることがなかったので、大変でしたでしょう?」
と苦笑をすると
「まぁ、暴言くらい予想は出来ていたからどうってことない。ただ、一番厄介なのは想像通りディアナ嬢だった」
アルフレッド様はそう言って、今までの2人の時には見せなかった表情をしていますわ。
強張っている、といいますか、思い出すだけで恐怖を感じる、という感じでしょうか?
そう思いながら
「あら?3人とも同様に面倒な人達でしたが、その様子ではディアナ様が断トツでしたのね」
と私が言うと
「あぁ.......話していて気が滅入るというか........」
そう言ってため息をついた後に、話し始めました。
ーーーーーーーーーーーーー
さて、ディアナ様なんですが、部屋の外から見たときは、他の2人と違って静かだったんですって。
なので、ためらいもなくコンコン、と扉をノックしたみたいなんですが、少し待ってみても返事もなく、物音もしなかったので、アルフレッド様は諦めて部屋から出たのか?と思ったみたいですわ。
ですが、念のために
「入るぞ」
と言って部屋の中を確認しようと開けると、そこにはリリアン様同様、暴れた後の散らかった部屋が。
ただ、リリアン様は近くにあるものを放り投げたんだろう、という散らかり方でしたが、ディアナ様は部屋にあるものをナイフを使ってボロボロにしていたみたいなんですの。
なので、ディアナ様の手にはしっかりとナイフが握られて、部屋の真ん中で立ち尽くしていたみたいですわ。
想像するだけでも恐ろしいですわね。
それに、聞いた話によると、布団もカーテンまでもがボロボロだったみたいですわ。
ただ、自分で持ってきたドレスは綺麗なままだったらしいですが.......。
嫌な性格していますわよね。
異様な光景を見たアルフレッド様は、ディアナ様に
「何をしているんだ!?」
と反射的に声をかけると
「あ、殿下ぁ~。来てくれましたのね」
そう言って振り返ったディアナ様に物凄い恐怖を感じたみたいですわ。
ナイフを持ってニッコリと微笑んで振り返る........確かに誰が見ても恐怖ですわね。
そんな中、アルフレッド様は恐怖心を悟られないように、と気を付けながら
「とりあえず、そのナイフを置け。それから、ディアナ嬢が破いたものは全て家の方に請求するからな」
となるべく冷静にディアナ様に声をかけると
「えぇ~?別に皇妃になる私がやったことなんだから、良いじゃないですかぁ」
そう言ったときのディアナ様は、普段のディアナ様だとは思えない顔をしていたみたいです。
それを不審に思ったアルフレッド様は、何かおかしいと、部屋の中を見渡すと机の上にはワインのボトルが2本。
つまり、早く出ていくように、と話をした後にディアナ様はお酒を飲んでいた、ということですわね。
しかもそんな短時間で、1人で2本も空けたら酔っ払うに決まっていますわよね。
ボトルに気付いたアルフレッド様ですが、なんとか話をしようと
「何を言っているんだ?皇妃はユーフェミアだ。それは変わらない」
とディアナ様に言うと、急に顔つきが変わって
「なんで!?私のことを愛していると言っていたじゃないですか!」
そう言って、ナイフを振り回しながら暴れていたみたいですわ。
なんでしょう......さっきの2人は同じ言葉を繰り返しているので時間がかかったみたいですが、ディアナ様に関しては行動がおかしすぎて、こっちまで気が滅入りますわ。
2
お気に入りに追加
5,332
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
王太子さま、側室さまがご懐妊です
家紋武範
恋愛
王太子の第二夫人が子どもを宿した。
愛する彼女を妃としたい王太子。
本妻である第一夫人は政略結婚の醜女。
そして国を奪い女王として君臨するとの噂もある。
あやしき第一夫人をどうにかして廃したいのであった。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。
とうや
恋愛
「私はシャーロットを妻にしようと思う。君は側妃になってくれ」
成婚の儀を迎える半年前。王太子セオドアは、15年も婚約者だったエマにそう言った。微笑んだままのエマ・シーグローブ公爵令嬢と、驚きの余り硬直する近衛騎士ケイレブ・シェパード。幼馴染だった3人の関係は、シャーロットという少女によって崩れた。
「側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります」
********************************************
ATTENTION
********************************************
*世界軸は『側近候補を外されて覚醒したら〜』あたりの、なんちゃってヨーロッパ風。魔法はあるけれど魔王もいないし神様も遠い存在。そんなご都合主義で設定うすうすの世界です。
*いつものような残酷な表現はありませんが、倫理観に難ありで軽い胸糞です。タグを良くご覧ください。
*R-15は保険です。
私が死んだあとの世界で
もちもち太郎
恋愛
婚約破棄をされ断罪された公爵令嬢のマリーが死んだ。
初めはみんな喜んでいたが、時が経つにつれマリーの重要さに気づいて後悔する。
だが、もう遅い。なんてったって、私を断罪したのはあなた達なのですから。
愛すべきマリア
志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。
学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。
家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。
早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。
頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。
その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。
体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。
しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。
他サイトでも掲載しています。
表紙は写真ACより転載しました。
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる