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142話

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アルフレッド様にお願いをして4時間が経過しました。

私は予定通り自分の部屋で、久しぶりにゆっくりとした時間を過ごしていますわ。

はぁ.......それにしても、結構時間がかかりますのね。

流石のアルフレッド様でもあの3人の相手は難しかったでしょうか?

そう思っていると、コンコン、と扉をノックする音が聞こえてきましたわ。

「どうぞ」

と返事をすると、そこに立っていたのはアルフレッド様で、なんだか疲れているのかボロボロになっていますわ。

一体この4時間で何がありましたの?

そう思ってとりあえず部屋の中に入れて

「お疲れ様ですわ」

と苦笑すると

「まさかあんなにも話が伝わらないとは思わなかった.........」

と言って話を始めました。

これはアルフレッド様から聞いた話なので、詳しくはわかりませんが、大体の話の流れはこんな感じだったんだとか。




ーーーーーーーーーーーーーーーーー

まず初めに、一番爵位の低いフェンダ様の部屋に行ってみたんだとか。

アルフレッド様がコンコン、と扉をノックすると

「うるさいわ!出ていかないって言っているじゃない!」

という叫び声から話し合いが始まりました。

フェンダ様の叫び声に、やっぱり追い出すのは諦めようかとも思ったアルフレッド様ですが意を決して

「俺だ。なぜ候補期間が終わったのに出ていかない?家に帰れるんだぞ」

と、まずは優しく扉に声をかけてみたらしいです。

すると、アルフレッド様が来た、とわかった瞬間、今まで開かなかった扉が急に凄い勢いで開いて

「こ、皇帝様!?」

と驚きと、嬉しさと入り交ざったような顔をしたフェンダ様が出て来たみたいですわ。

そして

「皇帝様ぁ~!会いたかったですぅ!」

と言いながら部屋に入らせようと必死に腕を引っ張るフェンダ様に

「今はそういう話をしに来たのではない。なぜ家に帰らない?」

アルフレッド様は至って冷静に、そう尋ねてみたんですって。

意外ですわよね。

今までだったら、候補期間も終わったから契約は終わりだ、とか言って嬉しそうに部屋に行きそうな人ですのに。

話を戻しますわね。

フェンダ様は、まさかアルフレッド様にまで帰れと言われるとは、と驚きながらも必死に体をくっ付けて

「だって、家に帰ったら皇帝と会えなくなっちゃうじゃないですかぁ」

と言ってきたみたいですが、アルフレッド様は必死に耐え、最終的に

「あ!そうだ!皇帝からも皇妃にお願いしてくださいよぉ!私を側室にして、って!」

と言ってきたみたいですわ。

でもアルフレッド様は

「悪いがそれは出来ない。それに皇妃が良いって言っても、俺はお前が側室になるのを賛成しない」

とハッキリとフェンダ様に対して断ったみたいなんです。

簡単に説明していますが、ここまで来るのに約30分はかかったみたいですわ。

何を言っても側室にはしてくれないアルフレッド様に対して最後には

「な、なんでですかぁ!あんなに好きって言ってくれたじゃないですかぁ」

「はぁ!?俺はお前に好きだとか言ったことはない!」

「忘れたんですかぁ!?ひどぉぉぉぉい!」

という感じのやり取りを20分。

流石にもう限界を感じたアルフレッド様が

「とにかく、さっさと家に帰れ。後30分で出ていかないかったら兵士を使って追い出すぞ!」

という言葉を言い残して、とりあえず部屋の前を逃げるように立ち去ったらしいです。


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