皇妃になりたくてなったわけじゃないんですが

140話

その後、ミーフィア様入っていた通りすぐに王宮を後にしましたわ。

家に戻ってからすぐにでも、自分の意思を伝えてみる、と言っていましたが、凄く晴れやかな笑顔で戻っていきました。

本来なら側室に慣れなかったんですから、暗い顔をして立ち去るものですが、なんだかこっちまで元気をもらったような気がしますわ。

ミーフィア様の乗る馬車を見送りながら

「行ってしまいましたわね」

と呟くと、メイド長も

「そうですね」

となんだか寂しそうです。

メイド達との仲良くしていたと聞きましたから、きっと他のメイド達もミーフィア様の見送りに来たかったでしょうね。

見送りに行くの、誘った方がよかったかしら？

なんて思いながら、メイド長に

「さて、ではあの3人をどうやって帰すかですわね」

そう言って苦笑をすると

「さっき聞いたところ、部屋から出ないと言って動かないみたいです」

怒っているのか、メイド長はため息をついていますわ。

そんなメイド長に

「まぁ！最後まで迷惑を掛けますのね」

そう言ってニッコリと笑うと、何とも言えない顔で苦笑していますわ。

まぁ、そうなることは想定内です。

こっちも急に、候補期間が終わり、と言ったんですから1日くらいなら待っても良いですわ。

ですが、あの3人ですもの。

猶予を与えたらきっと何かしらの言い訳を付けて王宮に居座り続けるに決まっていますわ。

なので、どうにかしてでも家に帰ってもらわないと........。

.....となると適任者は1人しかいませんわよね。

そう思ってメイド長に

「行きますわよ」

とだけ声をかけて執務室へと急ぎました。

あの3人をどうにかできる人、それは勿論アルフレッド様しかいませんわ。

誰の話も耳を傾けない3人ですが、なぜかアルフレッド様の話はしっかりと聞くんですのよね。

本当に面倒な3人ですわ。

そう思いながら執務室の扉をノックして

「アルフレッド様」

と中に入ると

「なんだ？」

アルフレッド様は不思議そうな顔をしてこっちを見ていますわ。

ついさっき、ミーフィア様と一緒にきたのに、また来たのか、とでも思っているんでしょうね。

なんて思いながらニッコリと微笑んで

「たった今、ミーフィア様が帰られましたわ」

と、まずはミーフィア様が帰宅した、ということを伝えましたわ。

流石に最初から面倒なことを言ったら嫌がられると思いましたし。

そう思っていると、アルフレッド様は

「あぁ、そうか.......で？それが話ではないだろう？」

と眉を顰めました。

「あら？よくわかっていますわね」

意外ですわ。

こんなにすぐバレてしまうなんて思いませんでした。

まぁ、普段から同じような流れで面倒事を話すので察してしまうのも無理ないかもしれませんが、少し残念ですわ。

なんて思いながら、改めてニッコリと微笑んでこう言いました。

「お願いしたいことがありますの」

すると、アルフレッド様の顔が強張ったのがわかりましたわ。

碌でもないお願いだ、と気付いてしまったんでしょうね。

全く......察しが悪いのも嫌ですが、良すぎるのも面白くありませんわ。