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114話
しおりを挟む珍しい組み合わせに、思わず首を傾げている間に、クリストファーお兄様は料理長によって客室に運ばれましたわ。
メイド長が運ぶことを想定して、呼びに行ってくれた、ということですわね。
ありがたいですわ。
ということで、今は食堂に私とアルフレッド様だけになりました。
酔いも回っていないようですし、今話をしてしまった方が良いと判断した私は
「ジュリア様がメイドになることになりましたわ」
とアルフレッド様に声をかけると
「だから、なんでそんなことになったんだ?」
お酒も入っているせいか同じことを2回話してしまったので苛ついていますわね。
まぁ、お酒が入っていなくても2回も同じことを言われたら、わかりましたわよ、ってなりますが。
そんなアルフレッド様に
「あら、話は覚えていてくれましたのね」
そう言ってクスッと笑うと
「そんな衝撃的なこと覚えていないわけがないだろう」
と言われてしまいましたわ。
まぁ、確かに衝撃的でしたからね。
でもしっかりと覚えていてくれて良かったですわ。
なんて思いながら、とりあえずメイド長達でも知っている経緯をアルフレッド様に伝えないわけにもいかないので、ジュリア様の今日やったことを大体ですがお話ししましたわ。
するとアルフレッド様は大きくため息をついた後に
「料理長が仕掛けた罠がなければ今頃食材が無駄になっていたんだな」
と苦い顔をしています。
ジュリア様がこんなことをするとは誰しもが思っていなかったことなので、ため息もつきたくなりますわよね。
なんて思いながら、アルフレッド様に
「えぇ、そうですわね。私も一緒に考えましたわよ?」
と少しふざけて言ってみると、物凄く真面目に
「それはわかってる」
という返事が返ってきましたわ。
全く.......つまらないですわね。
もう少し何か違った返事でもありますでしょうに。
そう思っていると、
「まぁ、それなら事情はわかった。ジュリア嬢をメイドとして雇うのを許可しよう」
と、アルフレッド様の許可が下りましたわ。
雇う、となると、アルフレッド様からの許可が必要ですからね。
もっと何か言ってくると思いましたが、思った以上にすんなり言って良かったですわ。
アルフレッド様に
「ありがとうございます」
と言ったものの、ずっと気になっていることがありますのよね。
アルフレッド様は沢山の令嬢たちを傷物にしてきた、とのことなので、やっぱりそうなんですかね?
なんて思いながらアルフレッド様を眺めていたんですが、顔に出ていたんでしょうか?
「なんだ?まだ何かあるのか」
と聞かれてしまいましたわ。
ここで何もない、と言ってしまえばいい話なんですが、少し気になってしまったので
「いえ.......ジュリア様もアルフレッド様とベットを共にしたのかな、と」
とアルフレッド様に尋ねると
「お前までそんなことを......っ」
そう言って顔を赤くしてしまいましたわ。
お前まで、というのはハーレミアに散々このようなことを聞かれたからでしょうね。
そう考えるとなんだか申し訳ないですわ。
なので
「ちょっと気になっただけですわ」
とだけ言って、この話は終わりにしました。
別に知らなくてもいいものですしね。
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