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100話
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ジュリア様の部屋から出て、リリアン様の部屋の前も通りましたが、来た時とは一変して随分と静かですわね。
朝まで起きていたので3人とも寝てしまったんでしょうね。
とても不健康な生活ですわ。
朝までお酒を飲んで、昼に寝てまた夜に出ていく......とても貴族の令嬢とは思えませんわね。
そう思いながら、調理場に今の状況を聞きに行くために廊下を歩いていると、
「皇妃様ー!」
と私を呼ぶ声が聞こえてきましたわ。
ジュリア様の時に私のことを呼びに来てくれた人ですわね。
今日だけでどれくらい走っているんでしょうね。
私に駆け寄ってきたメイドに
「ごめんなさい、探したでしょう?」
と謝ると
「いえ!これくらいどうってことないですよ!」
そう言って首と手を横にブンブン振っています。
ユリと同じくらいの年齢でしょうか?
行動が可愛らしいんですのよね。
つい、頬が緩みそうになるのをグッと堪えて
「それで、どうしました?」
と尋ねると、
「あ!夕食の準備がそろそろ終わるので味見をして欲しいと料理長が言っていました」
ということでしたわ。
私が見に行ったときには準備を始めていた段階だったのに、随分と早いですわね。
そんなに急がなくても良かったんですが。
メイドにお礼を言ってから
「思ったよりも早かったわね。では行きましょうか」
そう言うと、頷いて私の後ろをついて来てくれましたわ。
今まで下っ端として働いていたので、雑務が多いはずなのにサッと私の後ろについてくれた、ということはしっかりと周りを観察していますわね。
うーん.....この子、もっとしっかりと教えたらユリ以上の素質があると思うんですが、今度メイド長に相談してみようかしら?
、ですがそのことをユリに行ってしまうと拗ねてしまうから誰よりも、なんて言わないでおきましょう。
私が調理場に到着すると、すぐに料理長が気付いてくれて
「待ってましたよ!予定通りの順で出していくんですが、先に味見をお願いします」
そう言いながらもう小皿に味見用で盛り付けをしていますわ。
なんだか、私が来るのを首を長くして待っていたような、そんな感じですわ。
料理長から小皿を受け取りながら
「そんなことをしなくても、普段の料理が美味しいんだから心配ないのに」
と言って微笑むと料理長は少し照れながらも
「そう言ってもらえると嬉しいですね」
とはにかんでいますわ。
これは.....女性人気が出ますわ。
普段は豪快な笑い方なのに、急にそんな照れたような笑い方をするんですもの。
何人かのメイドは心を奪われているに違いありませんわ。
そう思っていると、料理人の中に、1人だけ違う服を着た、見覚えのあるひとが紛れ込んでいるのに気付きましたわ。
その人に
「あら?ユリはいつの間にここにいたの?」
と聞いてみると、なんだか気まずそうに微笑み返されましたわ。
何をしていたんでしょう?
ユリから返事が返ってこないので、思わず首を傾げていると、ユリの代わりに料理長が
「あぁ、手伝いたいって言ったからお願いしたんですよ。嬢ちゃんなら好みも完璧にわかると思って」
そう言ってユリに微笑みかけました。
するとユリは、頬を少し赤らめながら料理長を見ていますわ。
これは.......恋してしまった、というやつですか?
いや、別に反対はしませんがユリってこういう人が好みだったのね。
そう思いながら、気付かないふりをして
「そうだったのね」
と言って微笑みましたが、その間もユリは顔を赤らめたまま料理長を見つめていますわ。
朝まで起きていたので3人とも寝てしまったんでしょうね。
とても不健康な生活ですわ。
朝までお酒を飲んで、昼に寝てまた夜に出ていく......とても貴族の令嬢とは思えませんわね。
そう思いながら、調理場に今の状況を聞きに行くために廊下を歩いていると、
「皇妃様ー!」
と私を呼ぶ声が聞こえてきましたわ。
ジュリア様の時に私のことを呼びに来てくれた人ですわね。
今日だけでどれくらい走っているんでしょうね。
私に駆け寄ってきたメイドに
「ごめんなさい、探したでしょう?」
と謝ると
「いえ!これくらいどうってことないですよ!」
そう言って首と手を横にブンブン振っています。
ユリと同じくらいの年齢でしょうか?
行動が可愛らしいんですのよね。
つい、頬が緩みそうになるのをグッと堪えて
「それで、どうしました?」
と尋ねると、
「あ!夕食の準備がそろそろ終わるので味見をして欲しいと料理長が言っていました」
ということでしたわ。
私が見に行ったときには準備を始めていた段階だったのに、随分と早いですわね。
そんなに急がなくても良かったんですが。
メイドにお礼を言ってから
「思ったよりも早かったわね。では行きましょうか」
そう言うと、頷いて私の後ろをついて来てくれましたわ。
今まで下っ端として働いていたので、雑務が多いはずなのにサッと私の後ろについてくれた、ということはしっかりと周りを観察していますわね。
うーん.....この子、もっとしっかりと教えたらユリ以上の素質があると思うんですが、今度メイド長に相談してみようかしら?
、ですがそのことをユリに行ってしまうと拗ねてしまうから誰よりも、なんて言わないでおきましょう。
私が調理場に到着すると、すぐに料理長が気付いてくれて
「待ってましたよ!予定通りの順で出していくんですが、先に味見をお願いします」
そう言いながらもう小皿に味見用で盛り付けをしていますわ。
なんだか、私が来るのを首を長くして待っていたような、そんな感じですわ。
料理長から小皿を受け取りながら
「そんなことをしなくても、普段の料理が美味しいんだから心配ないのに」
と言って微笑むと料理長は少し照れながらも
「そう言ってもらえると嬉しいですね」
とはにかんでいますわ。
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何人かのメイドは心を奪われているに違いありませんわ。
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これは.......恋してしまった、というやつですか?
いや、別に反対はしませんがユリってこういう人が好みだったのね。
そう思いながら、気付かないふりをして
「そうだったのね」
と言って微笑みましたが、その間もユリは顔を赤らめたまま料理長を見つめていますわ。
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