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72話

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さて、ついにやってきましたわ。

お母様たちが来る日です。

アルフレッド様とは、どのような流れでおもてなしをするのか、しっかりと話し合いましたわ。

予定では今日のお昼ごろに到着する、ということになっているので今はメイド達が忙しそうにバタバタと走り回っていますの。

私の仕事は、というと

「皇妃様、客室の用意が終わったんですが一応確認をしてもらっても良いですか?」

というメイド達に

「えぇ、もちろんですわ」

とにこやかに了承して、確認をする、ということをひたすらやっていますわ。

今日ばかりはリンとカーラも他のメイドに混ざって準備を手伝ってもらっています。

このような日は人手が多いくらいが丁度いいですもの。

それから、この準備期間に色々と変わったことがありますわ。

まず1つ目、今まで私は後宮のほうで寝て、後宮で仕事をする、用事があったら王宮に行く、という流れだったんですが後宮は寝に行くだけ、仕事は王宮で、ということになりましたの。

これは、今回の件でアルフレッド様との相談や確認、フェルマー様ともお話をすることが結構あったので、アルフレッド様が新しく部屋を開けてくれましたわ。

この件が終わってからも、どうせ話す必要があるんだから最初からそうしておけば良い、とのことですわ。

まぁ、その方がアルフレッド様もわざわざ後宮に来なくても良いですから楽ですしね。

そして2つ目、メイド達との関係ですわ。

今までは私の悪い噂が広まりすぎて、皆怖がっていましたの。

でも、今回の件ではメイド達の力も必ず必要になりますし、これからも長く一緒にいるのだからどうにかしないと、と思って、とりあえず一人一人の名前を覚えることから始めましたわ。

それから積極的に話しかけてみたり、ユリとカーラのどちらかを入れ替えてみたりもしましたわね。

まぁ、これは思った以上にすんなりと和解といいますか受け入れてもらえて私も驚きましたよ。

メイドの中には一定数、私を良く思っていない人がいたみたいですが、今ではそれもなくなって割と仲良くやっている方だと思いますわ。

という感じで、どうせこれからもこの国にいるんですから、自分が過ごしやすい環境にしてしまおう、と思い動いた結果ですの。

今のところは大成功ですし、まさかここまで上手くいくとは思いませんでしたわ。

そう思っていると

「皇妃様ー!今日の夕食のことで話があると料理長からの伝言です!」

とわざわざ私を探し回っていたのか息を切らしたメイドが客室に入ってきましたわ。

そのメイドに

「ごめんなさい、忙しいのに......探したわよね」

と私が言うと

「いえっ!皇妃様に比べたら私なんて忙しくないですよ!」

そう言ってメイドがニッコリと笑ってくれましたわ。

でも、額は少しだけ汗ばんでいます。

それなのに、私に気を使って言ってくれているのがなんだか嬉しくて

「さて、じゃあ行きましょうか」

そう言って微笑むと

「はいっ!」

という元気な返事が返ってきましたわ。

さて、私もお母様たちに満足してもらえるように頑張らないとですわね。

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