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55話

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そして、次の日の朝、

「ユリ?カーラ?」

いつも通りに目を覚ますと2人の姿がありませんわ。

どこかに行ったのかしら?

でもリンとロンは部屋にいるし.........。

そう思っていると

「お嬢様、2人は今日から........」

珍しくリンが教えてくれましたわ。

そういえばそうでしたわね。

自分で言っておきながら忘れるなんて、疲れているのかしら?

ユリとカーラがいることが、当たり前になっていた、というのはあるかもしれませんが。

ということは、今日はメイド長が来るはずですが...........。

周りを見渡してもどこにもいませんわね。

「はぁ........今、何時だと思っていますの?」

つい、ため息をつきながらそう呟いてしまいましたわ。

今は朝の8時。

この時間に起きなければ仕事も終わりませんし、何も出来ませんわ。

10分くらい待ってみましたが、まだ現れません。

流石にここまで遅いと苛立ってきますわね...........。

皇妃は暇だとか勘違いしているんでしょうか?

そう思った私は、

「ロン、今すぐメイド長がどこにいるのか確認してちょうだい」

隠れていたロンにそう頼むと

「かしこまりました」

と言って、素早く部屋を出ていきました。

多分、1分くらいで来るかしら?

と思いながら、待つこと数十秒。

シュンっという音と共にロンが現れました。

急に私の目の前に現れるものですから、驚きましたわ。

そして、ロンはため息をつきながら

「先ほど目を覚まして身なりを整えている最中です」

と教えてくれましたわ。

身なりを整える、ねぇ...........。

あまりにも衝撃的な事実に、つい

「はぁ?じゃあ、他のメイド達は?」

と尋ねると

「皆、仕事をしていました」

........ありえませんわ。

なぜ一番上の立場である人が、サボっていますの?

もうこれだけでも解雇か降格しても良いくらいのことですわよね。

「はぁ...........」

まさか、メイド長がそんなことをしていると思わず、ついため息をついてしまいましたわ。

それでよく、メイド長です、なんて威張ることが出来ますわよね。

あまりにも無責任な行動に、苛立っているとそれに気付いたリンが

「どうしましょうか?」

といいながら、腰にかかっている短剣を抜きました。

しかも、それに便乗してロンまで武器を構えているので

「いいわ。来るまで待ってみましょう」

とだけ言うと

「かしこまりました」

とりあえず武器はしまってくれましたわ。

はぁ.......まさか1日目でやらかしてくれるとは思っていませんでしたわね。

これが初日なんて不安で仕方ありませんわ。

なんとか苛立ちを収めるために

「ちなみに他の令嬢たちはこの時間に起きているの?」

とロンに尋ねると

「そうですね......あの3人以外は」

「そう.........」

まぁ、そんなことだろうと思いましたわ。

特にやることもない人たちなので構いませんが、もう少し考えて行動して欲しいですわよね。

..........さて、あと何分、いや、何時間後にメイド長が来るのか。

とても楽しみですわね。
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