上 下
47 / 314

46話

しおりを挟む

うーん......他はおかしいところなんてありませんわね。

なぜあんなのが私の方に入っていましたの?

誰がそう考えても道を作る、なんて皇帝に聞くべきことですわよね?

しかも、提出書類はしっかりと皇妃宛になっていましたわ。

普通ならあり得ない話ですわよ?

はぁ.......考えれば考えるほどわかりませんわね。

そう思いながら、一旦休んでいると

「戻りましたよ」

カーラが戻ってきましたわね。

何もなかったみたいですし、良かったですわ。

そう思いながら

「あら?おかえりなさい。皇帝は何か言っていたかしら?」

とカーラに尋ねると

「うーん.....特に何も言ってなかったですよ?」

あら、それは良かったわ。

皇帝のことだから何かしら文句でも言うかと思いましたよ。

なぜそんなのが皇妃のところにあるんだ!とか勝手に怒りそうですわよね。

そう思っていると、カーラはふと思い出したかのように

「あ、でも、なぜ皇妃が来ないんだ?と聞かれましたね」

そう言って、私を見ましたわ。

......なぜですの?

夜にはほぼ必ずと言っても良い頻度で会っていますのにわざわざ仕事中に行く必要はあります?

そう思った私は

「私もそこまで暇じゃないわ」

とだけ言って、再び仕事に戻ると、なぜかカーラは、うふふ....と笑って私を見てきましたわ。

なので

「どうしたの?」

と尋ねると

「いや、なんだかんだ良い感じの関係になってきたのでは?と思いまして」

「そうかしら?」

別に変らないと思いますが.........。

そう思いながら首を傾げると

「えぇ。そうですよ。今までだとお嬢様が来ても来なくても、という感じだったじゃないですか」

ニヤニヤ、という表現がぴったりな笑い方をしていますわね。

まぁ、それは確かにそうですわね。

でも別に仲が良いという訳でもありませんし、私は対応を変えたつもりなんてありませんからね。

だから、変わったとしたら皇帝の方が変わってくれたんじゃないでしょうか?

でもなぜ急に?

わかりませんわね.........。

なんて考えていると

「別にそこまで深く考えなくても良いんじゃないですか?」

カーラはキョトンとした顔でそう言っていますわ。

いや、でも私からしたら結構大事なことと言うか.......。

「でも、確かに考えすぎはよくありませんわね。一旦仕事に集中しますわ」

私がそう言うと、カーラは静かに部屋を出ていってくれました。

とりあえず今は片付けなきゃいけないことをやるべきですわ。

悩むのはその後にしましょう。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

その日の夜、いつも通り自室にこもって食事をしようと思っていると

「お嬢様!皇帝から夕食のお誘いですよ!」

ユリが慌てた様子で部屋に入ってきましたわ。

「そんな急に言われても........」

という私に対してユリとカーラは

「とりあえず、着替えをっ!」

「髪の毛はまとめるべきでしょうか?」

そう言ってバタバタとしていますわ。

はぁ......一緒に夕食を食べるのならもっと早めに伝えて欲しいですわね。

そう思いながらも、皇帝と初めて2人で食べる夕食の準備を急ぐことにしましたわ。

だって、遅れたらうるさそうなんですもの。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです

青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。 しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。 婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。 さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。 失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。 目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。 二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。 一方、義妹は仕事でミスばかり。 闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。 挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。 ※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます! ※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました

結城芙由奈 
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】 今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。 「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」 そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。 そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。 けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。 その真意を知った時、私は―。 ※暫く鬱展開が続きます ※他サイトでも投稿中

側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。

とうや
恋愛
「私はシャーロットを妻にしようと思う。君は側妃になってくれ」 成婚の儀を迎える半年前。王太子セオドアは、15年も婚約者だったエマにそう言った。微笑んだままのエマ・シーグローブ公爵令嬢と、驚きの余り硬直する近衛騎士ケイレブ・シェパード。幼馴染だった3人の関係は、シャーロットという少女によって崩れた。 「側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります」 ********************************************        ATTENTION ******************************************** *世界軸は『側近候補を外されて覚醒したら〜』あたりの、なんちゃってヨーロッパ風。魔法はあるけれど魔王もいないし神様も遠い存在。そんなご都合主義で設定うすうすの世界です。 *いつものような残酷な表現はありませんが、倫理観に難ありで軽い胸糞です。タグを良くご覧ください。 *R-15は保険です。

私が死んだあとの世界で

もちもち太郎
恋愛
婚約破棄をされ断罪された公爵令嬢のマリーが死んだ。 初めはみんな喜んでいたが、時が経つにつれマリーの重要さに気づいて後悔する。 だが、もう遅い。なんてったって、私を断罪したのはあなた達なのですから。

愛すべきマリア

志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。 学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。 家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。 早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。 頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。 その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。 体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。 しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。 他サイトでも掲載しています。 表紙は写真ACより転載しました。

記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。

せいめ
恋愛
 メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。  頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。   ご都合主義です。誤字脱字お許しください。

選ばれたのは私以外でした 白い結婚、上等です!

凛蓮月
恋愛
【第16回恋愛小説大賞特別賞を頂き、書籍化されました。  紙、電子にて好評発売中です。よろしくお願いします(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾⁾】 婚約者だった王太子は、聖女を選んだ。 王命で結婚した相手には、愛する人がいた。 お飾りの妻としている間に出会った人は、そもそも女を否定した。 ──私は選ばれない。 って思っていたら。 「改めてきみに求婚するよ」 そう言ってきたのは騎士団長。 きみの力が必要だ? 王都が不穏だから守らせてくれ? でもしばらくは白い結婚? ……分かりました、白い結婚、上等です! 【恋愛大賞(最終日確認)大賞pt別二位で終了できました。投票頂いた皆様、ありがとうございます(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾⁾応援ありがとうございました!  ホトラン入り、エール、投票もありがとうございました!】 ※なんてあらすじですが、作者の脳内の魔法のある異世界のお話です。 ※ヒーローとの本格的な恋愛は、中盤くらいからです。 ※恋愛大賞参加作品なので、感想欄を開きます。 よろしければお寄せ下さい。当作品への感想は全て承認します。 ※登場人物への口撃は可ですが、他の読者様への口撃は作者からの吹き矢が飛んできます。ご注意下さい。 ※鋭い感想ありがとうございます。返信はネタバレしないよう気を付けます。すぐネタバレペロリーナが発動しそうになります(汗)

処理中です...