皇妃になりたくてなったわけじゃないんですが

28話

時間が押してしまった、というのもあって、元々直接渡す予定だったプレゼント等は先に回収することになりましたわ。

まぁ....このプレゼントで何かしらのアピールをしたい人もいたでしょうし、そう考えると少し申し訳ないですわね。

公爵家が終わって、侯爵家の番、そして伯爵家の番......になったのは良いんですが

「娘をぜひ側室に！」

この人は侯爵家の人ですか。

「いや、我が娘は皇帝と愛し合って.......」

そしてこの人も侯爵家。

「いえいえ、娘こそが皇帝様の側室に.......」

こちらは伯爵家ですか.......。

しかも

「皇帝様ぁ～。約束してくれたじゃないですかぁ」

「あら？私だって約束していたわ！」

「でもこの中でなら私が一番皇帝様の相手をしていたわよ！」

この令嬢たちの言動を考えると、全員が皇帝と関係を持っているとみて間違いないでしょう。

なんでしょうね？この話し方。

まるで娼婦ですわ。

も、もしかして、この国の令嬢には娼婦教育ともいえるものを受けさせているんでしょうか？

そうじゃないなら、あまりにも礼儀がなっていませんわよ。

そう思いながら

「........皇帝、これは一体どういうことでしょう？」

皇帝を睨みつけながらそう尋ねると

「あ.....これは....その........」

とモゴモゴしています。

あら？さっきまでの皇帝はどこに行ってしまったんでしょうね？

もしかして幻でも見てしまったんでしょうか？

だとしたら一生幻を見せておいて欲しかったですわね。

そう思いながら、はぁ......とため息をつくと、皇帝は肩を震わせています。

そんな皇帝に

「それで？この中で側室に相応しい人はいるんですの？いないんですの？」

ニッコリと笑って尋ねると

「ぜ、全員とかは.......」

「でしたら、今の令嬢たちで側室候補は満員になりますわね」

本当に女性が絡むとしょうもない人になりますわね。

こんなので、よくもまぁ、自分が皇帝だ、なんて言えましたわ。

すると私と皇帝の話を聞いていた令嬢たちは

「な、候補って.......何よそれ！」

「そうよ！皇妃様には関係ありませんわ！」

「私は皇帝様と約束をしていますわ！」

とキャンキャン吠えていますわ。

はぁ......本当にみっともないですわね。

しかも最初は自分の娘を！と推していた父親たちは勢いに負けて大人しくなっていますし。

自分の娘可愛さかもしれませんが、物凄く格好悪いですわ。

そう思いながら、

「はぁ......皇帝、私が言ったことは覚えていますわよね？」

多分、自分の過去一低い声が出たような気がしますわ。

でも、今の私はそれくらい怒っていますの。

原因はもちろん、この娼婦令嬢とバカ皇帝ですわよ。

皇帝も私が物凄く怒っているのは伝わっているみたいで

「わ、わかっている.........」

驚くほど小さく縮まりながらそう頷いています。

わかっているのでしたらいいんですのよ？

まぁ、再び私が強く言わないといけないんでしたら喜んで言いますわよ。