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26話
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皇帝の顔を見ると、まだ頭が追い付いていないのか、それとも私が言ったことを理解していないのかわかりませんが、ただ正面を向いてぼーっとしています。
おかげで会場がシーン、と静まり返って皆の視線を集めることになっていますわ。
はぁ.......早く結論を出してくれないと困りますわ。
後ろにはまだまだ大人数の貴族たちが待機していますのに........。
そう思っていると
「何やら面白いことになっているみたいだな」
パーティーには参加しない、と言っていたはずの2人の声が聞こえてきました。
「太上皇様、それに皇太后様までっ」
太上皇様は前皇帝様、皇太后様は前皇妃様のことですわ。
確か戴冠式が終わって、すぐに休みたいからパーティーは不参加と言っていたはずですが........。
皇帝も同じことを考えていたみたいで
「父上?お部屋の方で休むのでは........」
と尋ねると
「そう思っておったんだが、よからぬことを聞いたからな」
本当に面白がっていますわね。
ニッコリと笑いながら皇帝とお話ししていますわ。
そしてその間に
「あらあら......なぜ皇妃ではない人が白いドレスを着ていますの?」
皇太后様が首を傾げてそう言うと、
「こ、これは.....その........っ」
公爵は私たちに見せたあのいやらしいような笑みではなくあたふたと慌て始めましたわ。
なので私は追い打ちをかけるかのように
「公爵が、娘の似合う色を着せただけだと言っていますので、規則を知っているのか、と尋ねていたところです」
と伝えると
「ほう.....なるほどな。それで?知らなかった、と言っておるのか?」
太上皇様はそう言って公爵を見つめています。
流石の公爵も太上皇様の睨みは怖いのか小さく、ひぃっ!と悲鳴を上げていますわ。
まぁ、でもこれでは終わりませんけどね?
内心ニヤリ、と意地の悪い笑みをしながら
「えぇ。そう言っていました。なので、そんなことも知らない人が公爵でいいのかと皇帝に尋ねると、公爵家は大事だから、とおっしゃっていましたわ」
私がそう言うと、
「まぁ!だったらなぜ規則があるのか教えてもらいたいわよね」
皇太后様はわざとらしく大きなリアクションをとりながら皇帝の方向を向いています。
なので私も
「はい。私も同じことを言いましたが、皇帝は何も発することはありませんでした」
ニッコリと笑って皇帝の方を見ると
「なっ!それは急にお前が......」
と何か言いかけましたが、後半は何を言っているのか聞き取れませんでしたわ。
多分、私が悪い、みたいなことを言おうとしたんでしょうけど。
すると太上皇様が急に
「アルフレッド!」
と大きい声を出したものですから、私も含め皆が驚いてしまいましたわ。
どうしたんでしょう?
そう思っていると
「お前は今日でこの国の王になったんだ。これくらいのことを即決できなくてどうする」
あら、意外ですわね。
息子可愛さに今回も何も言わないと思っていました。
太上皇様に怒られると思っていなかった皇帝も
「で、ですが.........」
モゴモゴと何か言おうとしていますわ。
はぁ.....大人しく頷いて、自分でどうするかさっさと決めて欲しいのですが..........。
すると皇帝は何を思ったのか
「ち、父上が俺と同じ状況になってもこうしますよね!」
と太上皇様に責任を押し付けようとしているではありませんか。
情けないですわ。
今のでこの男に国を任せられない、と何人の人が思ったでしょう?
太上皇様は、そんな皇帝の姿にはぁ........とため息をつくと
「なるほどな。お前にはよくないところを見せすぎたみたいだ」
そう言いました。
いや、ですが太上皇様が皇帝だった時はここまで酷くなかったですわよ?
だって、以前は国の王として敬意をもって接していたように見えましたもの。
今の皇帝なら許してもらえる、その気持ちの表れが今回の公爵の行動ですわ。
そう思った私はつい
「今の皇帝を舐め腐っているからこんなことができるんですわ」
と呟くと
「そ、そんなこと.....っ!」
皇帝は否定しようとしましたが全てを言い終わる前に
「これらを見ても違うと言えますの?」
そう言って貴族たちの方を顎で指すと、何やら変な動きをしている家、お祝いのパーティーに娼婦のようなドレスを着た令嬢たち、後ろの方ではニヤニヤと今の様子を楽しんでいる人の姿も見えますわ。
流石にこの現状をみた皇帝は何も言わなくなりましたが、太上皇様に視線で助けを求めています。
はぁ.....だから自分で決めなさいな。
今がそんな状態で、今後どうしますの?
思わず皇帝の隣でため息をつくと、太上皇様は苦笑しながら
「今の儂なら良くて伯爵に降格、悪くて平民に降格だな」
と教えてあげていました。
皇帝は
「そうですか.......」
と頷いていますが、私も全く同じことを言ったと思うのですが話聞いていました?
と言いたくなりますが、今やっと落ち着いたのに私がそんなことを言ったらややこしくなるので我慢ですわ。
おかげで会場がシーン、と静まり返って皆の視線を集めることになっていますわ。
はぁ.......早く結論を出してくれないと困りますわ。
後ろにはまだまだ大人数の貴族たちが待機していますのに........。
そう思っていると
「何やら面白いことになっているみたいだな」
パーティーには参加しない、と言っていたはずの2人の声が聞こえてきました。
「太上皇様、それに皇太后様までっ」
太上皇様は前皇帝様、皇太后様は前皇妃様のことですわ。
確か戴冠式が終わって、すぐに休みたいからパーティーは不参加と言っていたはずですが........。
皇帝も同じことを考えていたみたいで
「父上?お部屋の方で休むのでは........」
と尋ねると
「そう思っておったんだが、よからぬことを聞いたからな」
本当に面白がっていますわね。
ニッコリと笑いながら皇帝とお話ししていますわ。
そしてその間に
「あらあら......なぜ皇妃ではない人が白いドレスを着ていますの?」
皇太后様が首を傾げてそう言うと、
「こ、これは.....その........っ」
公爵は私たちに見せたあのいやらしいような笑みではなくあたふたと慌て始めましたわ。
なので私は追い打ちをかけるかのように
「公爵が、娘の似合う色を着せただけだと言っていますので、規則を知っているのか、と尋ねていたところです」
と伝えると
「ほう.....なるほどな。それで?知らなかった、と言っておるのか?」
太上皇様はそう言って公爵を見つめています。
流石の公爵も太上皇様の睨みは怖いのか小さく、ひぃっ!と悲鳴を上げていますわ。
まぁ、でもこれでは終わりませんけどね?
内心ニヤリ、と意地の悪い笑みをしながら
「えぇ。そう言っていました。なので、そんなことも知らない人が公爵でいいのかと皇帝に尋ねると、公爵家は大事だから、とおっしゃっていましたわ」
私がそう言うと、
「まぁ!だったらなぜ規則があるのか教えてもらいたいわよね」
皇太后様はわざとらしく大きなリアクションをとりながら皇帝の方向を向いています。
なので私も
「はい。私も同じことを言いましたが、皇帝は何も発することはありませんでした」
ニッコリと笑って皇帝の方を見ると
「なっ!それは急にお前が......」
と何か言いかけましたが、後半は何を言っているのか聞き取れませんでしたわ。
多分、私が悪い、みたいなことを言おうとしたんでしょうけど。
すると太上皇様が急に
「アルフレッド!」
と大きい声を出したものですから、私も含め皆が驚いてしまいましたわ。
どうしたんでしょう?
そう思っていると
「お前は今日でこの国の王になったんだ。これくらいのことを即決できなくてどうする」
あら、意外ですわね。
息子可愛さに今回も何も言わないと思っていました。
太上皇様に怒られると思っていなかった皇帝も
「で、ですが.........」
モゴモゴと何か言おうとしていますわ。
はぁ.....大人しく頷いて、自分でどうするかさっさと決めて欲しいのですが..........。
すると皇帝は何を思ったのか
「ち、父上が俺と同じ状況になってもこうしますよね!」
と太上皇様に責任を押し付けようとしているではありませんか。
情けないですわ。
今のでこの男に国を任せられない、と何人の人が思ったでしょう?
太上皇様は、そんな皇帝の姿にはぁ........とため息をつくと
「なるほどな。お前にはよくないところを見せすぎたみたいだ」
そう言いました。
いや、ですが太上皇様が皇帝だった時はここまで酷くなかったですわよ?
だって、以前は国の王として敬意をもって接していたように見えましたもの。
今の皇帝なら許してもらえる、その気持ちの表れが今回の公爵の行動ですわ。
そう思った私はつい
「今の皇帝を舐め腐っているからこんなことができるんですわ」
と呟くと
「そ、そんなこと.....っ!」
皇帝は否定しようとしましたが全てを言い終わる前に
「これらを見ても違うと言えますの?」
そう言って貴族たちの方を顎で指すと、何やら変な動きをしている家、お祝いのパーティーに娼婦のようなドレスを着た令嬢たち、後ろの方ではニヤニヤと今の様子を楽しんでいる人の姿も見えますわ。
流石にこの現状をみた皇帝は何も言わなくなりましたが、太上皇様に視線で助けを求めています。
はぁ.....だから自分で決めなさいな。
今がそんな状態で、今後どうしますの?
思わず皇帝の隣でため息をつくと、太上皇様は苦笑しながら
「今の儂なら良くて伯爵に降格、悪くて平民に降格だな」
と教えてあげていました。
皇帝は
「そうですか.......」
と頷いていますが、私も全く同じことを言ったと思うのですが話聞いていました?
と言いたくなりますが、今やっと落ち着いたのに私がそんなことを言ったらややこしくなるので我慢ですわ。
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