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「ユーフェミア、ちょっくら隣国に嫁いできてくれんか?」

朝起きてすぐに、急にお父様に呼び出された私に対する一言目がそれでした。

私のお父様はこの国【ガルシファー国】の国王なんです。

つまり私はガルシファー国の王女、しかも第一王女ですわ。

......と言っても上には2人、お兄様がいるのでどこかに嫁に行かなきゃいけないことは確かですけども。

いや、だからといって急に隣国に嫁げ、だなんて納得できませんわ!

そう思った私は思わず

「なぜ私なんですの?私ではなく妹のハーレミアだっているじゃないですか」

と返してしまいました。

ハーレミアだったら良いとか、そんなことは思っていませんが.....いや、それ以前にハーレミアでは無理だということも知っています。

だって

「ハーレミアが婚約者と仲がいいことは知っておるだろう?」

う......言ってしまってから後悔ですわ。

そうなんです。ハーレミアと婚約者は国民みんなが知っているほどラブラブです。

だからハーレミアにこんなことを頼むことは無理なことなんですの。

お父様は悲しそうな顔をしながら

「そんな2人の仲を引き裂けと儂に言うのか?」

と目で訴えてきました。

「そ、それは.....確かにその通りですわね」

そんな目をしなくてもわかっていますわよ。

はぁ.....つまりはこういうことですわよね?

「婚約者のいない私に行ってこい、ということですか」

私がそう言うと

「そういうことだ」

とお父様は頷きました。

もうこうなったら断るなんてできないので諦めますが、質問くらいはいいですわよね?

ということで

「なぜ急にそんなことになりましたの?今までそんな話なかったのに」

大体、隣国と言えば最近は調子が悪いみたいですが、歴史も長く、ここら辺で一番有名な国です。

いくら経済状況が悪いとはいえ、うちに助けを求めるなんてプライドはないんでしょうか?

なんて思っていると急にお父様が

「.....最近ユーフェミアのおかげで国の財政も安定し、今では他国とは引けのとらないほどの大国になった」

と急に語り始めました。

「え?急にどうしましたの?」

私がお金関係に厳しい、というのと、色んな事が重なってくれたおかげで私の手柄みたいになっていますが、確かにここ最近で国が発展しました。

あ.....なるほど。

「そんな我が国と国の繋がりが欲しいと考えた隣国の皇帝が縁談を申し込んできた、ということだ」

これからも成長していくであろう我が国を取り込んでおこう、ということですか。

「はぁー......今まで見向きもしなかったのに勝手ですわね」

それどころか隣国からくる商人は態度も商品も悪くて嫌いなんですよね。

まぁ、うちを見下しているからそんなことをするんでしょうけど.......。

これだけでも勘弁してほしいというのに

「しかも次期皇帝は勉強は出来るが頭は悪い。皇帝としては最悪だ。それでいて1人息子ということもあって物凄く甘やかされて育っている」

「最悪ですわね。嫌ですわよ。そんな男の嫁になるなんて」

本当に最悪ですわ。

これから嫁がなきゃいけないってときにそんな話。

「儂だって反対だったが一度会ってみて欲しい、と強く頼まれてな。断れんかったんだ」

「なるほど.......」

お父様でも断れなかったなら仕方ありませんわ。

「気に食わなかったら帰ってきても良いんですのよね?」

「もちろんだとも」
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