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42話 ミアside
しおりを挟むお父さんを近くにあったもので殴ってから、気がついたら薄暗い牢屋の中に閉じ込められていた。
なんで私はこんなところにいるの?
お父さんを殴った後にお母さんの悲鳴が聞こえてきたけどその後の記憶が全くないわ。
まともなご飯も食べられないし、1人でこんなところに閉じ込められて暇だし、さっさと出してくれないかなぁ。
あ、そういえば、お父さんって死んじゃったんだよね?
まぁ、私を見捨てようとしたんだから当然よね。
はぁ.....こんな場所に閉じ込められるくらいならもっと早くに家を出ておくんだったわ。
そしたら今頃貴族に見染められて贅沢な暮らしをしていたはずなのになぁ。
そう思っていると
「おい、犯罪者」
と牢屋の外から声をかけられた。
何よ、私は犯罪者じゃないわ!って言いたかったけど堪えて
「なにー?あ、もしかしてここから出してくれるの?」
可愛らしく首を傾げてそう尋ねた。
こいつを落とせばここから出してもらえるかもしれないからね。
すると
「何を言っているんだ?お前の処罰が決まったから伝えに来ただけだ」
私をバカにしたように鼻で笑いながらそう言ってきた。
「処罰?何?私、何も悪いことはしてないわ」
そうよ!何も悪いことはしてないわ!
私じゃなくて、あのカノンとかいうムカつく女と間違えたんじゃない?
そう思って言うと
「本当にそう思っているのか?」
「えぇ!当然じゃない!」
何よ!この男!
あからさまに私をバカにしたような目で見てきやがって!
ほんっとにムカつくわ!
男は、はぁ.....と大きなため息をついたかと思うと
「......まぁ、いい。お前は明日ここから出ることになった」
と言ってきた。
「ほらね!やっぱり何も悪いことをしていないからすぐに出れるのね!」
だから言ったじゃない!私は何も悪いことをしていないのよ!
明日出てから何をしようか、と心躍らせて計画を立てていると
「いや、お前は借金を返すために娼婦に売られた」
「.......は?」
「噂によると、沢山の男を誑かしていたらしいじゃないか。良かったな。ピッタリな仕事だ」
「な、何よそれ!お金はお父さんが払うわよ!なんで私が払わなきゃいけないのよ!」
どういうこと!?
縁を切るだけじゃないの!?
なんで私が娼婦に売られないといけないのよ!
嫌よ!そんなこと!
そう思っていると男性は初めて声を荒げて
「当たり前だろ!今まで払ってくれた優しいお父さんに手を挙げたんだからな!」
と言ってきた。
そうだったわ。私がお父さんを殺したんだった.......。
え、じゃあ娼婦に売ったのはお母さんってこと?
ふざけんな!
あのババア!調子に乗りやがって!
あー.....何か方法は......あ、そうだわ
「だ、だったら、そうよ!リオルさんに言えば!」
そうよ!リオルさんはあのムカつく女と離婚して子爵家に戻ったはずよ!
だったら私の借金くらい余裕で払えるでしょ!
払ってくれたら、またリオルさんをチヤホヤしてあげてもいいわ!
良い提案じゃない!
これで私は娼婦に行かなくて済む、そう思っていたのに
「リオル?あぁ、最近没落した貴族の次男のことか」
没落......?
リオルさんは貴族じゃなくなったってこと?
え?嘘でしょ......?
あまりにも衝撃的で、呆然としている私に男は
「とにかく、人を頼らないで自分でどうにかするんだな」
とだけ言って牢屋から離れていった。
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