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4話

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「あら?カノン帰ってきていたのね」

そう言ってほほ笑んだお母様の顔は今日もいつも通りでなんだか安心します。

さっきまでの落ち込んだ気持ちを押しやって

「えぇ、ガルをありがとうね」

と笑うと

「ん?どうしたの?なんだか酷い顔をしてるわよ?」

やっぱり母親ですね。

気付かれないようにしたつもりですが、すぐにバレてしまいました。

.....今が言うチャンス。

それはわかっていますが、まだリオルを信じたい、という気持ちがどこかにあったんでしょうか。

咄嗟に

「仕事で疲れたのかもしれないわ」

と答えてしまいました。

隠しても後でバレることだ、というのはわかっています。

でも、自分で確認するまでは.....と思ってしまったんです。

お母さんは納得のいっていない様子でしたが、すぐに

「そっか」

と言って深くは聞いてきませんでした。

ごめんね、お母さん。

ちゃんと話すから。

そう思いながらお母さんと別れました。


◇◆◇◆◇◆

「おぎゃぁー、おぎゃぁー、おぎゃぁーーーー!」

「はーい、今ミルクをあげるからね」

はぁ....こんな状況でも子育てに休みはありません。

正直今は休ませてほしいですが、そんなこと言っていられませんよね。

「おかあさぁーん!」

「はいはい!ちょっと待っててねー!」

こんな大変な時に限ってリオルはいないんですよね。

......今頃、あの令嬢のところにいるんでしょうか。

他のところの子供を可愛がって......幸せそうに笑って.....。

「おぎゃぁぁぁぁぁっ!!!おぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

はっ......ダメだわ。

そんなことを考えていたらこの子達にも伝わってしまいます。

「ご、ごめんね?」

泣きそうになりながら、『ユーリ』の相手をします。

ガルは何かを察したのか大人しくしてくれていますが、それが凄く申し訳なくて余計に悲しくなってしまいます。

「ごめんね......ごめんね.......」

私には、そう言うことしかできません。

こんな親でごめんね。

旦那に浮気されるような.....それに気付くこともできなくてごめんね...。

耐えていた涙が溢れ出てきます。

私が悪いんでしょうか?

私に魅力がなかったから......

私がもっと可愛らしくて、もっとリオルのことを考えていたら.....こんなことになってないんじゃ...。

考えれば考えるほどそんなことばかり頭に浮かんできます。

そんなんじゃダメだ。

わかっているんです。

でも、今まで信じてきた人に裏切られて、私は何を信じたらいいかわからないんです。

呼吸も少しずつ浅くなってきて、ガルも私の異変に気付いたみたいで顔を真っ青にしてどこかに走っていきました。

......どこにいったの?

ガルも、私から離れていくの?

そんな思いが溢れ出てきて自分でもどうしたらいいのかわかりません。

でもそんなとき

「カノン!?」

誰かが駆けつけてきてくれたみたいです。
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