旦那様、離婚しましょう

榎夜

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マノンside 8

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「私が言いたいのは、お腹の子供がマノン様の子供だと断言出来るのか、ということですわ」

と言うシエラの声で俺は我に返った。

俺の子供と断言......?どういう意味だ?

だって、リリーは俺の子供が...って......


「騎士団長の息子...確かロルフさん、でしたっけ?他にもアバズレー家の執事、商人の息子さん...あぁ、ここにいる間に我が家の庭師にも言いよっていたみたいですね?妊婦が何をしていますの?」

.........は?つまり、リリーは俺以外の相手とも関係を持っていて、公爵家に押しかけてきてからも他の男を誘惑していたってことか...?

俺は怒りで肩が震えて、リリーに

「どういうことだ!」

と問い詰めた。

シエラの言ってることが嘘ではないというのは、リリーの反応を見ればすぐにわかった。

リリーは、なぜバラしたと言わんばかりにシエラを睨みつけて、顔を真っ赤にしている。

その様子を見て、こんなわかりやすくて、浅はかな女に騙されたのが恥ずかしくなった。



すると、シエラが急に饒舌に喋りだした。

「どういうことも何も、こんなことをしているから娼婦とか言われるんですよ。
まさか我が家の庭師にまで手を出そうとするなんて...流石にブチ切れるところでしたわ。
マノン様は、ただの入婿の分際で勝手に当主になったと周りに言ってるらしいし...バカじゃないんですか?
あ、ちなみにそれを信じてる人なんて極わずかですよ。常識の知らない人だけです。
まぁ、リリーさんは頭が弱い人ですから、その嘘を信じて誑かした男の中で最も地位が高いマノン様を選んだんでしょうけど。」

そう言って、キョトンとした顔をしているシエラに義父が口に出てたぞ、と教えている。

今更でしかないが、その姿が可愛らしく見えたと同時にリリーに対する怒りがふつふつと込み上げてきた。




「少しお口が滑りましたわ」

そう言って、シエラがニッコリと微笑んだと同時に、俺はリリーを怒鳴りつけた。

父上とリリーは俺に何かを怒鳴ってくるけど、それどころでは無い。

「リリー!お前は俺以外にも男を誑かしていたんだな!この、淫乱女!」

そうだ。この淫乱女のせいで、俺がこんな目にあっているんだ!

こいつが居なければ、俺は今頃幸せに暮らしていたのに...っ!



リリーは目を血走らせて

「当主じゃないならいらないわよ!」

そう言って部屋から出ていこうとした。

正直、もう顔を見たくなかったから早く出ていってくれという気持ちだ。

すると、シエラの父親がリリーに慰謝料と壊した物を弁償するように言った。

ざまぁみろ!

兵士達に連れていかれるリリーを自分でもビックリするくらい冷たい目で見送った。

そのとき、俺はリリーに対しての愛情が一切無くなっていることに気付いた。

シエラから話を聞くまでは、少しばかりの愛情というか、同情に近いものがあったが、今はそれすらも感じられない。

今度こそシエラとやり直すチャンスだ、俺はそう思っていた。

でもその思いは、いとも簡単に砕かれた。
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