旦那様、離婚しましょう

榎夜

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マノンside 7

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まずいまずい...っ

この状況でリリーが来ることなんて誰が想像出来るだろうか。

あれほど部屋から出るなと厳しく言ったのに...。

俺が呆然としていると

「...なぜその女がこの家にいるんだ?」

という父上の声が響いた。

すると、すかさずシエラがその答えを返した。

「リリーさんに追い出されましたの。......おかしいですよね?」

俺はシエラの言った言葉に耳を疑った。

男爵令嬢が公爵現当主を追い出した?

なんだそれは...俺は聞いていないぞ.........

そう思っている俺を無視するように

「シエラはリリーさんが急に来て出て行け、なんて言うものですから、妊婦にストレスを与えるのも...と気を使って私達のところにずっと居たんですよ」

とシエラの母親が付け足した。

シエラはこんな状況でリリーのことを気遣ったというのか?

俺が勝手に浮気をして、勝手に妊娠させた女のことを......?

優しいことは知っていたが、ここまでだとは......

俺は自分のしてきたことに対して改めて後悔をした。

なぜリリーとまた関係を持ってしまったんだろう。

なぜ大切にすると思っていたシエラを裏切ってしまったんだろう。

そんな思いがどっと押し寄せてきた。




そんな空気を壊すようにリリーは俺の両親に話しかけた。

「あ!マノン様の両親ですかぁ?初めまして!マノン様の次の妻になります!リリーでぇす!」

という馬鹿丸出しの挨拶だ。

こんなことを言われて、はい、そうですか、となる訳が無いのに。

リリーは許可もなくソファーに座って、俺の腕に自分の腕を絡みつけてきた。

今のリリーのドレスは妊娠しているにもかかわらず胸を強調するような赤い大胆なドレスを着ている。

前はリリーの小さな胸が大きく見えてニヤニヤしていたが、今みると父上の言う通り娼婦にしかみえなかった。


なんだか昔の自分が恥ずかしくなって、思わず俯いているとシエラがリリーに衝撃的なことを聞いてきた。

「ところでリリーさん。その子供は誰の子供ですか?」

............は?

どういうことだ?と思っているとリリーが

「マノン様の子よ!」

と必死に否定していた。

でも、その否定の仕方が図星をつかれて焦っているようにしか見えなかった。

「子供が出来ないからってバカみたいなこと言わないで!」

そのリリーが言ったことに、俺は少しの希望が見えた。

シエラは俺との子供が欲しかったのか?

そうなのか?とシエラに聞くと、あっさりと否定されてしまった。

そりゃ、そうだよな。

俺は少し自嘲気味にバレないようにして笑った。
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