旦那様、離婚しましょう

榎夜

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6話

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「なっ...リリー!?なぜここに?」

マノンは急なリリーの登場に驚いている。

それもそのはず。自分の親とシエラ達が来るから部屋で待ってて、とでも言っていたのだろう。

まぁ、そんなことを言ってもリリーさんはおバカさんですから、マノン様の両親に挨拶しなくちゃ~、くらいの感覚で出てきたのでしょう。

だからここを選んだのですもの。リリーさんが簡単に現れてくれる場所を。



「...なぜその女がこの家にいるんだ?」

マージェン元伯爵が嫌そうな顔をしながら聞いてきたので私は正直に

「私、リリーさんに追い出されましたの。......おかしいですよね?ここはハーヴェスト公爵家、つまり私の家なのに」

そう言って微笑むとマージェン夫妻は顔を真っ青にさせて言葉を詰まらせていた。

「シエラはリリーさんが急に来て出て行け、なんて言うものですから、妊婦にストレスを与えるのも...と気を使って私達のところにずっと居たんですよ」

とすかさずお母様が付け足してくれた。

その横ではお父様が頷いているので、嘘など言っていない、と確信しただろう。

あ、ちなみにですが、別にリリーさんに気を使って...なんてことは一切ありませんよ?純粋にマノン様と同じ空気を吸いたくないと思ったので出ていったんです。


あら?マノン様の顔色が随分と悪くなっていますね?もう青でもない白っぽくなってますわ。
今更、自分がしたことの重大さに気付いたのでしょうか?

私を呼び戻すことも無く、浮気相手のリリーさんを公爵家に住まわせた、ということの重大さを。



そんな張り詰めた空気の中に急に全く見当違いなピンク色の声が響き渡った。

「あ!マノン様の両親ですかぁ?初めまして!マノン様の次の妻になります!リリーでぇす!」

そう言いながら勝手にソファーに座って、顔色の悪いマノンの腕に自分の腕を絡みつけた。


......どう見ても娼婦にしか見えませんわね。

今日のリリーのドレスは妊娠しているにもかかわらず胸を強調するような赤い大胆なドレスだ。
お腹は少し出てきているみたいだがそれを気遣うようなデザインではなくピッチリとした体のラインが出るようなものを着ている。

妊娠しています、のアピールかも知れませんけどみっともないですわ...。

そう思って両家の親たちを見ると皆同じことを思っているのだろう。

顔を顰めていたり、睨みつけていたり様々だった。


さて、全員揃ったみたいですし一つ一つ話を片付けましょうか。

お父様とお母様も同じ気持ちみたいです。そりゃ、こんな面倒なことはさっさと終わらせたいですよね。

私はとりあえず、深呼吸をしてそれぞれの顔を見渡した。

多分、空気が変わったことに気付いたのでしょう。マージェン夫妻は二人揃って背筋を伸ばしている。
マノン様は相変わらず顔色が悪いままだけど。


私は、さて、と1拍おいてからリリーさんにこう尋ねた。

「ところでリリーさん。その子供は誰の子供ですか?」
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