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5話
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昔のアレックスを思い出すと、思わず笑ってしまいそうになるのをグッと堪えて、
「それで?私との婚約破棄の話だけでこんなに長引かせて.......どんな嫌がらせですの?」
と聞いてみましたわ。
もうこれ以上長居する意味もありませんもの。
私が冤罪をかけられていることは十分説明しましたし、婚約破棄は了承しましたし、他に何を求めていますの?
そう思っていると、ジーア様は
「それは!お前がアリスを虐めたことを認めないからだろう!」
と言って、アリス様の方を抱きましたわ。
アリス様もジーア様の腕の中で当然だ、と言わんばかりに頷いていますが.......なぜ謝る必要がありますの?
だって、私は何もしていません、と説明したではありませんか。
何度言っても話の通じない人達に、思わずため息をついている私に、アレックスは
「アリス......?そういえば、あの男の人って婚約者じゃなかったっけ?」
と私に聞いてきましたわ。
なので
「そうなんですが、何やら辺境に行っている間、誰かに指示を出してアリス様のことを虐めた、なんて訳の分からない冤罪をかけられているんですわ」
と簡単に説明をすると、今までボソボソと話をしていたアレックスが嘘のように
「えぇ!?そんなの出来るわけがないじゃん.....っ!」
と大きな声を出しましたわ。
今まで長い間一緒にいましたが、過去一大きな声ですわね。
まぁ、それほど驚いた、と言うことなんでしょうけど。
そう思いながら、アレックスに
「そうなんですの......一緒にいたアレックスならわかると思いますが、朝起きて魔物の間引き、昼食の後に魔物の間引き、夕食を食べて寝る前に辺境の周りを警備、なんてハードなスケジュールの中に、ジーア様のことを気にする余裕なんてありませんわ」
と言って少し大げさにため息をつくと
「凄く大変だったよね........今では結構慣れてきたけど、最初の時なんて終わったらすぐに寝てたから家に手紙を出すことすら出来なかったのに」
そう言ってアレックスも苦笑していますわ。
そうなんですの。
一時、やることが多すぎて家に手紙を出すことすら出来ずにお母様達には凄く心配されましたわ。
今でこそ、手紙のやり取りはありますが、それも1週間に一度書けるか書けないか、くらいなので、他の人に手紙を書く暇があったら家族や友人を優先して書きますわ。
そう思いながらアレックスに
「本当ですわ。でも話してもわかってくれませんの」
と言って、チラッとジーア様達の方を見ると、今の説明を聞いても納得できないのか、私ではなくアレックスのことを睨みつけていますわ。
それも、今日見た中で一番の鋭さで。
これって、自分は浮気しても良いけど、他の人がしたら許さない、みたいなやつなんでしょうか?
あ、ですがそうだとしたら、ジーア様達の後ろにいる子息達のことも必死に消そうとするはずなのでそれは違いますわね。
ジーア様に思いっきり睨みつけられているアレックスは、視線に気付いたのか
「ひ.....っ!」
と短く悲鳴を上げていますわ。
相変わらずですわね.........。
なんて思っていると、ジーア様は
「そうやって2人で口裏を合わせているんだろう!俺は騙されないぞ!」
と言って私達の方を思いっきり指をさしています。
口裏を合わせている、って、こんな展開になるのは想定外なのに、どうやったら口裏を合わせることが出来るんですか。
これには思わず
「もう何を言ってもこんな感じですの」
とアレックスに言ってしまいましたわ。
だって、本当に何を言っても無駄なんですもの。
それに対してアレックスも
「あはは......大変だね.......」
と苦笑していますわ。
「それで?私との婚約破棄の話だけでこんなに長引かせて.......どんな嫌がらせですの?」
と聞いてみましたわ。
もうこれ以上長居する意味もありませんもの。
私が冤罪をかけられていることは十分説明しましたし、婚約破棄は了承しましたし、他に何を求めていますの?
そう思っていると、ジーア様は
「それは!お前がアリスを虐めたことを認めないからだろう!」
と言って、アリス様の方を抱きましたわ。
アリス様もジーア様の腕の中で当然だ、と言わんばかりに頷いていますが.......なぜ謝る必要がありますの?
だって、私は何もしていません、と説明したではありませんか。
何度言っても話の通じない人達に、思わずため息をついている私に、アレックスは
「アリス......?そういえば、あの男の人って婚約者じゃなかったっけ?」
と私に聞いてきましたわ。
なので
「そうなんですが、何やら辺境に行っている間、誰かに指示を出してアリス様のことを虐めた、なんて訳の分からない冤罪をかけられているんですわ」
と簡単に説明をすると、今までボソボソと話をしていたアレックスが嘘のように
「えぇ!?そんなの出来るわけがないじゃん.....っ!」
と大きな声を出しましたわ。
今まで長い間一緒にいましたが、過去一大きな声ですわね。
まぁ、それほど驚いた、と言うことなんでしょうけど。
そう思いながら、アレックスに
「そうなんですの......一緒にいたアレックスならわかると思いますが、朝起きて魔物の間引き、昼食の後に魔物の間引き、夕食を食べて寝る前に辺境の周りを警備、なんてハードなスケジュールの中に、ジーア様のことを気にする余裕なんてありませんわ」
と言って少し大げさにため息をつくと
「凄く大変だったよね........今では結構慣れてきたけど、最初の時なんて終わったらすぐに寝てたから家に手紙を出すことすら出来なかったのに」
そう言ってアレックスも苦笑していますわ。
そうなんですの。
一時、やることが多すぎて家に手紙を出すことすら出来ずにお母様達には凄く心配されましたわ。
今でこそ、手紙のやり取りはありますが、それも1週間に一度書けるか書けないか、くらいなので、他の人に手紙を書く暇があったら家族や友人を優先して書きますわ。
そう思いながらアレックスに
「本当ですわ。でも話してもわかってくれませんの」
と言って、チラッとジーア様達の方を見ると、今の説明を聞いても納得できないのか、私ではなくアレックスのことを睨みつけていますわ。
それも、今日見た中で一番の鋭さで。
これって、自分は浮気しても良いけど、他の人がしたら許さない、みたいなやつなんでしょうか?
あ、ですがそうだとしたら、ジーア様達の後ろにいる子息達のことも必死に消そうとするはずなのでそれは違いますわね。
ジーア様に思いっきり睨みつけられているアレックスは、視線に気付いたのか
「ひ.....っ!」
と短く悲鳴を上げていますわ。
相変わらずですわね.........。
なんて思っていると、ジーア様は
「そうやって2人で口裏を合わせているんだろう!俺は騙されないぞ!」
と言って私達の方を思いっきり指をさしています。
口裏を合わせている、って、こんな展開になるのは想定外なのに、どうやったら口裏を合わせることが出来るんですか。
これには思わず
「もう何を言ってもこんな感じですの」
とアレックスに言ってしまいましたわ。
だって、本当に何を言っても無駄なんですもの。
それに対してアレックスも
「あはは......大変だね.......」
と苦笑していますわ。
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