旦那様、離婚しましょう ~私は冒険者になるのでご心配なくっ~

榎夜

文字の大きさ
上 下
38 / 50

36話 神様とお話です

しおりを挟む


「メイリス!」

私のその一声で、メイリスは戦闘態勢に入った。

私が魔法を解除するとメイリスはリリーに向かって駆け出した。

作戦は簡単だ。

リリーの注意をメイリスに向けて、私に攻撃が来ないようにする。

ただそれだけだ。





「リリー・アバズリー様、お久しぶりですね」

と言ってメイリスはリリーの前に現れた。

「お前はっ!シエラのっ!!」

リリーがそう言った瞬間メイリスの殺気がぶわっと大きくなった。

そしてメイリスは静かに怒りを露にしてこう言った。

「たかが男爵令嬢ごときがお嬢様を呼び捨てにするんですか?」








私と精霊はリリーとメイリスから距離を少し取り、その光景を見ていた。


「シエラ!注意があの女に向いたわ!」

精霊からのその掛け声で、私は祈りに入った。



神様......見ていますか?

悪しき者から、あの令嬢をお助け下さい...。


そう願うと、目の前が真っ白になり、頭の中に声が流れ込んできた。




『聖女よ......そなたはシエラというのか』

そうです。シエラ・ハーヴェストと申します。

『そうか、今までなぜ祈りを1回も捧げなかった。困った時だけ祈りを捧げるなど図々しいのではないか?』

申し訳ございません...。自分か聖女だと知らなかったのもありますが、祈りが必要だということも知りませんでした。
私の勉強不足でございます。

『ならばこれから毎日、祈りを捧げよ。どこの国も聖女は居ればいいと勘違いをしている』

......勘違いですか?

『聖女の祈りがあってこそ加護が発動するのだ。加護のために魔力を消耗するだろう?あれは全く祈らないから多く取られているのだ』

私が祈ることによって加護も増え、私への負担も少なくなる...ということですか?

『そうだ。それはこの国だけではない。他国も同じだ』

それは、つまりこの国だけで祈るのではなく、他国でも祈ることによって加護を与えることができる......ということでしょうか?

『その通りだ。私の力は一刻に収まるほどそんなにやわではない。聖女が祈れば、の話だが。ここ100年程、まともに祈る者がいなくなってしまった』

わかりました。これから毎日祈りを捧げます。.........その代わり、と言ってはなんですがあの令嬢の悪しき者を追い出すことは出来ますか?

『神に交換条件を持ちかけるのか。面白い奴だな.........あの女を助けることは出来る。だが聞かせてくれ。なぜシエラはあれを助けるのだ?』

......確かに、あの令嬢は助ける価値もない者です。ですが、私の目の前で助けを求めているのなら、私はそれに応えたいんです。

『.........そうか。ならば力を貸そう』

よろしいのですか?

『あぁ、シエラはただ優しいだけの聖女とは違うからな。そなたになら力を貸してもいい』

ありがとうございます

『では約束だ。必ず祈りを捧げること。その代わり、今は力を貸してやろう』

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界から本物の聖女が来たからと、追い出された聖女は自由に生きたい! (完結)

深月カナメ
恋愛
十歳から十八歳まで聖女として、国の為に祈り続けた、白銀の髪、グリーンの瞳、伯爵令嬢ヒーラギだった。 そんなある日、異世界から聖女ーーアリカが降臨した。一応アリカも聖女だってらしく傷を治す力を持っていた。 この世界には珍しい黒髪、黒い瞳の彼女をみて、自分を嫌っていた王子、国王陛下、王妃、騎士など周りは本物の聖女が来たと喜ぶ。 聖女で、王子の婚約者だったヒーラギは婚約破棄されてしまう。 ヒーラギは新しい聖女が現れたのなら、自分の役目は終わった、これからは美味しいものをたくさん食べて、自由に生きると決めた。

神託を聞けた姉が聖女に選ばれました。私、女神様自体を見ることが出来るんですけど… (21話完結 作成済み)

京月
恋愛
両親がいない私達姉妹。 生きていくために身を粉にして働く妹マリン。 家事を全て妹の私に押し付けて、村の男の子たちと遊ぶ姉シーナ。 ある日、ゼラス教の大司祭様が我が家を訪ねてきて神託が聞けるかと質問してきた。 姉「あ、私聞けた!これから雨が降るって!!」  司祭「雨が降ってきた……!間違いない!彼女こそが聖女だ!!」 妹「…(このふわふわ浮いている女性誰だろう?)」 ※本日を持ちまして完結とさせていただきます。  更新が出来ない日があったり、時間が不定期など様々なご迷惑をおかけいたしましたが、この作品を読んでくださった皆様には感謝しかございません。  ありがとうございました。

神のいとし子は追放された私でした〜異母妹を選んだ王太子様、今のお気持ちは如何ですか?〜

星里有乃
恋愛
「アメリアお姉様は、私達の幸せを考えて、自ら身を引いてくださいました」 「オレは……王太子としてではなく、一人の男としてアメリアの妹、聖女レティアへの真実の愛に目覚めたのだ!」 (レティアったら、何を血迷っているの……だって貴女本当は、霊感なんてこれっぽっちも無いじゃない!)  美貌の聖女レティアとは対照的に、とにかく目立たない姉のアメリア。しかし、地味に装っているアメリアこそが、この国の神のいとし子なのだが、悪魔と契約した妹レティアはついに姉を追放してしまう。  やがて、神のいとし子の祈りが届かなくなった国は災いが増え、聖女の力を隠さなくなったアメリアに救いの手を求めるが……。 * 2023年01月15日、連載完結しました。 * ヒロインアメリアの相手役が第1章は精霊ラルド、第2章からは隣国の王子アッシュに切り替わります。最終章に該当する黄昏の章で、それぞれの関係性を決着させています。お読みくださった読者様、ありがとうございました! * 初期投稿ではショートショート作品の予定で始まった本作ですが、途中から長編版に路線を変更して完結させました。 * この作品は小説家になろうさんとアルファポリスさんに投稿しております。 * ブクマ、感想、ありがとうございます。

投獄された聖女は祈るのをやめ、自由を満喫している。

七辻ゆゆ
ファンタジー
「偽聖女リーリエ、おまえとの婚約を破棄する。衛兵、偽聖女を地下牢に入れよ!」  リーリエは喜んだ。 「じゆ……、じゆう……自由だわ……!」  もう教会で一日中祈り続けなくてもいいのだ。

現聖女ですが、王太子妃様が聖女になりたいというので、故郷に戻って結婚しようと思います。

和泉鷹央
恋愛
 聖女は十年しか生きられない。  この悲しい運命を変えるため、ライラは聖女になるときに精霊王と二つの契約をした。  それは期間満了後に始まる約束だったけど――  一つ……一度、死んだあと蘇生し、王太子の側室として本来の寿命で死ぬまで尽くすこと。  二つ……王太子が国王となったとき、国民が苦しむ政治をしないように側で支えること。  ライラはこの契約を承諾する。  十年後。  あと半月でライラの寿命が尽きるという頃、王太子妃ハンナが聖女になりたいと言い出した。  そして、王太子は聖女が農民出身で王族に相応しくないから、婚約破棄をすると言う。  こんな王族の為に、死ぬのは嫌だな……王太子妃様にあとを任せて、村に戻り幼馴染の彼と結婚しよう。  そう思い、ライラは聖女をやめることにした。  他の投稿サイトでも掲載しています。

冤罪で殺された聖女、生まれ変わって自由に生きる

みおな
恋愛
聖女。 女神から選ばれし、世界にたった一人の存在。 本来なら、誰からも尊ばれ大切に扱われる存在である聖女ルディアは、婚約者である王太子から冤罪をかけられ処刑されてしまう。 愛し子の死に、女神はルディアの時間を巻き戻す。 記憶を持ったまま聖女認定の前に戻ったルディアは、聖女にならず自由に生きる道を選択する。

偽物と断罪された令嬢が精霊に溺愛されていたら

影茸
恋愛
 公爵令嬢マレシアは偽聖女として、一方的に断罪された。  あらゆる罪を着せられ、一切の弁明も許されずに。  けれど、断罪したもの達は知らない。  彼女は偽物であれ、無力ではなく。  ──彼女こそ真の聖女と、多くのものが認めていたことを。 (書きたいネタが出てきてしまったゆえの、衝動的短編です) (少しだけタイトル変えました)

【完結】白い結婚で生まれた私は王族にはなりません〜光の精霊王と予言の王女〜

白崎りか
ファンタジー
「悪女オリヴィア! 白い結婚を神官が証明した。婚姻は無効だ! 私は愛するフローラを王妃にする!」  即位したばかりの国王が、宣言した。  真実の愛で結ばれた王とその恋人は、永遠の愛を誓いあう。  だが、そこには大きな秘密があった。  王に命じられた神官は、白い結婚を偽証していた。  この時、悪女オリヴィアは娘を身ごもっていたのだ。  そして、光の精霊王の契約者となる予言の王女を産むことになる。 第一部 貴族学園編  私の名前はレティシア。 政略結婚した王と元王妃の間にできた娘なのだけど、私の存在は、生まれる前に消された。  だから、いとこの双子の姉ってことになってる。  この世界の貴族は、5歳になったら貴族学園に通わないといけない。私と弟は、そこで、契約獣を得るためのハードな訓練をしている。  私の異母弟にも会った。彼は私に、「目玉をよこせ」なんて言う、わがままな王子だった。 第二部 魔法学校編  失ってしまったかけがえのない人。  復讐のために精霊王と契約する。  魔法学校で再会した貴族学園時代の同級生。  毒薬を送った犯人を捜すために、パーティに出席する。  修行を続け、勇者の遺産を手にいれる。 前半は、ほのぼのゆっくり進みます。 後半は、どろどろさくさくです。 小説家になろう様にも投稿してます。

処理中です...