旦那様、離婚しましょう ~私は冒険者になるのでご心配なくっ~

榎夜

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28話 宰相

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~ナリス国side~


「陛下!護衛の者からシエラ嬢が今から戻ってくるとの報告がありました!」

バンっ!と凄い勢いで執務室に入ってきた宰相は、余程急いできたのか少し息があがっていた。

「今すぐ、ハーヴェスト家にも報告をしろ!」

と陛下が言うと、宰相はまた慌ただしげに執務室を出ていった。






✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼


宰相から報告を受けたハーヴェスト夫妻...ユーグとラミエは、とても喜んだ。

ただユーグは1つ気になることがあった。

「マノンはシエラにちゃんと謝ったのか?」

ということだ。

報告には戻ってくる、としか言われなかったが、あの馬鹿がシエラにという簡単なことが出来るとは思えなかった。

もし謝ることなく、シエラに復縁を申し込むような馬鹿なことをしていたら......それなりの罰を受けてもらおう。



ユーグは今の考えを頭の片隅に追いやって、シエラを出迎える準備を始めた。






✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼


ハーヴェスト夫妻に報告を終えた宰相は、再び執務室へと向かっていた。

シエラが戻ってきてくれるのは、とても有難い。
作物不足も兵力の問題も解決し、大きく進展出来るだろう。



.........それに、あの憎いリリー・アバズリーに処罰を与えることが出来る。



今まで明かしてなかったが、宰相は伯爵の地位を持っている。
子供は息子が2人と娘が1人だ。

たぶん想像出来たと思うが、宰相もあのリリー・アバズリーの被害者の1人だ。

でも、他の被害者とは少し違った。


宰相の次男はリリーと同い年で、だった。

息子は顔は普通だが、誠実で頭が良く、周りからの評判もかなり良かった。

アバズリー男爵にはリリー以外の子供がいないから、入婿として結婚して男爵になる......そう思っていた。

あの女は婚約者がいるにも関わらず、男達を誑かし、体の関係を色んな人と持っていた。

そして、その男たちをつかって、婚約者である息子の悪い噂をでっち上げた。

宰相の息子だから、父親に頼んで成績を不正に上げてもらっている。
女を誑かして、遊びまわっている。
金遣いが荒く、リリーから金を巻き上げている。

など、あるわけもない噂が飛び交った。

言っているのが下級貴族がほとんどだったから、大きな騒ぎにはなっていないが、このことで勿論、婚約は取り消し。

今まで仲がいいと思っていた人達、全員が噂を信じて離れていってしまった。

そして息子は、人間不信になり、今でも部屋から出てきてくれることは無くなってしまった。



今回の件でリリー・アバズリーを引きずり下ろすことが出来る。

今までの悪事を全て暴露し、アバズリー家諸共壊してやる。

宰相はそう心に決め、陛下の元へと急いだ。
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