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22話 ワイバーンです
しおりを挟む「さっき聞こえた音はここら辺だと思ったんですが...」
私達は、結界のおかげで、オーガ達に気配を気付かれることなく目的地へと辿り着いた。
『ギャァァァァァァァァ』
すると鼓膜が破れるんじゃないかと思ったくらいの大きな鳴き声が聞こえてきた。
「シエラさん!ワイバーンです!」
「俺達が先行します!2人は支援をお願いします!」
そう言うと、私とメイリス以外の皆がそれぞれの武器を手に駆け出して行った。
盾剣士がヘイトを集めてワール含む剣士達が切り込んでいく。
後ろからは魔術師達の魔法攻撃だ。
計画通り、先制攻撃は上手くいった。
.........そう思った。
『ギャアギャア』
と鳴き声をあげるワイバーンは少しも傷がついていなかった。
「は!?嘘だろ!あれだけ上手く攻撃が入ったのに!」
「落ち着け!集中しろ!」
「くっそ!俺がまたヘイトを集める!」
盾剣士がワイバーンに向かって駆け出すと
ザシュッ
と音が鳴った。
「ぐはぁぁぁぁぁ!」
盾剣士の盾はもちろんのこと、鎧を着ていたはずの身体をもろともせず切り裂いた。
「おいっ!大丈夫か!?」
仲間の元に駆け寄る暇もなく、ワイバーンは攻撃を続けていく。
『ギャアギャアギャア』
戦闘に時間がかかればかかるほど、どんどん戦える人数だけが減っていく。
私達は少し後ろの方でその様子を見ていた。
でも、流石にここまでやられてしまうと、待機、という訳にもいかない。そう思った。
「メイリス。そろそろ、見てるだけなのは辞めた方がいいわね」
私がメイリスに言うと、そうですね、と頷いた。
「私は傷付いた人達を回復させるわ!メイリスはワイバーンを!」
「承知致しました」
そう言うと、メイリスはワイバーンに向かって駆け出した。
私は倒れている人達に駆け寄り、次々回復魔法をかけた。
「はは......女神達にカッコいいとこ見せたかったんだけどな.........」
と盾剣士を初めとする皆が口を揃えて同じことを言っていた。
「大丈夫ですよ。十分カッコよかったです...........ハイヒール」
「くそ...一旦引くしかないのか」
そうワールが覚悟した時だった。
「ワールさん!」
とメイリスが現れた。
「メイリスさん!?」
「加勢します!」
メイリスはワイバーンに向かって高く飛び跳ね、懐から短剣を出して首を狙って深く刺した。
『ギャァァァァァ!』
「くっ...流石に一撃じゃ無理か」
短剣は刺さったが、致命傷を与えた訳ではなかった。
それに気付いたメイリスは
「魔術師の2人は頭を狙って今出来る、1番強い攻撃魔法を!ワールさんは足を狙ってください!」
と今戦える3人に指示を出し、またワイバーンへと向かって行った。
「2人共、まだ戦えるよな?」
とワールが魔術師に聞くと
「もちろんです!」
「女神が戦ってるのに俺らが戦わないなんて、ありえないっす!」
とそれぞれ答えた。
「よっしゃ!2人共!デカい一撃を頼んだぜ!」
そう言うと、ワールはメイリスの後を追いかけた。
その背中に
「「はい!!」」
と2人の大きな返事が聞こえた。
「ワールさん!」
「おうよ!!」
ワールが足を狙って剣を投げ飛ばす。
すると、ワイバーンの体勢が少し崩れて傾き出した。
「魔法を!」
「「はい!!」」
そこにすかさず攻撃魔法がワイバーンの頭を目掛けて飛んでいく。
『ギャァァァァァァァァァ』
とワイバーンが上から落ちてきたところで、メイリスが腰にぶら下がっている剣を抜きながら駆け出し、
シュバッ
ワイバーンの頭を切り落とした。
「...............やったのか?」
「...............多分?」
「.........勝ったんですか?」
まだ実感の湧かない3人にクスクスと笑いながら
「勝ちましたよ」
とメイリスが言うと
「「「やったぁぁぁぁぁぁ!!!」」」
と3人は抱き合いながら喜んだ。
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