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6話 父と母とメイド達
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~ハーヴェスト侯爵家 別宅にて~
シエラとメイリスが家を出た頃、
ハーヴェスト家先代当主、ユーグ・ハーヴェストはノアから受け取った手紙を読んでいた。そして静かに、とても静かに怒っていた。
「ほぅ、あそこまで頼まれて結婚させてやったのにこんなことになっていたとは」
「私がついていながら申し訳ございません。」
謝っているのは、シエラに手紙を託されたノアだった。
「貴方は何も悪くないわ。手紙を届けて、事情を説明しただけだもの」
と言って微笑むのは、シエラの母 ラミエ・ハーヴェストだ。
手紙を読んでいたユーグは、急に目を見開き、慌てだした。
「な...っ!シエラは国を出たのか!?」
「私がいた時はまだ家から出ていませんが、その後のことはわかりません」
「なんてことだ......」
とユーグは項垂れた。ラミエは手紙を受け取り、顔を歪めた。
「...............ぞ」
「え?」
「今すぐ!シエラのところに行くぞ!!それと、早急にマノンを帰宅させろ!」
と言うと、慌ただしく外出の準備を始めるのだった。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
~ ハーヴェスト侯爵家にて ~
一方その頃、
「ちょっと!どういうことよ!!」
「ですから、先程から言っている通り、お嬢様は今外出しておりますので、家に入れることは出来ません」
ハーヴェスト家の門の前ではリリー・アバズリーが訪れていた。
「だーかーら!なんでマノン様の家なのに、この私が入れないのよ!あんな奴が居なくても当主の愛人よ!?お腹の子供がどうなってもいいの!?」
リリーは、外にいるメイドに手当り次第、中に入れろ!と言い続けていた。
呼び止められたメイド達は仕事の邪魔をされて迷惑でしかなかった。
「申し訳ございません。当主からの許可がない限り入れることは出来ません。では、私は洗濯の途中ですので」
などと理由を付けてさっさと立ち去っていくメイド達を見てリリーは腹が立っているようだった。
「当主からの許可なんて要らないわよ!私は愛されているんだから!!」
なんて、訳の分からない事を叫んでいた。
ちょっと!そこのあんた!! と外の掃除をしていたメイドを呼びつけたが、その子は
「リリー様は1週間後に来る、と仰ってましたので、まさか次の日に、また来るとは思っておりませんでした。なので、来客の準備が出来てません。お帰りくださいませ」
と少し嫌味を混ぜて言うと、周りの人達がクスクスっと笑った。
それを見てバカにされてるとわかったようで顔を真っ赤にさせていた。
「なっ......貴方!私が誰かわかってて言ってんの!?」
「えぇ、学生時代の時から男漁りに必死だった、リリー・アバズレさんですよね?噂はよく聞いておりました」
本当にその通りですね、と言ったら周り笑いが少し大きくなった。
「アバズレじゃないわよ!アバズリーよ!!今は帰ってあげるけど、貴方の言ったことを全部マノン様に教えるんだからっ!!」
ここまでバカにされて、居づらくなったのか 覚えてなさいよ!と捨て台詞を吐いて、そそくさと帰っていった。
ハーヴェスト家には、当主交代してから男爵家や子爵家から長子以外の人ががメイドとして働きに来ることがあった。
その理由は様々だが、大体はシエラに憧れてやってくるため、ちゃんと忠誠を尽くしてくれている。
今、アバズリーに嫌味を言ったのは元々、子爵令嬢だ。
だから、自分より下の身分のリリーに対して少し嫌味を言うくらい大して問題にならない。
まぁ、バカだからそんなことも知らないんでしょうけど...と言うとその場にいた人達は声をあげて笑った。
今回の勝者
ハーヴェスト家のメイド( 子爵令嬢 ) 笑
~ハーヴェスト侯爵家 別宅にて~
シエラとメイリスが家を出た頃、
ハーヴェスト家先代当主、ユーグ・ハーヴェストはノアから受け取った手紙を読んでいた。そして静かに、とても静かに怒っていた。
「ほぅ、あそこまで頼まれて結婚させてやったのにこんなことになっていたとは」
「私がついていながら申し訳ございません。」
謝っているのは、シエラに手紙を託されたノアだった。
「貴方は何も悪くないわ。手紙を届けて、事情を説明しただけだもの」
と言って微笑むのは、シエラの母 ラミエ・ハーヴェストだ。
手紙を読んでいたユーグは、急に目を見開き、慌てだした。
「な...っ!シエラは国を出たのか!?」
「私がいた時はまだ家から出ていませんが、その後のことはわかりません」
「なんてことだ......」
とユーグは項垂れた。ラミエは手紙を受け取り、顔を歪めた。
「...............ぞ」
「え?」
「今すぐ!シエラのところに行くぞ!!それと、早急にマノンを帰宅させろ!」
と言うと、慌ただしく外出の準備を始めるのだった。
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~ ハーヴェスト侯爵家にて ~
一方その頃、
「ちょっと!どういうことよ!!」
「ですから、先程から言っている通り、お嬢様は今外出しておりますので、家に入れることは出来ません」
ハーヴェスト家の門の前ではリリー・アバズリーが訪れていた。
「だーかーら!なんでマノン様の家なのに、この私が入れないのよ!あんな奴が居なくても当主の愛人よ!?お腹の子供がどうなってもいいの!?」
リリーは、外にいるメイドに手当り次第、中に入れろ!と言い続けていた。
呼び止められたメイド達は仕事の邪魔をされて迷惑でしかなかった。
「申し訳ございません。当主からの許可がない限り入れることは出来ません。では、私は洗濯の途中ですので」
などと理由を付けてさっさと立ち去っていくメイド達を見てリリーは腹が立っているようだった。
「当主からの許可なんて要らないわよ!私は愛されているんだから!!」
なんて、訳の分からない事を叫んでいた。
ちょっと!そこのあんた!! と外の掃除をしていたメイドを呼びつけたが、その子は
「リリー様は1週間後に来る、と仰ってましたので、まさか次の日に、また来るとは思っておりませんでした。なので、来客の準備が出来てません。お帰りくださいませ」
と少し嫌味を混ぜて言うと、周りの人達がクスクスっと笑った。
それを見てバカにされてるとわかったようで顔を真っ赤にさせていた。
「なっ......貴方!私が誰かわかってて言ってんの!?」
「えぇ、学生時代の時から男漁りに必死だった、リリー・アバズレさんですよね?噂はよく聞いておりました」
本当にその通りですね、と言ったら周り笑いが少し大きくなった。
「アバズレじゃないわよ!アバズリーよ!!今は帰ってあげるけど、貴方の言ったことを全部マノン様に教えるんだからっ!!」
ここまでバカにされて、居づらくなったのか 覚えてなさいよ!と捨て台詞を吐いて、そそくさと帰っていった。
ハーヴェスト家には、当主交代してから男爵家や子爵家から長子以外の人ががメイドとして働きに来ることがあった。
その理由は様々だが、大体はシエラに憧れてやってくるため、ちゃんと忠誠を尽くしてくれている。
今、アバズリーに嫌味を言ったのは元々、子爵令嬢だ。
だから、自分より下の身分のリリーに対して少し嫌味を言うくらい大して問題にならない。
まぁ、バカだからそんなことも知らないんでしょうけど...と言うとその場にいた人達は声をあげて笑った。
今回の勝者
ハーヴェスト家のメイド( 子爵令嬢 ) 笑
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