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87話 アンナside
しおりを挟む一体何が起こっているのか、何も把握していない私は、とりあえず
「お父様はなんであんなに怒っているの?」
とお母様に尋ねると、手に持っていた一枚の紙を渡された。
そこには、我が家の罪状、決まった処罰が淡々と書かれていて、私も一気に血の気が引いたのがわかった。
思わず
「なんで.........」
と呟く私に、お母様は、はぁ.....と大きくため息をついて
「私もわからないわ。でも、確かに悪いことはしていたから......我が家はもう終わりよっ!」
そう言って泣き出してしまった。
それを見て、私も泣きそうになってしまったわ。
だって私だって、あんなの好きでやっていたわけじゃないわ。
そう思っていると、お兄様が
「最悪だ.......父上に命じられたからとはいえ、俺までこんな目に.......」
と呟いたのが聞こえてきたから、反射的に
「わ、私だってお父様に言われたからやっていただけよ!」
と返してしまった。
でも、これは本当のことよ。
お父様が簡単に稼げる方法がある、とか言ってきたからそれを手伝っただけ。
しかも、1人につきお小遣いも貰えたからね。
だったら簡単なことだったし、やるに決まってるでしょ。
そう思っていると、お兄様は
「楽しんでいたくせに何を言っているんだ?」
と私を睨みつけてきたわ。
何か言い返してやろう、と思って口を開いたけどこれには何も言い返せなかった。
だって、本当のことなんだもん。
最初はお父様に言われて、お小遣いも貰えるし、渋々だったわ。
でも、色んな男性に声をかけて、思った以上に簡単に誑かされるものだから、何人くらいいけるかなー?なんて思ってゲーム感覚で楽しんでいたわ。
それの何が悪いのよ!
だって、元はお父様に言われたからやったのが最初なのに!
そう思っていると、どこからか
「は、離せ!俺をこんな目に遭わせてどうなるかわかっているんだろうな!」
というお父様の怒鳴り声と、バタバタっと誰かが家の中を走っている音が聞こえてきた。
反射的に
「な、なに!?」
と扉の方を見つめる私に、お兄様が
「兵士達だろう」
と冷たい声で呟いて扉を見つめていた。
兵士たち?
え?でも、この手紙って今来たばかりでしょう?
それなのにもう来たの?
そう思いながら
「ってことは、私達捕まるの!?」
と私が言うと、お母様はせっかく落ち着いていたのに再び泣き叫び、お兄様は私の言葉に小さく頷いた。
咄嗟に出てきたのは
「公爵夫人は?」
ということだった。
だって捕まっちゃったら公爵夫人なんてなれないじゃない!
そんなの、私の計画が崩れちゃうわよ!
そう思っていると、お兄様は、はぁ......と大きくため息をついて
「もう無理だな。俺の婚約も白紙になった」
と言った。
こんな話をしているうちにも、お父様の声は聞こえなくなって、足音が少しづつ大きくなってきている。
え?ってことは、私はこれから紙に書いてある通り貴族じゃなくなるの?
だって、私はお父様に言われたからやっていただけで.........。
私は何も悪くない!
そう思って、兵士たちから逃げるために執務室の扉に手をかけるとゆっくりと扉が開いた。
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