婚約破棄されましたが、お兄様がいるので大丈夫です

榎夜

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77話

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そんなにあからさまにホッとしなくても、家の害になるようなことは言いふらしませんわよ。

そう思っていると、お母様は

「それで?2人はなんて言っていたの?」

と聞いてきました。

やっぱりそれが気になりますわよね。

婚約者に、とほぼ確定していた時にこの話ですもの。

まぁ、簡単に言いますと、レオンハルト様は寂しそうにしていましたが、応援してくれる、とのことでしたわ。

元々、男しか跡を継げない、という決まりは問題が起こるだろう、と思っていたとのことで、レオンハルト様からも、お父様達が許可をしてくれたのなら陛下に話をしてくれる、と約束しています。

正直、話をしたときはそのような返事が来ると思っていなかったので驚きましたが、心強い味方が出来たみたい安心しましたわ。

それからフレッド様ですが、アンナ様のことを知っているからこそ、確かに家に入れるのは危険だ、と詳しく話をしなくても状況を理解してくれましたわ。

それに、フレッド様からしてみると、アンナ様を爵位の高い家に入れるほうが危険だ、と話をしていたみたいですわ。

残念だけど......とは言っていましたが応援する、と言ってくれました。

なので、私の婚約者については問題ありません、とのことをお母様に話すと、大きくため息をついた後に

「そういうことは、私達にも話してから言いなさいな」

と呆れたかのように言われてしまいましたわ。

確かにお母様の言う通りですわね。

ですが

「だって反対されると思っていましたもの」

そう言って苦笑すると

「確かに反対したくても、そこまで手をまわしていたら出来ないわね」

とお母様も苦笑しましたわ。

実はお父様よりもお母様の方が説得するのに苦労する、ということはわかっていたので、しっかりと手をまわしたんですが、大正解でしたわね。

これでまだレオンハルト様たちに話していなかったら、バカなことを言うのは辞めなさい、と言われていたでしょうし。

そう思いながら、ポカーンとしているお父様に

「それで、私から出す案は2つですわ」

と、前置きして私から2つの提案をしました。

「まず1つ目はアンナ様ではない令嬢をお兄様の婚約者にする」

まぁ、これに関しては次の婚約者もアンナ様のような人だったら意味のない話なんですが、アンナ様よりもマシだったら別に良いと思いますわ。

そして

「2つ目はお兄様とアンナ様と結婚させる代わりに、私をこの家の当主にする」

これは、元々お兄様に跡を継がせる、という約束を破ってしまいますが、婚約をなしに出来ないのなら仕方のないことだと思っています。

私だって、出来ることならお兄様に後を継いでほしいと思っていますわ。

今まで頑張って勉強をしていたのもわかっていますし、ここで私が後を継ぐ、となるとお兄様が傷つきますもの。

そう思いながら

「私はどちらでも構いません。ただ、アンナ様をこの家に入れること、それを阻止出来たら良いんです」

と締めくくると、お父様は

「なるほど.......シャルロットの想いはしっかりと受け取った」

そう言って引き出しの中から数枚の束になっている紙を取り出して私に渡してきました。

反射的に受け取ってしまいましたが

「なんですの?これは」

と当然聞きましたわ。

だって、表紙が真っ白で何が書いてあるのかわかりませんもの。

すると、お父様は急に真剣な顔をして

「アンナ嬢の家のことを調査した結果だ」

そう言いました。
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