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74話 ベルンside
しおりを挟む化けの皮がはがれた、というのが正解なのか、今までの可愛らしいアリスとは比べ物にならないほど可愛げのないアリスが目の前にいるが......さっきから一言も話をすることはなかった。
アリスがどこで降りるのか、それとも家まで一緒に来ようと思っているのかわからないが、一応同じ馬車に乗っているのに何も話のないこの空気はしんどいものがあるな。
そう思っていると、アリスが急に
「ところで、ベルン様」
と話しかけてきた。
アリスもなんだか嫌な空気が流れている、と思ったんだろうか?
そう思いながら
「なんだ」
と返事を返すと
「ベルン様ってこの後どうするんですか?家に戻って普段通り学園に行くんですか?」
アリスはそう言って首を傾げた。
何をとぼけているんだ?
さっきアリスのせいで平民になることを言ったはずだろう。
もしかして人の話を聞いていなかったのか?
そう思って改めて
「誰かさんのせいで俺も平民になる。だから家に帰って荷物を詰めたら追い出されるだろうな」
とため息をつきながら言うと
「へぇ~、そうなんですねぇ」
アリスはニヤニヤと嫌な笑みを見せながら頷いていた。
な、なんだ?気味が悪いな。
これには思わず眉をひそめて
「何が言いたい?」
と尋ねたが、アリスは
「いえ、別に何もないですよ」
としか言ってくれなかった。
はぁ......こいつ、家を追い出される時はあんなにも反省している感じを出していたのにな。
今は反省どころかなんだか楽しんでいるようにも見える。
一体なにがしたいんだ?
もしかして、平民に落とされるためにわざと俺に声をかけてシャルロットを陥れようとしたとかそういうことなのか?
そう考えるとアリスのことが恐ろしく思えてくる。
何が目的かはわからないが、今のアリスはとにかく冷静ではない、ということは確かだ。
ーーーーーーーーーーーーーーー
そんなことを思っているうちにアリスを馬車から降ろすこともないまま家に到着してしまった。
はぁ.....今から荷物を詰めて、それから家を探して.....。
そういえば馬車は使っても良いのか?
もし使ってもいいなら大きな荷物も持って行くことが出来るが........。
そう思いながら馬車で門に近付いて、門番に
「おい、門を空けろ」
と声をかけた。
何を考えているのかわからないが、馬車が見えたのに一向に門が開かないからな。
いつもだったら何も言わなくても開くのに、仕事をサボっている証拠だ。
そう思っていると、門番は
「ここから先は入れません」
と俺に言ってきた。
これには反射的に
「.........は?」
としか言えなかったが、なんだ?
なんで俺が家に入れないんだ?
.....まさか父上が門番に何か言って...........。
そう思っていると、門の端の方に俺が詰めていた途中の荷物が置いてあることに気付いた。
咄嗟に馬車を降りて
「なんでここに.........」
と呟いて荷物を見てみると、俺が入れたもの以外何も入っていなかった。
どういうkとおだ?
父上はもう荷物を詰め終わったとでも思っているのか?
まだ鞄の半分も詰めていないんだぞ!?
そう思いながら荷物を漁ると、中に一枚の手紙が入っていることに気付いた。
急いでその手紙を開くと、そこにはただ住所と簡易的な地図が書いてあるだけで、他には何もなかった。
........つまり...ここに行けってことなのか?
い、いや、だが金目のものが何も入っていないんだ。
これでどうやって生活しろっていうんだ!
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