婚約破棄されましたが、お兄様がいるので大丈夫です

榎夜

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67話 ベルンside

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次の日、父上に絶縁宣告されて、もう八方塞がりの俺は渋々だが荷物の整理を始めた。

あれだけハッキリと言われているんだからもう覆ることはないとわかっていたから。

それに、何もせずに自分の身一つで追い出されるのだけは勘弁だからな。

多少の着替えと後は.....家具とかは無理だな......。

クソっ!金になりそうなものを持って行って.......生きていくには仕事もしないといけないのか。

家だって、どこにもあてがないけどどうにかしないといけない.......。

......俺に出来るのか?

いや、平民でも出来るんだ。

俺に出来ないわけがない。

なるべく強気で、俺だって平民でも生きていける、と思っていても、ふとした時に涙が出るほど悲しかった。

父上にとって俺は邪魔な存在でしかなかったんだな、とか。

母上ならお腹を痛めて産んだ子、とか言うし、俺のことを一番に思ってくれている、なんて思っていたけど全く違ったんだなーとか。

家のメイド達だって誰1人、俺のことを庇ってくれる人はいなかったな、とか。

とにかく自分で招いたことなのに悲しくて仕方がなかった。

仕方のない事なのはわかっている。

アリスと遊んでばかりいたから父上たちと話をすることもなかったし、メイド達には少し気に食わないことがあったらすぐに八つ当たりしていたからな。

俺が悪いんだってことは理解している。

でも、それと同時に、俺だけがこんな目に遭うのもおかしい話ではないか?

アリスだってシャルロットに対してあんな態度をとっていたんだから、俺と同じような目に遭ってもいいだろう、と思った。

だっておかしくないか?

元々はアリスが俺にすり寄ってきたから俺はそれに応じただけだ。

婚約者がいるって知っているにも関わらず、俺に近付いてきたのはアリスの方だし、アリスが近付いてこなかったらシャルロットと今も婚約していただろう。

それにシャルロットの噂のことに関しても、アリスがそう言えばいい、と言ったから俺はその通りにしただけだ。

言ってしまえば俺だって被害者みたいなものだ。

そう考えれば考えるほど、アリスに対する愛しさよりも怒りの方が強くなってきた。

俺だけが平民に落とされて、アリスは男爵家だけど悠々と生きていくなんてあまりにも卑怯ではないか?

だってアリスと同じことをして、しかも俺はアリスよりも爵位が上なんだぞ?

それなのにアリスだけが助かるなんて、許せない.......っ!

そう思ったら居てもたってもいられなかった。

荷物を詰めていた手を止めて、普段だったらアリスに嫌われないように、とか気を使って身なりの確認もしていたけど、そんなことだってしない。

家にいるときの格好のままでアリスの家に向かった。

アリスの家の場所は知っていたけど、家に行くのは初めてだ。

だから少し悩んだが、今はそれどころではない。

俺だけがこんな目に遭っているのはあまりにも不公平すぎる!

絶対にアリスも同じような目に遭わせてやる!

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