婚約破棄されましたが、お兄様がいるので大丈夫です

榎夜

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62話

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お兄様があのようなことをしたことについては、あの後すぐにお父様に報告しましたわ。

私の話を聞いたお父様は

「なんとなく、そういうことをしそうだと思っていたが.......こんなにも早くに実行するとは思わなかった」

と頭を抱えていました。

アンナ様も、今日会ったばかりの人なのに、お兄様の上に座るだなんて、ただの阿婆擦れじゃないですか。

あれがお兄様の婚約者になるのであれば、私は絶対に家から出ていかないですわ!

そう思いながら、その日は就寝しました。

食事を用意してくれた料理長には申し訳ありませんが、ご飯を食べれるほどの気力もありませんでしたの。



そして次の日、お兄様と一度も顔を合わせることなく学園に向かいましたわ。

私があんなことを言ってしまったので、まぁ、お兄様の方も顔を見たくありませんわよね。

なんて思いながら教室に入ると

「マリアンヌ様、申し訳ありませんでした!」

「私も謝りますわ。本当に申しわけありませんでしたわ」

「俺も.......申し訳ありませんでした」

......えっと?

なぜ私は皆から頭を下げられているんでしょう?

しかも、他のクラスの人まで私の元に来て、次々と

「すみませんでした!」

「申し訳ありません」

と頭を下げていきますわ。

一体何が起こっていますの?

この不思議な状況について行けず、キョトンとして立ち尽くしていると

「マリアンヌ様、おはようございます」

と聞きなれた声が聞こえてきましたわ。

声の主はビビアン様で、助けを求めるように駆け寄ると、私の雰囲気に察してくれたんでしょう。

「あぁ......これは一体何事か、と思っていますわね」

そう言って苦笑していますわ。

ビビアン様の言葉に、

「えぇ、何が起こっていますの?皆から謝られることなんてありました?」

そう言って改めて頭を下げている人を見ると、結構な人数ですわ。

しかも、クラスの中だけではなく、廊下にまでいますわね。

なんか皆で私のことをからかっています?

それくらい不思議な光景ですわ。

なんて思っていると、ビビアン様に

「ところでベルン様の話は聞きました?」

と聞かれましたわ。

ベルン様のこと、ですか。

そういえばあの後何も報告がありませんわね。

なんて思いながら

「いえ.......昨日は婚約者の候補の人と会っていましたし、お兄様のことで色々あってそれどころではありませんでしたわ」

と答えると

「あら、また何かありましたの?」

なんだか楽しそうにビビアン様がそう聞いてきましたわ。

でも、こんなにも人がいる中で話をするわけにもいかないので

「ビビアン様には後で話をしますわ。それよりも、それとこれは一体何の関係がありますの?」

と尋ねると

「この人たちはベルン様の虚言を真に受けた人たちですわ」

ビビアン様はそう言って頭を下げている人たちを睨みつけました。

これには

「あぁ......そういうことでしたか」

と納得してしまいましたが、なんで私に謝っているのかはわかりませんわ。

それに、黙っていればわからない話ですし、直接嫌がらせをされたわけでもありませんしね。

とりあえず、このまま頭が下げられたまま、というのも異様な光景ですし皆に頭を上げてもらって、その場を収めることにしました。

はぁ.....基本的に貴族たちはプライドの高い人ばかりだと思っていますが、一体何があってこのような行動をしたんでしょうね。

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