婚約破棄されましたが、お兄様がいるので大丈夫です

榎夜

文字の大きさ
上 下
45 / 89

44話

しおりを挟む
フレッド様の話を聞いたお父様は

「俺も顔を見たときは驚いた」

と私に小声で言ってきましたわ。

そりゃあそうですわよね。

だって、お兄様とそっくりな人が婚約者候補として現れたんですもの。

そう思っていると、フレッド様は

「それで?愛しのお兄様と同じ顔の俺と婚約するよな?そりゃあそうだよな」

ニヤニヤと笑いながら私にそう言ってきましたわ。

何となくですが私の様子を見て楽しんでいますわね。

本当に性格が悪いですわ。

こんなのと婚約.......しかもお兄様と顔がそっくりだなんて............。

「........ありえませんわ」

思わず私がそう呟くと、フレッド様はニヤニヤとした顔のまま

「は?」

と聞き返してきました。

もうこの聞き方も嫌ですわ!

そう思って、フレッド様をキッと睨みつけて

「だから、ありえません、と言ったんですわ!」

と言ってやりましたわ。

だって、本当にあり得ませんもの!

するとフレッド様は

「はぁ?まず、この俺が求婚してやったことについても感謝すべきなはずだろう!婚約破棄された傷物のお前なんか誰が婚約者にしたいと思ってるんだよ!」

と一気に私に言ってきましたわ。

わかってはいますが、他の人に傷物だ、なんて言われると少し悲しくなりますわよね。

ですが、私だって好きで婚約破棄したわけではありませんし、ベットも共にしていませんから純情は守られています。

本当に腹が立ちますわ!

フレッド様のお父様は、自分が存在しないかのように気配を消して、フレッド様のことを止める気もないみたいですわね。

こんなの、両家の印象が悪くなるだけですわよ?

そう思っていると、今まで黙っていたお父様が

「それは違うな」

と低い声を出しました。

そして、

「シャルロットは10人以上の人から婚約して欲しいと話があった。別にフレッド殿じゃなくても選べるほどにいたんだ」

とフレッド様を睨みつけながら言いましたわ。

私もお父様の言葉に頷いていると、フレッド様は

「う、嘘だろ?」

そう言って顔色を変えています。

多分ですが、自分以外いないだろう、と思ってこんなに傲慢な態度をとっていたんでしょうね。

年齢の割に考え方は子供ですわ。

顔色を変えて戸惑っているフレッド様にお父様は

「だから選んでくれて感謝すべきはそっちなんじゃないのか?初対面でそんな態度をとって、よく婚約できると思ったな」

そう言うと、流石に言い返すことが出来ないようで

「そ、それは...........」

と口をモゴモゴ動かしていますわ。

なんか、しっかりと話をすればいい人なんでしょうか?

いや、まだわかりませんわね。

すると、散々フレッド様の暴走を止めなかった公爵が

「本当に申し訳ございません!家でも口うるさく言っていたんですが..........」

とやっと口を開きましたわ。

もっと早くに口を挟んでいたらここまでフレッド様が暴走することはなかったでしょうね。

遅すぎますわ。

お父様は公爵に

「まぁ、このままだと婚約する前にこの話はなかったことになるでしょう」

というと公爵は黙って下を向いてしまいましたわ。

すると、

「ちょ、ちょっと待ってくれ!いや、待ってください!」

という声が応接室に響き渡りました。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】『婚約破棄』『廃嫡』『追放』されたい公爵令嬢はほくそ笑む~私の想いは届くのでしょうか、この狂おしい想いをあなたに~

いな@
恋愛
婚約者である王子と血の繋がった家族に、身体中をボロボロにされた公爵令嬢のレアーは、穏やかな生活を手に入れるため計画を実行します。 誤字報告いつもありがとうございます。 ※以前に書いた短編の連載版です。

乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?

シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。 ……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。

【完結】ご安心を、問題ありません。

るるらら
恋愛
婚約破棄されてしまった。 はい、何も問題ありません。 ------------ 公爵家の娘さんと王子様の話。 オマケ以降は旦那さんとの話。

異世界転移聖女の侍女にされ殺された公爵令嬢ですが、時を逆行したのでお告げと称して聖女の功績を先取り実行してみた結果

富士とまと
恋愛
公爵令嬢が、異世界から召喚された聖女に婚約者である皇太子を横取りし婚約破棄される。 そのうえ、聖女の世話役として、侍女のように働かされることになる。理不尽な要求にも色々耐えていたのに、ある日「もう飽きたつまんない」と聖女が言いだし、冤罪をかけられ牢屋に入れられ毒殺される。 死んだと思ったら、時をさかのぼっていた。皇太子との関係を改めてやり直す中、聖女と過ごした日々に見聞きした知識を生かすことができることに気が付き……。殿下の呪いを解いたり、水害を防いだりとしながら過ごすあいだに、運命の時を迎え……え?ええ?

【完結】義母が来てからの虐げられた生活から抜け出したいけれど…

まりぃべる
恋愛
私はエミーリエ。 お母様が四歳の頃に亡くなって、それまでは幸せでしたのに、人生が酷くつまらなくなりました。 なぜって? お母様が亡くなってすぐに、お父様は再婚したのです。それは仕方のないことと分かります。けれど、義理の母や妹が、私に事ある毎に嫌味を言いにくるのですもの。 どんな方法でもいいから、こんな生活から抜け出したいと思うのですが、どうすればいいのか分かりません。 でも…。 ☆★ 全16話です。 書き終わっておりますので、随時更新していきます。 読んで下さると嬉しいです。

婚約破棄? 私、この国の守護神ですが。

国樹田 樹
恋愛
王宮の舞踏会場にて婚約破棄を宣言された公爵令嬢・メリザンド=デラクロワ。 声高に断罪を叫ぶ王太子を前に、彼女は余裕の笑みを湛えていた。 愚かな男―――否、愚かな人間に、女神は鉄槌を下す。 古の盟約に縛られた一人の『女性』を巡る、悲恋と未来のお話。 よくある感じのざまぁ物語です。 ふんわり設定。ゆるーくお読みください。

地味で器量の悪い公爵令嬢は政略結婚を拒んでいたのだが

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。 心優しいエヴァンズ公爵家の長女アマーリエは自ら王太子との婚約を辞退した。幼馴染でもある王太子の「ブスの癖に図々しく何時までも婚約者の座にいるんじゃない、絶世の美女である妹に婚約者の座を譲れ」という雄弁な視線に耐えられなかったのだ。それにアマーリエにも自覚があった。自分が社交界で悪口陰口を言われるほどブスであることを。だから王太子との婚約を辞退してからは、壁の花に徹していた。エヴァンズ公爵家てもつながりが欲しい貴族家からの政略結婚の申し込みも断り続けていた。このまま静かに領地に籠って暮らしていこうと思っていた。それなのに、常勝無敗、騎士の中の騎士と称えられる王弟で大将軍でもあるアラステアから結婚を申し込まれたのだ。

王太子に婚約破棄され塔に幽閉されてしまい、守護神に祈れません。このままでは国が滅んでしまいます。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 リドス公爵家の長女ダイアナは、ラステ王国の守護神に選ばれた聖女だった。 守護神との契約で、穢れない乙女が毎日祈りを行うことになっていた。 だがダイアナの婚約者チャールズ王太子は守護神を蔑ろにして、ダイアナに婚前交渉を迫り平手打ちを喰らった。 それを逆恨みしたチャールズ王太子は、ダイアナの妹で愛人のカミラと謀り、ダイアナが守護神との契約を蔑ろにして、リドス公爵家で入りの庭師と不義密通したと罪を捏造し、何の罪もない庭師を殺害して反論を封じたうえで、ダイアナを塔に幽閉してしまった。

処理中です...