婚約破棄されましたが、お兄様がいるので大丈夫です

榎夜

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39話

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私がベルン様を睨みつけていると、アリス様がコソコソとその場を離れそうとしているのが目に入りましたわ。

今の標的がベルン様になっているから逃げられると判断したんでしょう。

背中を向けずに立ち去ろうとしているのが、もう意図的ですわよね。

バレないようにこっそりと逃げようとしているのがバレバレですわ。

本当に甘い考えですわね。

そう思いながら、一歩前に出て

「アリス様?そんなにベルン様と離れてどうしましたの?」

ニッコリと笑ってアリス様にそう話しかけるとビクッと跳ね上がって私の方を見てきました。

あら、怖い顔をしていますわ。

なんで言ったんだ、という感じでしょうね。

ですが、私は疑問をぶつけただけで何もしていませんのにおかしい話ですわね。

そう思いながら

「どうしましたの?私はなんで離れているのか、聞いただけですわよ?」

と言って再びニッコリと微笑むと、アリス様はまるで憎い相手でも見るような眼差しで私のことを睨みつけています。

怖いですわねぇ.........。

人のせいにすることしか出来ないんでしょうか?

そう思っていると、ベルン様は急に

「そ、そうだ!アリスが言ったんだ!俺の評判が下がるからって!」

そう叫びましたわ。

まぁ!アリス様が、ですか。

確かにそれならなんとなく納得できますわ。

そうじゃなくてもアリス様は私の評判を下げたくて必死なんですもの。

これにはレオンハルト様も

「ふーん.........」

とアリス様に疑いの目を向けています。

多分、私と同じ考えなんでしょう。

私も思わず疑いの目を向けてしまいますわ。

流石にまずいと思ったアリス様は顔色を悪くさせながらも

「し、知らないわ!大体、ノリノリでやったのはベルン様じゃない!」

とベルン様に向けて怒っています。

うーん.......なんでしょう、これ。

一度は愛し合った2人のはずなのに、今はこうやって罪の擦り付けをしていますわ。

なので、つい

「2人の真実の愛はどこに行きましたの?」

と聞いてしまいました。

すると、アリス様は目を血走らせながら

「はぁ!?そんなのあるわけがないじゃない!」

そう言ってキッとベルン様を睨みつけましたわ。

それに対してベルン様も

「なっ!アリスが俺たちは真実の愛で結ばれている、って言ってきたんだぞ!」

とアリス様を睨みつけていますわ。

「嘘に決まってるでしょ!あんたみたいな男なんて好きになるわけがないでしょう!」

はぁ......なんで急に喧嘩になっていますの?

勝手に喧嘩してても良いので帰っても良いですかね?

そう思っていると、レオンハルト様も少し苛立ってきたのか

「とりあえず、それは後でやってくれるか」

と2人のことを制止しましたわ。

本当にその通りですわね。

思わずレオンハルト様の言葉に頷いていると

「ユーフェミア嬢、この2人をどうするんだ」

とレオンハルト様に聞かれましたわ。

なので

「さぁ?とりあえずお父様に報告してどうなるか、ですわね」

私がそう言うと、ベルン様の顔色が変わったのがわかりました。

まぁ、そうなりますわよね。
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