婚約破棄されましたが、お兄様がいるので大丈夫です

榎夜

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35話

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私が休んでいる間に、とんでもないことをやらかしたベルン様のことを考えると苛立ちもそうですが、同時に呆れてしまいますわね。

ビビアン様がいるのに申し訳ないですが、ため息が止まりませんわ。

本日何度目かわからない、深いため息をついていると、ビビアン様は心配そうに私の顔を見ながら

「ですが、ベルン様は何がしたいんでしょうね?」

そう言って首を傾げましたわ。

本当にその通りですわよね。

ビビアン様の言葉に頷いた後に

「わかりませんわ。あれほど大人数で婚約破棄をした後に取り消してくれ、その後には私が泣きついてきた、だなんて誰がどう聞いても矛盾している話ですわよね」

とここ最近のベルン様の行動を改めて口にしましたが、やっている行動があまりにもおバカさん過ぎて頭が痛くなりますわ。

はぁ.......家に帰ったらお父様にもこのことを話しておかないといけませんし、面倒事ばかりですわね。

そう思っていると、ビビアン様も苦笑しながら

「それなのに、一定数信じているのも不思議な話ですわ」

そう言って、ため息をついていますわ。

私の予想ですが、こんなバカげた噂を信じているのは、噂のほんの一部しか聞いていない人なのでは?と思っていますわ。

最初の婚約破棄されるところと、泣いて縋った、みたいな噂しか聞いていない人は本当のことだと思ってしまいますもの。

まぁ、伝わり方も関係してくるので詳しくはわかりませんけどね。

そんなことを話しているうちに、お昼休憩も終わってしまいましたわ。

あまりにも酷い内容だったせいで、昼食の味が全く分かりませんでしたわよ。

せっかく作ってくれたのに申し訳ないですわ。

ビビアン様と一緒に、教室に戻ろうと廊下を歩いていると

「あらぁ~?婚約破棄されたくない、と泣きついたシャルロット様ではありませんか?」

という声が後ろから聞こえてきましたわ。

........出ましたわ。

毎回毎回、私になんの恨みがあって絡んできますの?

そう思いながら振り向くと、そこには赤い髪の毛をクルクルといじっているディアナ様がクスクスと小馬鹿にしたような笑い方をして立っていましたわ。

この笑い方、嫌いなんですのよね。

そう思いながら

「まぁ、貴方もそれを信じているおバカさんなんですのね」

そう言って鼻で笑うと、ディアナ様は顔を真っ赤にさせて、言葉を失っていましたわ。

言い返すことはあってもここまでハッキリとディアナ様に言ったことはありませんでしたからね。

こんな回答が来るとは思っていなかったんでしょう。

そう思いながら

「はぁ.......本当に迷惑ですわ。私が学園を休んだのは婚約者を選ぶのに手間取っていたからですのに」

わざとらしく、頬に手を当ててため息をつくと、ディアナ様は

「は........?」

とだけ言ってポカーンとした顔をしていますわ。

まるでアホ面ですわね。

面白いですわ。

つい、笑ってしまいそうになりましたが、ここはぐっと堪えて

「20人もの人から求婚があったのでお父様と話し合いをしておりましたの。昨日の夜遅くにやっと2人まで絞ることが出来ましたのよ」

そう言って微笑むと、ディアナ様は引きつった笑みを見せながらも

「そ、それは良かったですわね..........」

と言って逃げようとしていますわ。

そんなディアナ様の後ろ姿に

「そんな変な噂に踊らされているようでは、まともな婚約も出来ませんわよ」

そう言うと、パッと振り返ったと思ったら足早にその場を後にしましたわ。

毎回思うんですが、逃げるくらいなら言わなければいいと思いません?

そう思いながらディアナ様の背中を眺めていると、隣で見ていたビビアン様が小声で

「今日はシャルロット様の勝ちですわね」

そう言っていますわ。

勝ち負けだなんて.......あんなのと競うだけ無駄ですわ。

とは言えないので、とりあえず苦笑して私達もクラスへと急ぎました。

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