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26話
しおりを挟むカーシェ公爵とベルン様はお父様の
「喧嘩なら家でやってくれ」
という言われるなり深々と頭を下げて帰っていきましたわ。
これで、もうベルン様に婚約がどうこう、と言われることはありませんわね。
そう思っていると
「はぁ......まさかあいつが子育てを失敗するとは思わなかったよ.......」
とお父様が寂しそうにつぶやいたのが聞こえてきましたわ。
確かに、カーシェ公爵はしっかりとした常識のある人だと思っていましたし、夫人もふわふわした、優しい人でなんであの2人からベルン様のような人が育ったのか疑問でしかありませんわ。
お父様も、まさかこんなことになると思っていなかったでしょうし、残念ですわよね。
だからこそ、なんて声をかけていいのかもわからず、ただ見つめていると
「シャルロットも悪かったな。大変な目に遭っただろう」
おお父様は力なく笑いました。
大変な目には遭いましたし、ベルン様のことは嫌いでしたわ。
ですが、お父様がそんなに落ち込むとは思ってもいなかったので、なんだか今更ながら罪悪感と言いますか.......複雑な心境ですわね。
お父様には
「いえ.....私も仲良くなれるように歩み寄るべきでしたわ」
とだけ言うと、苦笑して沈黙の時間が訪れてしまいましたわ。
な、なにを言ったら良いんですの?
なんか部屋の空気も最悪ですし、今すぐに逃げ出したいところですが、流石にこのタイミングで出ていくわけにもいきませんし...........。
どうしようか、と悩んでいる私に気付いたのか、急にお父様は
「まぁ、過ぎたものは仕方がないな。こうなる運命だったんだ」
と明るくふるまってきましたわ。
でも、その姿がなんだかとても可哀そう、というのは表現が合っているのかわかりませんが、痛々しく見えて作り笑顔をするのが精一杯でした。
すると、
「さて、じゃあ新しいシャルロットの婚約者なんだが.........」
そう言ってお父様はいまきている求婚のリストを私に手渡してきましたわ。
まぁ.........凄い数ですわね。
ざっと20人ほど、でしょうか。
この人たちは、私が婚約破棄された傷物だということは理解していますの?
しかも、中には隣国からの人や、一度もお話したことがない人、会ったこともない人までいますわ。
これには流石に
「お父様、こんなに多くの人から求婚されるのはありがたいことだと思いますが、流石に名前だけでは決められませんわ」
そう言うと、お父様は
「まぁ、なんとなくで会ってみたらいいんじゃないか?」
なんて適当なことを言ってきました。
なので
「私はお兄様意外と婚約するつもりはありませんの!全員お断りですわ!」
と言ってリストを返しました。
全く.....何度言ったらわかってもらえますの?
私はお兄様意外とは婚約しませんわ。
ふんっ、とそっぽを向いている私に、お父様は
「そのことなんだが...........」
と言いづらそうにしながらも、衝撃的なことを言ってきました。
その内容を聞いた時、意識を飛ばさないようにするのがやっとでしたわ。
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