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13話
しおりを挟むとりあえず、ベルン様には帰ってもらうことにしましたわ。
だって、あんなに大勢の前で婚約破棄したんですから、やっぱりなかったことに、ということ自体が無理な話ですもの。
お父様にもそれを話すと
「まぁ、確かにその通りだな」
と言ってくれたので、ベルン様はあからさまにガッカリした顔で帰っていきましたわ。
全く......自業自得ですわね。
このようなことになると、想像できたはずなのにその時の感情で動きすぎたんですわ。
ベルン様が出て行った後、執務室ではベルン様の真実の愛のお相手の話をお父様にも教えてあげることになりましたわ。
まずはアリス様がどのような人なのか、ですわね。
そう思った私は、簡単に
「レオンハルト殿下に尻軽女と言われていましたわ。まぁ、その通り色んな子息達を誑かしている人ですわね」
とお父様に言うと、
「そんなのに引っかかったのか」
と顔を歪めていますわ。
これは、学園にいる人達なら知っていると思っていたので、ベルン様はおバカさんということですわね。
親の間でも有名なお話らしいですわ。
まぁ、これほど多くの婚約を破棄させたんですから噂にもなりますわよね。
だからこそ、カーシェ公爵も怒っているんでしょうね。
ですが、私は何も関係がないので関係の修復は不可能ですわよ。
それから、昨日と今日の2日連続で喧嘩を売ってきたこともお父様に伝えましたわ。
するとお父様は眉を顰めながら
「そのアリスとやらは男爵令嬢だろ?」
そう言っています。
男爵令嬢か公爵令嬢の私に喧嘩を売る、ということがどれほどのことかわかっていないおバカさんなので仕方ないですわ。
基本的な常識もわからない人だからこそ、他の人の婚約者を奪うということを繰り返しているんですよね。
少し考えるとわかることですもの。
本当に、親の顔が見て見たいものですわ。
そう思っていると、お父様が
「それで?レオンハルト殿下との婚約について考えは変わったのか?」
と聞かれましたわ。
今話している話と全く関係がないですよね?
なんでそんな話になりますの?
そう思って、ついお父様を睨みつけると
「そんな顔をするんじゃない」
と苦笑していますわ。
そんなお父様に
「何度も言っていますが、お兄様以外の人と婚約というのはあり得ませんわ。特に、王族との婚約なんて絶対嫌ですわよ」
つい、ため息をつきながらそう言ってしまいましたわ。
大体、家の為にとかそういうことかもしれませんが、私が王族と、しかも王太子と結婚することによってどこに良いことがありますの?
今から王妃教育をするのもごめんですし、王妃様のように国民の前で手を振ってニコニコしているのも私には絶対出来ませんわ。
.......ということを、結構前から言っている気がするんですが、話を聞いていないのか、無かったことにされているのか。
どちらにしろ面白くないですわ。
すると
「とにかく、今はベルンの件をどうにかするんだな。こっちもカーシェ公爵には言っておくが、そうじゃないと話が進まない」
そう言われましたわ。
どうにかする、と言っても私は何もできないと思いますが.......と言いたくなりましたが、長くなりそうなので
「わかりました」
とだけ言って執務室を後にしました。
とりあえず、ベルン様にハッキリとお断りする、ということからやってみましょうか。
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