婚約破棄されましたが、お兄様がいるので大丈夫です

榎夜

文字の大きさ
上 下
4 / 89

3話

しおりを挟む
お兄様と別れてすぐに、早速お母様の部屋に行きましたわ。

普段なら着替えてから行くところなんですが、今日は急ぎなので仕方ないですわよね。

なんて思いながら着替えていない私を見て、首を傾げているお母様に

「ベルン様に婚約破棄されましたわ」

とだけ言うと

「..........どういうことかしら?」

お母様はそう言って、ニッコリと微笑みました。

いえ......笑っているのは口元だけで、ちゃんと見たら怒っていますわね。

そうなる気持ちもわかりますわ。

だって、ベルン様との婚約は仲が良かったから、というのもありますが、あちら側がお父様に頼み込んで、長年の付き合いだから、ということで決まったものですもの。

なので、お母様は婚約が決まって悲しんでいる私の姿もしっかりと見ていましたわ。

それなのに、ベルン様の方から婚約破棄だなんて、苛立つのも仕方ありませんよね。

お母様に、温室の中で、しかも生徒も沢山いる状況で婚約破棄されたこと。

理由は真実の愛を見つけたらしい、ということを伝えると

「随分と舐められたものね」

と頬に手を当ててニコニコしていますわ。

久しぶりにこんなに怒っているお母様を見ましたわね。

相変わらず怖いですわ。

そう思っていると

「でも、長年婚約していたんだから、シャルロットも悲しいんじゃない?」

とお母様に聞かれたので

「それはあり得ませんわね。ベルン様のことは、どう頑張っても好きになれませんでしたの」

ハッキリと否定すると、うふふ、と笑って、それ以上は何も言ってきませんでしたわ。

でも、凄いですわよね。

10年も一緒にいてベルン様の良いところはポジティブ、ということ以外何も見当たりませんでしたの。

あれが次期公爵だなんて........絶対無理ですわ。

とりあえず、お母様とお茶を飲みながら、今後の話をすることになったんですが

「お母様!お兄様と婚約したいですわ!」

これはお母様もわかっていると思いますが、とりあえず伝えると

「流石にそれは難しいんじゃないかしら?」

優雅にお茶を飲みながら否定されてしまいましたわ。

でも、それだけで終わるほどの軽い気持ちではありませんの!

私は本気で言っていますのよ。

そう思いながら

「なぜですの?お兄様とは血の繋がりはありませんし、何か言われても私の婚約者にするために、とか言えばどうにかなると思いません?」

つい、首を傾げながらお母様にそう尋ねると

「そういう問題ではなくて、シャルロット......貴方、自分がどれほどの評価をされているのか理解しているの?」

といったお母様の顔は真剣でしたわ。

私の評価、ですか。

今回の婚約破棄の噂が広まると.......

「10年も一緒にいた婚約者に振られた可哀そうな令嬢、ということでしょうか?」

というか、それ以外ありえませんわよね。

だって、他の人からしたら婚約者から捨てられた、ということだけが事実ですし。

まぁ、私としては嬉しくて飛び跳ねそうになることなんですけどね。

するとお母様は、大きなため息をつきながら

「違うわ。知らないと思うから教えておくけど、貴方の婚約者になりたいっていう人が、この10年の間にも大量に来ているのよ」

と教えてくれましたわ。

この10年......ということは、ベルン様と婚約してい居た期間ですわよね?

なぜでしょう?

普通ならそんなことはしないと思うんですが...........。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】『婚約破棄』『廃嫡』『追放』されたい公爵令嬢はほくそ笑む~私の想いは届くのでしょうか、この狂おしい想いをあなたに~

いな@
恋愛
婚約者である王子と血の繋がった家族に、身体中をボロボロにされた公爵令嬢のレアーは、穏やかな生活を手に入れるため計画を実行します。 誤字報告いつもありがとうございます。 ※以前に書いた短編の連載版です。

乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?

シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。 ……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。

【完結】ご安心を、問題ありません。

るるらら
恋愛
婚約破棄されてしまった。 はい、何も問題ありません。 ------------ 公爵家の娘さんと王子様の話。 オマケ以降は旦那さんとの話。

異世界転移聖女の侍女にされ殺された公爵令嬢ですが、時を逆行したのでお告げと称して聖女の功績を先取り実行してみた結果

富士とまと
恋愛
公爵令嬢が、異世界から召喚された聖女に婚約者である皇太子を横取りし婚約破棄される。 そのうえ、聖女の世話役として、侍女のように働かされることになる。理不尽な要求にも色々耐えていたのに、ある日「もう飽きたつまんない」と聖女が言いだし、冤罪をかけられ牢屋に入れられ毒殺される。 死んだと思ったら、時をさかのぼっていた。皇太子との関係を改めてやり直す中、聖女と過ごした日々に見聞きした知識を生かすことができることに気が付き……。殿下の呪いを解いたり、水害を防いだりとしながら過ごすあいだに、運命の時を迎え……え?ええ?

【完結】義母が来てからの虐げられた生活から抜け出したいけれど…

まりぃべる
恋愛
私はエミーリエ。 お母様が四歳の頃に亡くなって、それまでは幸せでしたのに、人生が酷くつまらなくなりました。 なぜって? お母様が亡くなってすぐに、お父様は再婚したのです。それは仕方のないことと分かります。けれど、義理の母や妹が、私に事ある毎に嫌味を言いにくるのですもの。 どんな方法でもいいから、こんな生活から抜け出したいと思うのですが、どうすればいいのか分かりません。 でも…。 ☆★ 全16話です。 書き終わっておりますので、随時更新していきます。 読んで下さると嬉しいです。

婚約破棄? 私、この国の守護神ですが。

国樹田 樹
恋愛
王宮の舞踏会場にて婚約破棄を宣言された公爵令嬢・メリザンド=デラクロワ。 声高に断罪を叫ぶ王太子を前に、彼女は余裕の笑みを湛えていた。 愚かな男―――否、愚かな人間に、女神は鉄槌を下す。 古の盟約に縛られた一人の『女性』を巡る、悲恋と未来のお話。 よくある感じのざまぁ物語です。 ふんわり設定。ゆるーくお読みください。

地味で器量の悪い公爵令嬢は政略結婚を拒んでいたのだが

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。 心優しいエヴァンズ公爵家の長女アマーリエは自ら王太子との婚約を辞退した。幼馴染でもある王太子の「ブスの癖に図々しく何時までも婚約者の座にいるんじゃない、絶世の美女である妹に婚約者の座を譲れ」という雄弁な視線に耐えられなかったのだ。それにアマーリエにも自覚があった。自分が社交界で悪口陰口を言われるほどブスであることを。だから王太子との婚約を辞退してからは、壁の花に徹していた。エヴァンズ公爵家てもつながりが欲しい貴族家からの政略結婚の申し込みも断り続けていた。このまま静かに領地に籠って暮らしていこうと思っていた。それなのに、常勝無敗、騎士の中の騎士と称えられる王弟で大将軍でもあるアラステアから結婚を申し込まれたのだ。

王太子に婚約破棄され塔に幽閉されてしまい、守護神に祈れません。このままでは国が滅んでしまいます。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 リドス公爵家の長女ダイアナは、ラステ王国の守護神に選ばれた聖女だった。 守護神との契約で、穢れない乙女が毎日祈りを行うことになっていた。 だがダイアナの婚約者チャールズ王太子は守護神を蔑ろにして、ダイアナに婚前交渉を迫り平手打ちを喰らった。 それを逆恨みしたチャールズ王太子は、ダイアナの妹で愛人のカミラと謀り、ダイアナが守護神との契約を蔑ろにして、リドス公爵家で入りの庭師と不義密通したと罪を捏造し、何の罪もない庭師を殺害して反論を封じたうえで、ダイアナを塔に幽閉してしまった。

処理中です...