婚約破棄されましたが、お兄様がいるので大丈夫です

榎夜

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私、『シャルロット・フェミリア』はフェミリア公爵家の長女として誕生しました。

一応、周りからの評価は成績優秀、淑女、品行方正、など、とてもいい評価を頂いておりますわ。

見た目は我が家のメイドが丁寧にケアをしてくれている金色の髪の毛はサラサラなストレートで、我が家の特徴である紫色の目をしていますの。

自分で言うのもなんですが、悪くない見た目をしていると思いますわ。

まぁ、私の両親が美男美女なので当然だと思いますけどね。

そんな私ですが、一時は王太子の婚約者にとも言われたことがありますの。

それに関しては丁重にお断りしたんですけどね。

だって、私のようなものが王妃だなんて荷が重すぎますもの。

一応、婚約者もいましたからね。


そして次は一応婚約者の『ベルン・カーシェ』様についてですわ。

ベルン様はとにかく自信家ですの。

女性は皆自分のことを好いている、などおバカさんのような勘違いを言ってるので私に対しても

「この俺の婚約者になれるんだ。嬉しいだろ」

などと会って数分後に言われたこともありますわ。

しかも、それは8歳の頃ですからね。

そんなに大した見た目もしていないくせによく言いますわ、と常に思っていましたわ。

ベルン様は定番なブロンドの髪の毛に、ブロンドの目というなにも特徴のない一般的な見た目ですわ。


なぜこんなにも正反対な2人が婚約したかといいますと、それぞれの両親が仲良しですの。

別に親が誰と仲良くしていようがどうも思いませんが、婚約者として決まった時はお父様達を恨みましたわ。

だって、ベルン様は私の好みとはかけ離れすぎていますもの。

私の好みは切れ長な目とサラサラな髪の毛、そして頭がよくて私が素の自分でいられる、そんな人がタイプですわ。

だから婚約が決まった日には1日中泣いてしまいましたわ。




とまぁ、ここまでが昔話ですわね。

本当は他のことも紹介しておきたかったんですが、先にこちらを片付けてしまいましょう。

そう思ってベルン様を見ると

「シャルロット!悲しすぎて言葉も出ないか!まぁ、見た目は良いからな。愛人としてなら傍においてやっても.........」

なぜかドヤ顔で言ってくるのも腹立たしいですわね。

まぁ、これと関わるのもあと数分、と考えるとそれくらそれくらい我慢できますわよね。

そう思いながら、ベルン様にニッコリと微笑んで

「婚約破棄、喜んで承りましたわ」

私がそう言うと、なぜか

「え?は?えぇ?」

とベルン様が驚いていますわ。

おかしいですわね。

そう思った私は、つい

「どうされましたの?自分から婚約破棄したではありませんか」

と尋ねると、

「あ、いや......そんなに簡単に受け入れるとは.........」

あ、なるほど.........そういうことでしたか。

自分に自信のあるベルン様は私が婚約破棄したくないと縋ってくるのを待っていたんですのね。

ハッキリ言いますけど、そんなことあり得ないことなんですけどね。

そう考えると、戸惑っているベルン様がなんだかみじめに思えて

「受け入れるに決まっていますわ。何度も言っていますが、私はベルン様のことが大嫌いですのよ」

私がそう言うと

「そ、それはー........俺に構って欲しかったから言ってたやつじゃ..........」

モゴモゴとしながらそう言ってきましたわ。

なので、ここぞとばかりはっきり言わせてもらいますが

「まぁ!なんで私がそんな嘘をつく必要がありますの?大体、本当にベルン様のことが好きなら、私の目の前でいちゃついているのも止めますわよ?」

そう言うと、やっとベルン様は私が本気で嫌っていることが理解できたみたいで呆然としていますわ。

全く.......真実の愛、とやらを見つけたはずなのに、よく私に対してもそんなに自信家でいられますわよね。

ついため息をつきながら

「では、それぞれの両親に話をしておく、ということでよろしいですわね?」

と私が言うと、ベルン様は力なく頷いてくれましたわ。

でしたらもうここにいる意味もありませんわね。

そう思って、踵を返して周りで見ていた人達に

「皆様、お騒がせして申し訳ございませんわ。でも、皆さんも証人になってくださいね?ベルン様がわざと皆さんの前で婚約破棄をした、と」

そう言って軽く頭を下げると、ベルン様は顔色を悪くして

「ま、待てっ」

と私を止めようとしていますわ。

まだ何かあるんでしょうか?

でも厄介事は勘弁して欲しいので私はこれで失礼しますわね。

「では、ごきげんよう」
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