婚約破棄された貧乏令嬢ですが、意外と有能なの知っていますか?~有能なので王子に求婚されちゃうかも!?~

榎夜

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59話

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ですが、そんな私にお父様はこう言いましたの。

「別に店を手伝うのが悪いと言っているわけではない」

.........え、えっと?

「お父様、それは一体どういう......?」

え、さっきの話し方だとディアに店を手伝ってもらうことも、引き抜くこともダメだ、と言っているみたいでしたよね?

なので、お父様の言っていることがなかなか理解できず、動揺していると

「手伝うのは別に良いと思うが、ヴァイオレットのお世話はどうなるんだい?引き続きディアに頼むんだろう?」

と聞かれたので小さく頷きましたわ。

だって、今更私の専属メイドが他の人になるのは考えられませんし、ディア以外嫌ですもの。

するとそんな私を見てお父様は

「ヴァイオレットはメイドの仕事をしてもらうのに、給料を払うなといっているのか?」

そう言って苦笑しましたわね。

ここまで言われても一瞬何を言っているのか理解が出来ませんでしたが、頭の中でお父様が言ったことを再び再生してみてやっと理解が出来ましたわ。

「そういうことでしたのね........」

と呟いてしまいましたが、なぜもっと早くに気付かなかったのか、自分のことですが呆れてしまいましたわよ。

思わず大きなため息をつきそうになってしまいましたが、グッと堪えて、心の中でお父様に謝罪をしながら視線を向けると

「引き抜くだのメイドを辞めるだの言っていたが、メイドのままなのは変わらないんだ。だったらこちらからも給料を出す必要があるだろ?」

そう言って、優しく微笑んでくれましたわ。

まぁ、つまり私とお父様の考え方が少しだけすれ違ってしまいましたのよね。

私の方は、店のことをやってもらう、ということで、私が給料を出さないと、と考えていたんですが、ディアは店のことを手伝いはしますが、私のメイドを完全に辞めるわけではありません。

今まで通り、とはいかないかもしれませんが、お風呂や着替えの手伝いなんかは普通にやってもらうので、そうなると、それはメイドの仕事ですわよね?

お父様は、そのメイドの仕事をしている給料は家から出したい、と考えているので引き抜くことを許可しなかった、ということですわ。

まぁ、別に全部私が支払っても良かったんですが、そうなると家のメイドではなく外部のメイドになってしまいますものね。

そんな人に家の中をウロウロして欲しいと思いませんわ。

そう思いながら、お父様に

「て、てっきり家のメイドを引き抜くな、と言うことだと思いましたわ」

と言って苦笑すると

「ディアの方がやりたいと言っているなら別に止めないよ。まぁ、メイドの仕事が少なくなる分お給料も下がるけど......メイドとして働いた分はしっかりと家の方から給料を出す、って話しておいてくれ」

優しい笑みはそのまま、そう言ってくれましたわ。

正直、店がどうなるか、なんてわかったものじゃないので、お父様にお話は本当にありがたいですわ。

これで、ディアを無賃で働かせる心配はなくなった、と思った私は

「わかりましたわ!お父様、ありがとうございますっ!」

と満面の笑みでお礼を言って執務室を後にしましたわ。

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