47 / 94
46話
しおりを挟む
とりあえず、この令嬢たちに関しては、私が助けることはありませんし、好きにしてください。
そう思いながら、殿下に対して必死に言い訳をしている令嬢の手から、奪われた本をやっと取り返すことに成功しましたわ。
まぁ、私が本を取り返したときに、カリステラ様の
「あっ.......」
というか細い声が聞こえてきたような気がしましたが、知りませんわよ。
嘘をついてまで自分の評価を守りたいんですの?
なんて思いながら、令嬢たちと殿下と少し距離をあけて、再び本に集中しましたわ。
えーっと.........確か、さっき読んでいたのは薬草茶の保存方法のところで.......。
私がそう思いながら、本のページをめくっている間も、まだ令嬢たちは必死に殿下に言い訳をしていますわね。
さっき私が本を返してもらっている時点で、一緒に勉強を、というのはおかしい話ですのよ。
それなのに、
「私たちとヴァイオレット様は元々仲が良くて、少しもめていただけで.........」
と目を泳がせながら言っている時点でバレバレですのよ。
なんて思っていると、大きくため息をついた殿下が
「ヴァイオレット嬢、この4人に何をされたんだ?」
とついに私に聞いてきましたわね。
これには咄嗟に答えることが出来ず
「あー.......」
と言ってチラッとカリステラ様達の方を見てしまいましたが、余程殿下には嫌われたくないんでしょう。
必死に首を振って、アピールをしていますわ。
ただ、私がさっき本を返すように言っても聞いてくれませんでしたし.....なぜ私だけが言うことを聞かないといけませんの?
正直、それは不公平すぎますわ。
そう思いながらも、カリステラ様にニッコリと微笑むと、安心したのかホッとした表情をしましたわね。
きっと、物凄く安堵したでしょう.....が
「まぁ、簡単に言うと読んでいた本を取り上げられて、殿下に近付くな、と言われた、ですかね?」
微笑んだまま殿下にそう言うと、令嬢たちの表情は一変して一気に顔が真っ青になりましたわね。
今の私の言葉は当然ですが、図書館の様子を見ていた野次馬のような人たちにも聞こえていましたからね。
取り巻きの3人の令嬢は
「や、やめて.........」
「なっ.........」
「うぅ........」
と言葉が出ないようで、顔を覆って恥ずかしそうにしていましたわ。
全く......そんな反応をするのであれば最初からやらなければよかったのに......。
恥ずかしいことだとわかっていながらもやっていたんだ、と思うと同情も何もできませんわ。
そう思いながらチラッとカリステラ様の方を見ると、今の私の言葉を必死に否定しようとしたせいで
「う、嘘ですわ殿下!そんな貧乏人の言うことを信じますの!?」
なんて、火に油を注ぐようなことを言っていますわね。
本人は気付いていませんが、この状況で私のことを貧乏人などと言ってしまうのは自分の首を絞めたようなものですわ。
案の定、殿下はカリステラ様の言葉に
「貧乏人だと............」
と呟きましたが、完全に怒っている声色ですし。
はぁ......自業自得、ですわよね。
そう思いながら、殿下に対して必死に言い訳をしている令嬢の手から、奪われた本をやっと取り返すことに成功しましたわ。
まぁ、私が本を取り返したときに、カリステラ様の
「あっ.......」
というか細い声が聞こえてきたような気がしましたが、知りませんわよ。
嘘をついてまで自分の評価を守りたいんですの?
なんて思いながら、令嬢たちと殿下と少し距離をあけて、再び本に集中しましたわ。
えーっと.........確か、さっき読んでいたのは薬草茶の保存方法のところで.......。
私がそう思いながら、本のページをめくっている間も、まだ令嬢たちは必死に殿下に言い訳をしていますわね。
さっき私が本を返してもらっている時点で、一緒に勉強を、というのはおかしい話ですのよ。
それなのに、
「私たちとヴァイオレット様は元々仲が良くて、少しもめていただけで.........」
と目を泳がせながら言っている時点でバレバレですのよ。
なんて思っていると、大きくため息をついた殿下が
「ヴァイオレット嬢、この4人に何をされたんだ?」
とついに私に聞いてきましたわね。
これには咄嗟に答えることが出来ず
「あー.......」
と言ってチラッとカリステラ様達の方を見てしまいましたが、余程殿下には嫌われたくないんでしょう。
必死に首を振って、アピールをしていますわ。
ただ、私がさっき本を返すように言っても聞いてくれませんでしたし.....なぜ私だけが言うことを聞かないといけませんの?
正直、それは不公平すぎますわ。
そう思いながらも、カリステラ様にニッコリと微笑むと、安心したのかホッとした表情をしましたわね。
きっと、物凄く安堵したでしょう.....が
「まぁ、簡単に言うと読んでいた本を取り上げられて、殿下に近付くな、と言われた、ですかね?」
微笑んだまま殿下にそう言うと、令嬢たちの表情は一変して一気に顔が真っ青になりましたわね。
今の私の言葉は当然ですが、図書館の様子を見ていた野次馬のような人たちにも聞こえていましたからね。
取り巻きの3人の令嬢は
「や、やめて.........」
「なっ.........」
「うぅ........」
と言葉が出ないようで、顔を覆って恥ずかしそうにしていましたわ。
全く......そんな反応をするのであれば最初からやらなければよかったのに......。
恥ずかしいことだとわかっていながらもやっていたんだ、と思うと同情も何もできませんわ。
そう思いながらチラッとカリステラ様の方を見ると、今の私の言葉を必死に否定しようとしたせいで
「う、嘘ですわ殿下!そんな貧乏人の言うことを信じますの!?」
なんて、火に油を注ぐようなことを言っていますわね。
本人は気付いていませんが、この状況で私のことを貧乏人などと言ってしまうのは自分の首を絞めたようなものですわ。
案の定、殿下はカリステラ様の言葉に
「貧乏人だと............」
と呟きましたが、完全に怒っている声色ですし。
はぁ......自業自得、ですわよね。
12
お気に入りに追加
2,718
あなたにおすすめの小説
誰にも愛されずに死んだ侯爵令嬢は一度だけ時間を遡る
月
ファンタジー
癒しの能力を持つコンフォート侯爵家の娘であるシアは、何年経っても能力の発現がなかった。
能力が発現しないせいで辛い思いをして過ごしていたが、ある日突然、フレイアという女性とその娘であるソフィアが侯爵家へとやって来た。
しかも、ソフィアは侯爵家の直系にしか使えないはずの能力を突然発現させた。
——それも、多くの使用人が見ている中で。
シアは侯爵家での肩身がますます狭くなっていった。
そして十八歳のある日、身に覚えのない罪で監獄に幽閉されてしまう。
父も、兄も、誰も会いに来てくれない。
生きる希望をなくしてしまったシアはフレイアから渡された毒を飲んで死んでしまう。
意識がなくなる前、会いたいと願った父と兄の姿が。
そして死んだはずなのに、十年前に時間が遡っていた。
一度目の人生も、二度目の人生も懸命に生きたシア。
自分の力を取り戻すため、家族に愛してもらうため、同じ過ちを繰り返さないようにまた"シアとして"生きていくと決意する。
妹の身代わり人生です。愛してくれた辺境伯の腕の中さえ妹のものになるようです。
桗梛葉 (たなは)
恋愛
タイトルを変更しました。
※※※※※※※※※※※※※
双子として生まれたエレナとエレン。
かつては忌み子とされていた双子も何代か前の王によって、そういった扱いは禁止されたはずだった。
だけどいつの時代でも古い因習に囚われてしまう人達がいる。
エレナにとって不幸だったのはそれが実の両親だったということだった。
両親は妹のエレンだけを我が子(長女)として溺愛し、エレナは家族とさえ認められない日々を過ごしていた。
そんな中でエレンのミスによって辺境伯カナトス卿の令息リオネルがケガを負ってしまう。
療養期間の1年間、娘を差し出すよう求めてくるカナトス卿へ両親が差し出したのは、エレンではなくエレナだった。
エレンのフリをして初恋の相手のリオネルの元に向かうエレナは、そんな中でリオネルから優しさをむけてもらえる。
だが、その優しささえも本当はエレンへ向けられたものなのだ。
自分がニセモノだと知っている。
だから、この1年限りの恋をしよう。
そう心に決めてエレナは1年を過ごし始める。
※※※※※※※※※※※※※
異世界として、その世界特有の法や産物、鉱物、身分制度がある前提で書いています。
現実と違うな、という場面も多いと思います(すみません💦)
ファンタジーという事でゆるくとらえて頂けると助かります💦

義妹のせいで、婚約した相手に会う前にすっかり嫌われて婚約が白紙になったのになぜか私のことを探し回っていたようです
珠宮さくら
恋愛
サヴァスティンカ・メテリアは、ルーニア国の伯爵家に生まれた。母を亡くし、父は何を思ったのか再婚した。その再婚相手の連れ子は、義母と一緒で酷かった。いや、義母よりうんと酷かったかも知れない。
そんな義母と義妹によって、せっかく伯爵家に婿入りしてくれることになった子息に会う前にサヴァスティンカは嫌われることになり、婚約も白紙になってしまうのだが、義妹はその子息の兄と婚約することになったようで、義母と一緒になって大喜びしていた
。

【完結済】どうして無能な私を愛してくれるの?~双子の妹に全て劣り、婚約者を奪われた男爵令嬢は、侯爵子息様に溺愛される~
ゆうき
恋愛
優秀な双子の妹の足元にも及ばない男爵令嬢のアメリアは、屋敷ではいない者として扱われ、話しかけてくる数少ない人間である妹には馬鹿にされ、母には早く出て行けと怒鳴られ、学園ではいじめられて生活していた。
長年に渡って酷い仕打ちを受けていたアメリアには、侯爵子息の婚約者がいたが、妹に奪われて婚約破棄をされてしまい、一人ぼっちになってしまっていた。
心が冷え切ったアメリアは、今の生活を受け入れてしまっていた。
そんな彼女には魔法薬師になりたいという目標があり、虐げられながらも勉強を頑張る毎日を送っていた。
そんな彼女のクラスに、一人の侯爵子息が転校してきた。
レオと名乗った男子生徒は、何故かアメリアを気にかけて、アメリアに積極的に話しかけてくるようになった。
毎日のように話しかけられるようになるアメリア。その溺愛っぷりにアメリアは戸惑い、少々困っていたが、段々と自分で気づかないうちに、彼の優しさに惹かれていく。
レオと一緒にいるようになり、次第に打ち解けて心を許すアメリアは、レオと親密な関係になっていくが、アメリアを馬鹿にしている妹と、その友人がそれを許すはずもなく――
これは男爵令嬢であるアメリアが、とある秘密を抱える侯爵子息と幸せになるまでの物語。
※こちらの作品はなろう様にも投稿しております!3/8に女性ホットランキング二位になりました。読んでくださった方々、ありがとうございます!

十分我慢しました。もう好きに生きていいですよね。
りまり
恋愛
三人兄弟にの末っ子に生まれた私は何かと年子の姉と比べられた。
やれ、姉の方が美人で気立てもいいだとか
勉強ばかりでかわいげがないだとか、本当にうんざりです。
ここは辺境伯領に隣接する男爵家でいつ魔物に襲われるかわからないので男女ともに剣術は必需品で当たり前のように習ったのね姉は野蛮だと習わなかった。
蝶よ花よ育てられた姉と仕来りにのっとりきちんと習った私でもすべて姉が優先だ。
そんな生活もううんざりです
今回好機が訪れた兄に変わり討伐隊に参加した時に辺境伯に気に入られ、辺境伯で働くことを赦された。
これを機に私はあの家族の元を去るつもりです。
真面目くさった女はいらないと婚約破棄された伯爵令嬢ですが、王太子様に求婚されました。実はかわいい彼の溺愛っぷりに困っています
綾森れん
恋愛
「リラ・プリマヴェーラ、お前と交わした婚約を破棄させてもらう!」
公爵家主催の夜会にて、リラ・プリマヴェーラ伯爵令嬢はグイード・ブライデン公爵令息から言い渡された。
「お前のような真面目くさった女はいらない!」
ギャンブルに財産を賭ける婚約者の姿に公爵家の将来を憂いたリラは、彼をいさめたのだが逆恨みされて婚約破棄されてしまったのだ。
リラとグイードの婚約は政略結婚であり、そこに愛はなかった。リラは今でも7歳のころ茶会で出会ったアルベルト王子の優しさと可愛らしさを覚えていた。しかしアルベルト王子はそのすぐあとに、毒殺されてしまった。
夜会で恥をさらし、居場所を失った彼女を救ったのは、美しい青年歌手アルカンジェロだった。
心優しいアルカンジェロに惹かれていくリラだが、彼は高い声を保つため、少年時代に残酷な手術を受けた「カストラート(去勢歌手)」と呼ばれる存在。教会は、子孫を残せない彼らに結婚を禁じていた。
禁断の恋に悩むリラのもとへ、父親が新たな婚約話をもってくる。相手の男性は親子ほども歳の離れた下級貴族で子だくさん。数年前に妻を亡くし、後妻に入ってくれる女性を探しているという、悪い条件の相手だった。
望まぬ婚姻を強いられ未来に希望を持てなくなったリラは、アルカンジェロと二人、教会の勢力が及ばない国外へ逃げ出す計画を立てる。
仮面舞踏会の夜、二人の愛は通じ合い、結ばれる。だがアルカンジェロが自身の秘密を打ち明けた。彼の正体は歌手などではなく、十年前に毒殺されたはずのアルベルト王子その人だった。
しかし再び、王権転覆を狙う暗殺者が迫りくる。
これは、愛し合うリラとアルベルト王子が二人で幸せをつかむまでの物語である。
公爵家の家族ができました。〜記憶を失くした少女は新たな場所で幸せに過ごす〜
月
ファンタジー
記憶を失くしたフィーは、怪我をして国境沿いの森で倒れていたところをウィスタリア公爵に助けてもらい保護される。
けれど、公爵家の次女フィーリアの大切なワンピースを意図せず着てしまい、双子のアルヴァートとリティシアを傷付けてしまう。
ウィスタリア公爵夫妻には五人の子どもがいたが、次女のフィーリアは病気で亡くなってしまっていたのだ。
大切なワンピースを着てしまったこと、フィーリアの愛称フィーと公爵夫妻から呼ばれたことなどから双子との確執ができてしまった。
子どもたちに受け入れられないまま王都にある本邸へと戻ることになってしまったフィーに、そのこじれた関係のせいでとある出来事が起きてしまう。
素性もわからないフィーに優しくしてくれるウィスタリア公爵夫妻と、心を開き始めた子どもたちにどこか後ろめたい気持ちを抱いてしまう。
それは夢の中で見た、フィーと同じ輝くような金色の髪をした男の子のことが気になっていたからだった。
夢の中で見た、金色の花びらが舞う花畑。
ペンダントの金に彫刻された花と水色の魔石。
自分のことをフィーと呼んだ、夢の中の男の子。
フィーにとって、それらは記憶を取り戻す唯一の手がかりだった。
夢で会った、金色の髪をした男の子との関係。
新たに出会う、友人たち。
再会した、大切な人。
そして成長するにつれ周りで起き始めた不可解なこと。
フィーはどのように公爵家で過ごしていくのか。
★記憶を失くした代わりに前世を思い出した、ちょっとだけ感情豊かな少女が新たな家族の優しさに触れ、信頼できる友人に出会い、助け合い、そして忘れていた大切なものを取り戻そうとするお話です。
※前世の記憶がありますが、転生のお話ではありません。
※一話あたり二千文字前後となります。
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる