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33話
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心の中で、紙をしっかりと管理しようと決意したものの、私が教室から出た後に誰かが見る可能性もありますわよね。
あ、いや、もちろん薬草のことばかりなので、書いてあるものを見ても、内容を理解することは出来ないと思いますわよ?
だって、写真も何もないのに、薬草の名前と効果をズラーっと書いているんですもの。
きっとこれを見てすぐに、薬草のことだ!とわかる人は学園の中にはいないでしょうね。
ただ、それはわかっていますが、気分と言いますか........適当に汚い字で書いていますし、何も言わず勝手に私の書いたものを見られる、というのは不愉快ですわよね。
しかもその事実が後からわかる、なんてことになったら、気分は最悪ですわ。
はぁ......常に持ち歩いて見られないようにする、くらいしか紙を見られない方法が思いつきませんわね。
なんて思いながら、とりあえず殿下に
「えーっと、もう少ししたら図書館に向かおうと思っていましたが........」
なんとかここから逃げ出そうと、そう声をかけましたわ。
確か、殿下は家......王宮には大量の本があるから、わざわざ図書館に行かない、と噂で聞いていますわ。
なので、きっと殿下も私から離れてくれる......そう思いましたが
「偶然だね。俺も行こうとしていたんだ」
私の言葉にそう返事をすると、今まで学園で見たこともないくらいの満面の笑みをしてきましたわ。
この返事は想定外ですし、こんな笑みを向けられたら流石の私も
「そ、そうですか..........」
と返事をするのがやっとですわよ。
だって、こんな笑顔の殿下を断るなんて.......きっとこの世の中で陛下以外、誰も出来ないことだと思いますわ。
なんて思いながら心の中で小さくため息をつくと、陛下は本当に楽しそうな表情で
「薬草の本がないかな、と思っているんだけど、学校の図書に置いてあるの?」
と私に聞いてい来たので
「えぇ、数冊ですがありますわ。それが目的で行くんですもの」
素直にそう答えると、何を思ったのか殿下は私を椅子から立ち上がらせて
「そうだよね。じゃあ、一緒に行こうか」
そう言うと、エスコートをするように私の前に手を差し出してきましたわ。
当然ですが、教室の中は歓声といいますか........黄色い声?が響き渡りました。
殿下が誰かをエスコートすることなんて今までなかったので、本当に驚きですわよ。
いや、驚きというより......恐れ多いの方が正しいような気がしますわよね。
だって貧乏人の私が殿下にエスコートをしてもらうんですから。
あぁー.....こ、この手を重ねますの?
いやいや、絶対に無理ですわよ。
だって、殿下の相手はもっと爵位の高い人とか、マナー教育がしっかりとされている人の方が.........。
頭の中で、そんなことばかり考えていましたが、いざ口から出た言葉は何の可愛げもない
「............は?」
という間抜けな声でしたわ。
あ、いや、もちろん薬草のことばかりなので、書いてあるものを見ても、内容を理解することは出来ないと思いますわよ?
だって、写真も何もないのに、薬草の名前と効果をズラーっと書いているんですもの。
きっとこれを見てすぐに、薬草のことだ!とわかる人は学園の中にはいないでしょうね。
ただ、それはわかっていますが、気分と言いますか........適当に汚い字で書いていますし、何も言わず勝手に私の書いたものを見られる、というのは不愉快ですわよね。
しかもその事実が後からわかる、なんてことになったら、気分は最悪ですわ。
はぁ......常に持ち歩いて見られないようにする、くらいしか紙を見られない方法が思いつきませんわね。
なんて思いながら、とりあえず殿下に
「えーっと、もう少ししたら図書館に向かおうと思っていましたが........」
なんとかここから逃げ出そうと、そう声をかけましたわ。
確か、殿下は家......王宮には大量の本があるから、わざわざ図書館に行かない、と噂で聞いていますわ。
なので、きっと殿下も私から離れてくれる......そう思いましたが
「偶然だね。俺も行こうとしていたんだ」
私の言葉にそう返事をすると、今まで学園で見たこともないくらいの満面の笑みをしてきましたわ。
この返事は想定外ですし、こんな笑みを向けられたら流石の私も
「そ、そうですか..........」
と返事をするのがやっとですわよ。
だって、こんな笑顔の殿下を断るなんて.......きっとこの世の中で陛下以外、誰も出来ないことだと思いますわ。
なんて思いながら心の中で小さくため息をつくと、陛下は本当に楽しそうな表情で
「薬草の本がないかな、と思っているんだけど、学校の図書に置いてあるの?」
と私に聞いてい来たので
「えぇ、数冊ですがありますわ。それが目的で行くんですもの」
素直にそう答えると、何を思ったのか殿下は私を椅子から立ち上がらせて
「そうだよね。じゃあ、一緒に行こうか」
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いやいや、絶対に無理ですわよ。
だって、殿下の相手はもっと爵位の高い人とか、マナー教育がしっかりとされている人の方が.........。
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「............は?」
という間抜けな声でしたわ。
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