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32話

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さて、話は随分と変わりますが、婚約破棄されて店のことばかりやっているけど、学園は通っているのか、と疑問ですわよね。

まぁ、答えを先に言うとしっかりと通っていますわよ。

とはいえ、最後の学年ということもありますが、基本的に卒業に必要なものは全て取り終わっているので、日数が足りなくならないように行く程度のものなんですけどね。

ただ、学園には私と同じように日数の為に通っている、という人もいますが、まだ勉強の方が卒業する基準に達していないから、という理由で通っている人もいるので、そういう人と教室は別になっていますわ。

ちなみに、私と殿下は同じクラスで、意外にも私はいい成績を修めていましたのよ。

そんなことを思いながら、授業もない、ということで机の上に紙を数枚広げましたわ。

実は王宮から帰った後、ディアと一緒に細かく商品のことについて話し合いましたのよね。

ただ、話がまとまらなくて凄く悩んでいますのよ。

特に薬草の見た目の悪さと、独特な味をどうするべきか、ということについては、家の近くに生えてある薬草たちを試作に2人とも熱弁してしまいましたわ。

はぁ......おかげで学園があることもすっかり忘れていたので寝不足ですわよ。

必死に欠伸を誤魔化しながら、昨日書いた紙たちを何度も何度も見ながら、効能についても書き足していきますわ。

すると、そんな私に

「調子はどうだ?」

と急に声をかけてきた人がいたので、反射的に

「難しいですわね........お茶の方はディアと一緒に試作をしてみましたが、どうしても見た目と味は変えられませんし........って」

と答えてしまいましたわよ。

だって、この状況で調子はどうだ、と聞かれたら今やっていることについてだと思うじゃないですか。

ただ、ここは学園だったことをすっかり忘れていましたわ。

そう思った私は、声の主が誰なのか、とゆっくり頭を上げるとそこには興味津々に髪を覗き込む殿下の姿があって、思わず

「学園で話しかけてくるなんて珍しいですわね」

と言ってしまいましたわ。

だって、本当に珍しいんですもの。

一応同じ教室にはいましたが、私に婚約者がいたので必要なこと以外話しかけてこなかったんですもの。

私自身、変に目立つのは嫌なので特に何も思いませんでしたし、ありがたかったくらいですわ。

それなのに、今まで成績だけ良くて、特に目立つこともなく大人しくしていた私が急に殿下と仲良さそうに話をしていますのよ?

当然ですが、教室の人達も皆何を話しているのか気になりますわよね。

そんなことを思いながら、教室の中にいる人達を横目で見ると、案の定私と殿下の会話に興味があるみたいでチラチラと様子を窺っていますわ。

これは......殿下が人気者だから、と思っておけばなんとなくこの痛い視線も耐えられますわよね。

なんて思っていましたが、殿下は満面の笑みで

「まぁ、学園でやれることは限られてしまうからね。せっかくだったら自分の興味のあることをやっておきたいと思って」

そう言いながら、机の上にあった紙を一枚手に取って見ているものですから、皆内容を気にしてウロウロしていますわね。

学園に持ってきた私もダメでしたが、ここで内容を知られるわけにはいきませんもの。

この紙はしっかりと管理しないと、ですわ。


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