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11話

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殿下から内装の希望を書くように、と渡された紙を持って帰宅すると、私に気付いた父上が早速

「どうだったんだ?」

と聞いてきましたわね。

まぁ、気になるのも当然ですわ。

私自身、勝手に帰ったことに関しては怒られるつもりでいましたもの。

ですが実際は怒られるどころか、私のまで作ってくれる、ということで......いやぁー.......殿下の懐の深さには感謝しかないですわよね。

なんて思いながら、王宮で殿下とした話について説明をすると、お父様は一部始終驚いた顔をして

「まさか殿下に店を用意してもらえるとは......」

と呟きましたわね。

これに関しては、てっきりお父様に話をしていたとばかり思っていましたわ。

なので、まさかそのような反応をするとは思ってもいなかったのでどう反応するのが正解なのかわからなくなってしまいましたわよ。

その後は、特別何かを話すこともない、ということで内装を考えようと部屋に戻ることになりましたわ。

お父様はまだ現実を受け止めきれないのか

「いや....でもなぁ?」

なんてブツブツと言っていたような気もしますが......気のせいだと思っておきましょう。


私が部屋に戻るとすぐに、部屋で待機してくれていた専属メイドの『ディア』が

「お嬢様?なんですか、その紙は......」

と興味深そうに手に持っていた紙を見ていましたわ。

まぁ、普段何かの紙を持ち歩くなんてことはないので、当然気になりますわよね。

なんて思いながら、別に隠しておくことでもないので、

「あぁ、実はお店を出すことになって、その内装を考えているの」

そう言って外装が書かれている紙をディアにも見せると

「へぇ......って、えぇ!?」

一瞬納得したように頷きましたが、すぐに大きな声を上げて驚きに変わりましたわね。

そりゃあ、急に店の内装がー...なんて言われて驚くのも仕方がありませんが、良い反応を見ることが出来たので、私としては凄く満足ですわ。

そう思いながら、もう一枚の紙を机の上に置くと、

「お、お嬢様?今、み、店とかいいました?み、店と言うのはあのお店のことですよね?屋根のある、あの.....」

モゴモゴとしながら、ディアはそう聞いてきましたわ。

屋根がある店って....ない店もあるので頷いて良いのかわかりませんが、きっとディアが想像しているものとj私が想像しているものは同じなので

「もう!それ以外に何があるのよ」

笑いながらそう言うと、ディアは急に私の肩をガシっと掴んで

「ちょっと待ってください。一体なんの店をやるつもりなんですか?もしかして、婚約破棄されて気がおかしく......」

物凄く心配そうな顔でそう言われてしまいましたわ。

これには

「ちょっと!そんな酷いことを言わないでくれるかしら!?」

と言って、ディアの手を振り払いましたが、もしかして私ってそんなに変な子なんでしょうか?

正直、キーン様に婚約破棄されたくらいで、頭がおかしくなることはありませんわよ。

まぁ、この様子だと殿下に頼まれていた、なんて言っても妄想話だ、なんて言われるんでしょうね。

そう思いながら、部屋着を用意しているディアを眺めましたわ。
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