婚約破棄された貧乏令嬢ですが、意外と有能なの知っていますか?~有能なので王子に求婚されちゃうかも!?~

榎夜

文字の大きさ
上 下
1 / 94

プロローグ

しおりを挟む
「ヴァイオレット!お前と婚約破棄させてもらう!」

そう叫んだのは、今日のパーティーでパートナーとして参加する約束をしていた婚約者の『キーン・ガリアット』様ですわ。

一応、私とキーン様がそれぞれ8歳の時からの婚約だったので、今年でちょうど10年、という喜ばしい年だと言いますのに、一体何を言っているのやら.......。

そう思った私は、キール様に

「それは、隣にいる令嬢が原因....でお間違えないでしょうか?」

さっきからキール様の腕にしがみついている私とは正反対の令嬢をチラッと見ながらそう尋ねましたわ。

私の身長が150cmと令嬢の中ではだいぶ小柄な方で、白に近いピンク色の髪の毛は何もしなくてもうねうねと波打って自分でもうっとおしいと感じることが多々ありますわ。

しかも、この青い目だって売っているお人形さんのように真っ青ですし......お母様に似ているのは嬉しいんですが、全体的に子供っぽい印象を持たれてしまいますのよね。

そんな私とは正反対に、キール様の隣にいる令嬢は、身長が.....167cmくらいでしょうか?

金色の髪の毛はサラサラで緑の目は少し切れ長な綺麗な顔立ちをしていますわ。

それに加えてあの胸.....出ているところはしっかり出ているのに、ウエストはビックリしてしまうほど細いという.......。

正直、私に勝てるところなんて1つも見当たらないほど、羨ましくなる体型....いや、見た目をしていますわね。

なんて思いながら、ジロジロと令嬢のことを見ていると、そんな私の視線から庇うように令嬢の前に出たキール様が

「ふんっ!ビビアンが原因ではない!」

なぜか得意げにそう言ってきましたわね。

正直、だったらなぜ私のパートナーという役割を放棄して、他の女にうつつを抜かしているのか、という話ですわ。

これには思わずため息をつきそうになりましたが、なんとかグッと堪えて、理由を聞いてこい!と言わんばかりの顔をしているキール様に

「ではなぜ?」

と聞いて差し上げると、

「まだわからないのか?お前のような貧乏令嬢と婚約して俺になんの得がある?」

なんだか物凄くバカにした感じでそう言われましたわ。

ですが、私が貧乏令嬢なのは本当の話ですわね。

実際に私が働きに出ないと家は毎月ギリギリの生活をしていますし、ドレスだって5着を着回ししているような状況ですわ。

ですが、なんとか私と婚約して得なことを...と思って考えてみたものの、何1つ思いつかなかったので

「まぁ.......確かに得なんて何もありませんわね」

と呟いてしまいましたわ。

本当ならここで、何か言い返すのが正解だったんでしょうね。

だって、私の言葉に腹立たしいことにキール様は

「そうだろう!むしろ今まで婚約していたんだから、感謝して欲しいくらいのことだ!」

鼻を高々にしてそう叫んでいますもの。

あ、ちなみに今はパーティーの最中なので、会場の真ん中でこんな話をしている私たちは、貴族たちの注目の的ですわよ。

ただ、流石にこれ以上騒ぎを大きくするわけにもいかない、と判断した私は、キール様とび....ビビアン様?にこう言って会場を後にしましたの。

「とりあえず、喜んで婚約破棄を受け入れますわね。後は言い出したご自身で話を進めてくださいな」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

地味で器量の悪い公爵令嬢は政略結婚を拒んでいたのだが

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。 心優しいエヴァンズ公爵家の長女アマーリエは自ら王太子との婚約を辞退した。幼馴染でもある王太子の「ブスの癖に図々しく何時までも婚約者の座にいるんじゃない、絶世の美女である妹に婚約者の座を譲れ」という雄弁な視線に耐えられなかったのだ。それにアマーリエにも自覚があった。自分が社交界で悪口陰口を言われるほどブスであることを。だから王太子との婚約を辞退してからは、壁の花に徹していた。エヴァンズ公爵家てもつながりが欲しい貴族家からの政略結婚の申し込みも断り続けていた。このまま静かに領地に籠って暮らしていこうと思っていた。それなのに、常勝無敗、騎士の中の騎士と称えられる王弟で大将軍でもあるアラステアから結婚を申し込まれたのだ。

妹から私の旦那様と結ばれたと手紙が来ましたが、人違いだったようです

今川幸乃
恋愛
ハワード公爵家の長女クララは半年ほど前にガイラー公爵家の長男アドルフと結婚した。 が、優しく穏やかな性格で領主としての才能もあるアドルフは女性から大人気でクララの妹レイチェルも彼と結ばれたクララをしきりにうらやんでいた。 アドルフが領地に次期当主としての勉強をしに帰ったとき、突然クララにレイチェルから「アドルフと結ばれた」と手紙が来る。 だが、レイチェルは知らなかった。 ガイラー公爵家には冷酷非道で女癖が悪く勘当された、アドルフと瓜二つの長男がいたことを。 ※短め。

自称聖女の従姉に誑かされた婚約者に婚約破棄追放されました、国が亡ぶ、知った事ではありません。

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」「ノベルバ」に同時投稿しています。 『偽者を信じて本物を婚約破棄追放するような国は滅びればいいのです。』  ブートル伯爵家の令嬢セシリアは不意に婚約者のルドルフ第三王子に張り飛ばされた。華奢なセシリアが筋肉バカのルドルフの殴られたら死の可能性すらあった。全ては聖女を自称する虚栄心の強い従姉コリンヌの仕業だった。公爵令嬢の自分がまだ婚約が決まらないのに、伯爵令嬢でしかない従妹のセシリアが第三王子と婚約しているのに元々腹を立てていたのだ。そこに叔父のブートル伯爵家ウィリアムに男の子が生まれたのだ。このままでは姉妹しかいないウィルブラハム公爵家は叔父の息子が継ぐことになる。それを恐れたコリンヌは筋肉バカのルドルフを騙してセシリアだけでなくブートル伯爵家を追放させようとしたのだった。

婚約白紙?上等です!ローゼリアはみんなが思うほど弱くない!

志波 連
恋愛
伯爵令嬢として生まれたローゼリア・ワンドは婚約者であり同じ家で暮らしてきたひとつ年上のアランと隣国から留学してきた王女が恋をしていることを知る。信じ切っていたアランとの未来に決別したローゼリアは、友人たちの支えによって、自分の道をみつけて自立していくのだった。 親たちが子供のためを思い敷いた人生のレールは、子供の自由を奪い苦しめてしまうこともあります。自分を見つめ直し、悩み傷つきながらも自らの手で人生を切り開いていく少女の成長物語です。 本作は小説家になろう及びツギクルにも投稿しています。

婚約破棄されました。

まるねこ
恋愛
私、ルナ・ブラウン。歳は本日14歳となったところですわ。家族は父ラスク・ブラウン公爵と母オリヴィエ、そして3つ上の兄、アーロの4人家族。 本日、私の14歳の誕生日のお祝いと、婚約者のお披露目会を兼ねたパーティーの場でそれは起こりました。 ド定番的な婚約破棄からの恋愛物です。 習作なので短めの話となります。 恋愛大賞に応募してみました。内容は変わっていませんが、少し文を整えています。 ふんわり設定で気軽に読んでいただければ幸いです。 Copyright©︎2020-まるねこ

下げ渡された婚約者

相生紗季
ファンタジー
マグナリード王家第三王子のアルフレッドは、優秀な兄と姉のおかげで、政務に干渉することなく気ままに過ごしていた。 しかしある日、第一王子である兄が言った。 「ルイーザとの婚約を破棄する」 愛する人を見つけた兄は、政治のために決められた許嫁との婚約を破棄したいらしい。 「あのルイーザが受け入れたのか?」 「代わりの婿を用意するならという条件付きで」 「代わり?」 「お前だ、アルフレッド!」 おさがりの婚約者なんて聞いてない! しかもルイーザは誰もが畏れる冷酷な侯爵令嬢。 アルフレッドが怯えながらもルイーザのもとへと訪ねると、彼女は氷のような瞳から――涙をこぼした。 「あいつは、僕たちのことなんかどうでもいいんだ」 「ふたりで見返そう――あいつから王位を奪うんだ」

完】異端の治癒能力を持つ令嬢は婚約破棄をされ、王宮の侍女として静かに暮らす事を望んだ。なのに!王子、私は侍女ですよ!言い寄られたら困ります!

仰木 あん
恋愛
マリアはエネローワ王国のライオネル伯爵の長女である。 ある日、婚約者のハルト=リッチに呼び出され、婚約破棄を告げられる。 理由はマリアの義理の妹、ソフィアに心変わりしたからだそうだ。 ハルトとソフィアは互いに惹かれ、『真実の愛』に気付いたとのこと…。 マリアは色々な物を継母の連れ子である、ソフィアに奪われてきたが、今度は婚約者か…と、気落ちをして、実家に帰る。 自室にて、過去の母の言葉を思い出す。 マリアには、王国において、異端とされるドルイダスの異能があり、強力な治癒能力で、人を癒すことが出来る事を… しかしそれは、この国では迫害される恐れがあるため、内緒にするようにと強く言われていた。 そんな母が亡くなり、継母がソフィアを連れて屋敷に入ると、マリアの生活は一変した。 ハルトという婚約者を得て、家を折角出たのに、この始末……。 マリアは父親に願い出る。 家族に邪魔されず、一人で静かに王宮の侍女として働いて生きるため、再び家を出るのだが……… この話はフィクションです。 名前等は実際のものとなんら関係はありません。

運命に勝てない当て馬令嬢の幕引き。

ぽんぽこ狸
恋愛
 気高き公爵家令嬢オリヴィアの護衛騎士であるテオは、ある日、主に天啓を受けたと打ち明けられた。  その内容は運命の女神の聖女として召喚されたマイという少女と、オリヴィアの婚約者であるカルステンをめぐって死闘を繰り広げ命を失うというものだったらしい。  だからこそ、オリヴィアはもう何も望まない。テオは立場を失うオリヴィアの事は忘れて、自らの道を歩むようにと言われてしまう。  しかし、そんなことは出来るはずもなく、テオも将来の王妃をめぐる運命の争いの中に巻き込まれていくのだった。  五万文字いかない程度のお話です。さくっと終わりますので読者様の暇つぶしになればと思います。

処理中です...