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22話
しおりを挟む私が黙っていると、セルドリック様は
「......そうだよな。急に全て話せって言われても驚くよな」
そう言って目を伏せました。
その通りなんですが、そんな表情をされたら申し訳なくなってきます。
思わず私も下を向いてしまいますが、セルドリック様はそれを見て
「じゃあ、エリザベスから話を聞く前に先に俺の話を聞いてくれないか?」
と優しく尋ねてきました。
セルドリック様の話、ですか?
それは......気になります。
そう思って小さく頷くと、セルドリック様はなぜこんなことを言ったのか、説明をしてくれました。
前から、私を糾弾する夢を見ていたこと。
なぜかとても現実味があったけど、夢だと思ってずっと黙っていたこと。
でも昨日、それがある人に会って実際に今まで行ってきた、ということがわかったということ。
それから、自分の隣にはリナリーさんがいたということ。
そして最後に
「エリザベスは俺に何回も殺されたと聞いた。謝って許されるとは思っていないが......すまなかった」
そう言ってくれました。
ここまで知っているなら、私も隠すことはないですよね?
今まで誰にも話すことなく、ずっと黙っていましたが、今が話すときなんでしょう。
そう思ったので、私も全てをセルドリック様に話しました。
1回目から9回目までの私に対する行いを全て。
そして、それらには全てリナリーさんが関わっていることも。
セルドリック様は自分で思っていた以上に酷いことをしてきたと知って、驚いていましたが、最後まで静かに、私の話を聞いてくれました。
そして、
「今回は俺の行動次第と言われたが、そんなことは起こらないと言っていた。絶対にエリザベスを守ってみせる」
そう言ってくれました。
そう言ってくれるのはすごく嬉しいです。
でも一つ気になることがあります。
「あの......そのある人、というのは一体誰なんですか?その人は信用できる人なんでしょうか?」
ということです。
一体誰がセルドリック様に教えたのか、それが気になって仕方ありません。
するとセルドリック様は少し言いずらそうに
「エリザベスが前に言っていた、エマという女性に会ったんだ」
そう言いました。
エマ......エマって、あのエマですか!?
だって、今回の転生ではエマの姿はなくて、ずっといないとばかり思っていたのに......。
「セルドリック様......エマは?エマはどこにいるんですか?」
思わず掴みかかるくらいの勢いでセルドリック様に迫ってしまいました。
本来なら怒られますが、今は2人しか居ないので誰も咎める人はいません。
「落ち着いてくれ、エリザベス。会ったのは夢の中だったんだ。今どこにいるのか聞きたかったが、聞く前に意識が戻ってしまった......すまない」
なるほど......言いずらそうにしていたのは、そういうことですか。
エマに会いたいのは山々ですが、セルドリック様なりにエマを連れて来るために動いてくれたんですから、それだけでも嬉しいですわ。
それに、エマがいるということがわかっただけでも嬉しいですもの。
多分、そのうち会いに来てくれますわ。
そう自分に言い聞かせて、落ち着かせた。
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