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17話
しおりを挟む街でリナリーさんと会って1週間が経ちました。
お兄様は毎日のように何もなかったか聞いてくるようになって、隣には必ずお義姉様かマリアンヌ様がいてくれます。
あ、あの後ルリアナ様にも軽くですがリナリーさんがセルドリック様を狙っていることを伝えました。
それはもちろん......大激怒でしたね。
セルドリック様には説明をしていないので、最初は不思議そうな顔をしていましたが、今は慣れたみたいです。
一方リナリーさんは、毎日のように私に何かしら絡んできていたのに一切無くなりました。
何かを企んでいるのか、とも思ったんですが、学園ではいつも通りに過ごしているように見えます。
ただ、視線は物凄く感じるので油断はできませんけども......。
今回の救いはリナリーさんの味方が誰もいないということですね。
基本的に悪い噂しかないリナリーさんは学園で孤立してしまっています。
といっても、やっていることは前回までと全く同じはずなんですけど......。
お茶を飲みながら考えていると
「エリザベス様、最近リナリーさんが妙に大人しいですわね」
とルリアナ様が心配そうな顔をしながら言った。
ルリアナ様も何かを企んでいるかもしれないと思っているんでしょうか?
「.........何もなければ良いですよね...」
聞こえたかどうかはわかりませんがそう呟いた。
ですが、そういう悪い勘って当たるもので、次の日ある事件が起きた。
「まぁ、リナリーさん、その怪我はどうしたんですの?」
そう言ったのは子爵令嬢です。
学園に現れたリナリーさんがなぜかボロボロだったんです。
手首や足に包帯を巻いて、顔に痣まで出来ていました。
一体何があったんでしょう?
気にはなりますがらわざわざ話に参加する程の仲でもないので、そっと聞き耳を立てると、
「実は...昨日の放課後誰かに階段から突き落とされて......」
と震える声で言ったのが聞こえてきました。
階段から突き落とした......?
一体誰がそんな酷いことを......。
「心当たりはありませんの?」
「それが...落ちていた最中に金色の髪の毛が見えたくらいでそれ以外は......」
そう言ってリナリーさんはチラッと私の方を見てきました。
私が犯人だ、と言わんばかりに。
確かに私は金髪ですが、昨日の放課後はルリアナ様と一緒に我が家でお茶をしていました。
すぐに帰ったのでそんなことが起こったこと自体知りませんよ?
すると、
「まぁ、それはまるでエリザベス様が犯人だと言っているみたいですわね。ですが、昨日マリアンヌ様と一緒にすぐに帰宅されていたのを見ましたわ」
そう言ったのはリナリーさんに話しかけていた子爵令嬢です。
確かに昨日、彼女とは校門のところで挨拶をしました。
ですが、まさか私を庇ってくれるなんて思っていませんでしたわ。
そう思いながら私が驚いていると、ルリアナ様が
「エリザベス様、昨日は楽しかったですわね?」
とわざと周りに聞こえるくらいの声で私に話しかけてきました。
その言葉を聞いて、周りも、またリナリーさんの虚言が出たな、と呟いています。
こんなことまでして、私を陥れたいんですかね?
すごい執着心ですが、今回は味方がいるので負けませんわ。
そう思いながら
「えぇ。また我が家に来てくださいね。母上も喜びますわ」
ルリアナ様に満面な笑みでそう言ったのだった。
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