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12話 セルドリックside
しおりを挟む最近、同じ夢を見る。
エリザベスに処刑を命じる夢だ。
その時の俺の横には顔は見えないがどこかの令嬢が隣に居て、目の前のエリザベスはその令嬢を忌々しげに睨みつけている。
なぜか妙にリアルな、自分の過去を見ているような夢だった。
「はぁ......またこの夢か」
俺の隣にいる令嬢は誰なんだ?
なぜエリザベスは処刑されるんだ?
なぜ俺はエリザベスに処刑を命じたのに笑っているんだ?
この夢が何を意味するのかわからないまま学園生活を送っていた。
エリザベスは美しくて、気が利いて、賢くて、優しくて.........
良いところはまだ沢山あるけど、キリがないから素晴らしい令嬢だと言っておこう。
そんなエリザベスが、ある日高熱を出して倒れたと報告があった。
もちろん、急いでお見舞いに行った。
大事なエリザベスに何かあったら...と考えると黙ってなどいられなかったから。
だから、エリザベスが目を覚ました時にはホッとした。
でも安心したのは一瞬で、エリザベスの様子が少しおかしいような気がした。
なんだか、少しぎこちないような......俺を警戒しているような、そんな雰囲気だ。
まだ具合が悪いのかと思ったけど、すぐにいつものエリザベスに戻ったから、とりあえず様子を見ることにした。
そして、何ヶ月か経ったときに、ふと気付いたことがある。
エリザベスはたまに俺を見て寂しそうな顔をする時がある、ということだ。
それは、ハロルドと話している時も同じだった。
なぜ?と聞きたいけど、エリザベス本人もそれに気付いていないみたいだから聞けないままでいる。
時間だけが過ぎていって、新しく転入生が来た。
顔を見た時、初めてあったはずなのに、どこかで会ったことがあるような気がしたが、すぐに気のせいだ、とその考えを消した。
その令嬢は、本当に貴族なのか?と言いたくなる令嬢だった。
まぁ、噂によると父親の浮気相手の子供だということらしいから、最近まで平民だったのは確かだけど、今はもう違うんだから考えろよ、って言いたくなる。
しかも、その令嬢はエリザベスになぜか敵対心を持っているみたいだ。
エリザベスの悪い噂が流れた時、誰が流したのか確かめるとすぐにあの令嬢にたどり着いた。
教えてくれた生徒には、代わりに、あの令嬢は虚言癖があると教えてやった。
貴族は噂が大好きだから、すぐにそれは広まるだろう。
俺の思惑通り、あの令嬢の噂が流れ始めると、今度はエリザベス本人に攻撃をし始めた。
これには流石にキレそうになったけど、もっとやらかしてくれた方が俺も行動しやすいから放置したら、母上のことを侮辱し始めたじゃないか。
あんな令嬢を放置しておけば秩序が乱れてしまう。
即刻排除するか、泳がせるか.........とりあえず父上に相談してみよう。
あぁ、それよりもエリザベスとデートの約束をしてしまったんだ!
どうしようか。まさか受けてくれるなんて思わなかったから驚いて......いや、嬉しすぎた。
あんな貴族らしくない笑顔を見せてしまって...呆れられたらどうしようか.........。
いや、でもあの後変わったことはなかったし、多分大丈夫だ!
それよりも、休日はなんの服を着ていこうか...。
平民らしい格好とか言ったものの、自分もそんな服は持っていないじゃないか!
エリザベスだって持っている訳がないのに......!
でもいつもの服を着ていたら、貴族です、と言って歩いているようなものだからな。
エリザベスを危険に晒す可能性がないとは言いきれん。
とりあえず、母上に相談して服を決めてもらおう。
エリザベスが大好きな母上のことだ。喜んで選んでくれるだろう。
そう思いながら、馬車に乗り込んだのだった。
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