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5話
しおりを挟むお願い...ですか。
まさか、セルドリック様の婚約者を変わって欲しい、とかそういうのでしょうか?
それに関しては構いませんが......でもその割には今日のルリアナ様は私に対して敵対心みたいなのが見えませんでしたわ。
一体何をお願いしたいんでしょう。
恐る恐る、ルリアナ様の願いを聞くと
「その...」
と少し言いずらそうにモジモジしていた。
......なんといいますか、今回のルリアナ様はとても可愛らしいですわ。
女の私でも守ってあげたくなるような、そんな雰囲気が出ています。
あの気の強いルリアナ様も少し懐かしい気もしますけどね。
モジモジしていたルリアナ様は覚悟を決めたのか、私の目をしっかりと見てこう前置きをした。
「あの、急にこんなこと言うなんて...本当に図々しいと思っています......でも私、本気なんです」
図々しい......やっぱり婚約のことですね。
そうですか。そんなに本気なんですね。
セルドリック様のことを。
今回のルリアナ様になら次期王妃という立場でよろしかったら喜んでお譲りしますわ。
そう心の中で決意を固めて、ルリアナ様の言葉に頷いた。
でもルリアナ様の願いは私が思っていたこととは全く違うものだった。
「私と、お友達になってもらえませんか?貴族の、というのではなく、ちゃんと信頼できるようなお友達です...っ」
そう言ってルリアナ様は私に手を差し出してきた。
ルリアナ様の顔は少し見えずらいが、赤くなっているのがわかる。相当勇気を出してくれたのか差し出した手は震えていた。
お友達......あの上辺だけのではない本当のお友達に私とルリアナ様が...?
「ルリアナ様」
私がそう呼びかけると、不安そうな顔をしたルリアナ様が私を見つめた。
お友達になりたいなんて、そんなの、断わる理由がありませんわ。
だって私はずっと前からルリアナ様と本当のお友達になりたかったんですもの。
私とルリアナ様は高位貴族に同い歳くらいの令嬢がいません。
だから、ことある事に私達はずっと比べられてきました。
親と周りが勝手に争っていたんです。
エリザベスの方が、ルリアナ様の方が、と。
でもそれがずっと嫌で嫌で仕方がありませんでした。
だって折角同い歳に生まれたのに、仲良くなることが出来ないんですもの。
学園にいても生徒達は大人たちと同様でした。
勝手に派閥を作って勝手に争って......
後処理は私たちがしなければいけないのに、それを理解してくれない。
身勝手なんです。貴族は皆。
だから、ルリアナ様なら、私のこの気持ちを唯一理解してくれる人かも、と勝手に思っていました。
でも、それとは別に、お友達になって、色んなお話をしたい、とか、一緒にお買い物とかしてみたい、とか心の中でずーっと思っていました。
だから
「私もルリアナ様とお友達になりたいです」
それ以外の言葉は私には思いつきませんわ。
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