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25話

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陛下の指示で、魔導師と呼ばれる人が何か呪文を唱えると、殿下の体が光に包まれた。

すぐに光は消えたけど、これは...魅了が解けたのかな?

というか、本当に魅了だったの?

そう思っていると、陛下が心配そうに

「どうだ?成功か?」

と魔導師に聞くと、はい、と短く頷いたのが聞こえた。

成功...っていうか、まずは実際に魅了にかかっていたのか、かかっていないのかって話じゃないの?

もう陛下は魅了にかかっているって信じて疑わないのかよ。

まぁ、殿下は明らかにおかしいこと言ってたからさ、その気持ちもわかるんだけど......。

話くらいは聞こうよってね。

呆れながら陛下を見ていると

「あれ......俺は一体何を.........?」

と殿下が呟いた声が聞こえてきた。

あ、目が覚めた...っていうか、元に戻った、かな?

殿下はキョロキョロと辺りを見渡しながら呆然としている。

あー、あのタイプじゃない?魅了にかかっていた期間の記憶がないみたいなやつ。

そう思ってたから私は

「殿下、ここ1週間の記憶はありますか?」

の聞いてみると、殿下は静かに首を振って

「それが......生徒会室にスカーレット嬢が来たところまでは覚えているんだ。その後はどうなったのかさっぱり......俺がなぜここにいるのかもわからない」

そう答えた。

あらー、これはスカーレット黒ですわ。

もう黒を通り越して真っ黒。やっちゃったなぁ......

これは死刑案件だよなぁ。

だって、国の王太子に魅了を使ってさ、操ろうとしていたって言われても仕方ないよね。

「ハルト、さっきも1度言ったがお前は魅了にかかっていたんだ」

そう陛下が説明すると

「は?魅了ですか?そんなもの、存在するんですか!?いや、それより一体誰が......」

と驚いていた。

そりゃあそうだよな。

魔導師がいる時点でもビックリなのに、魅了まであるなんて聞いたら驚いちゃうって。

殿下は少し考えた後、私とお父様がいることでスカーレットが犯人だってわかったみたい。

少し顔色をうかがいながら

「スカーレット嬢か...?」

と私に聞いてきた。

嘘つく必要も無いし普通に頷くよね。

あ、殿下がなんか複雑な表情してる。

一応婚約者の妹だからねぇ。

複雑な心境になるわ。

殿下的には私が悪くないこともわかっているからこそ、余計行き場のない怒りをどうしようって状態だよね。

いやー......うちの愚妹が本当に申し訳ないわ......。

あ、でもこれって婚約破棄するチャンスでもあるのか?

ちょっと言ってみようかなぁ......。

そんな軽い気持ちで

「あの......スカーレットのせいでこんなことになってしまって申し訳ございません。そのようなことをした者の姉との婚約なんて、世間体にも悪いので婚約を白紙に.........」

と私が言い終わる前に

「ナナリー嬢とは婚約破棄しない!」

と殿下が叫んだ。

えぇ......マジで...?
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