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24話
しおりを挟む部屋に入ってきた殿下は、なんというか...まぁ、想像通りというか。
「ナナリー!ちょうど話をしたいと思っていたんだ!貴様はスカーレットに嫌がらせをしているらしいじゃないか!」
入ってくるなりそう言われたよ。
うん。やっぱりねってしか思わなかったけど。
前までの殿下だったらスカーレットの言うことが嘘だってすぐにわかったはずなんだけどね。
王妃様は泣き崩れてるし。
陛下は
「何を言ってるんだ!ナナリー嬢は妹が好き勝手しているのを諌めているだけだ!」
と私の援護をしている。
でもそれを面白く思わなかった殿下は
「そんなことありません、父上!しかもこいつは俺とスカーレットに嫉妬して生徒会室から追い出しました!」
なんて訳のわからないことを......。
陛下は私に説明を求めるように見てるしさぁ...。
はぁ...とため息をついてから
「殿下が生徒会室にいるにも関わらず溜まっている仕事をせずにスカーレットとイチャついているから追い出しただけです。私からすれば、嫉妬、というよりかは呆れていましたね」
本当に呆れちゃったよ。
1人仕事をする人が減るだけで、こっちに回ってくる仕事の量を考えて欲しいよねぇ。
てか、生徒会の仕事すらちゃんと出来ない人が国王になれる訳ないだろ。
スカーレットとイチャつきたいならさっさと王太子を辞めろ、ってしか思ってないよ。
あぁ、もちろんこんなことを言ったら流石に不敬罪とか言われちゃうから心の中だけにとどめてるよ。
それに、魅了にかかってるせいなら殿下だけのせいには出来ないし。
私の話を聞くなり、陛下は、なんてことを...と頭を抱えてしまった。
あらまぁ、自分の息子がここまで馬鹿なことをしてるなんて思ってなかったのかな?
まだ全部は言ってないんだけど、この様子じゃ教えたらぶっ倒れちゃうね。
やめておこう。
「それで......陛下、この殿下の様子を見てどう思いましたか?」
そうお父様が聞くと、陛下は力なく頷いた。
「あぁ、息子はこんなに愚かだったのか、と思ったが魅了にかかって盲目になっているとしか思えん」
そうだよねぇ。
1週間前の殿下だったらこんな馬鹿な行動はしないし、てか言わなかったけど入ってきた時、私の事呼び捨てにしてたよね。
初めて呼び捨てにされたからビックリしちゃったよ。
誰も何も言わないから聞き間違えかと思ったくらいだよ。
殿下をチラッと見ると会話の意味がわかっていないから首を傾げている。
まぁ、黙っているだけマシな方か。
そう思っていると
「ハルトよ、お前は魅了にかかっている」
と陛下が説明し始めた。
最初は黙って聞いていた殿下だったけど、かけたのがスカーレットだとわかったら
「そんな訳がない!俺は心からスカーレットを愛している!」
と騒ぎ始めた。
そんなこと言ってもねぇ。
だって、殿下が言う言葉全てに頭の悪さが出ちゃってるんだよね。
もっと賢い人だったじゃん。明らかにおかしいよ。
陛下は殿下を睨みながら
「魅了じゃない、というなら解除した後でもスカーレット嬢の気持ちは変わらない、ということだな?」
と聞くと
「そうです!」
殿下は食い気味にそう答えた。
いや、てかその質問さ、一応婚約者の私の目の前ですることなの?
もう少し考えて欲しいよね。
なんて思っているうちに
「そうか。ならさっさと始めよう。もし、本当に変わらないのであれば、スカーレット嬢との婚約も考えてやってもいい」
「......わかりました」
勝手に話が決まってしまった。
いやいや、何を許可なく婚約者を変えるみたいな約束してんだよ。
別にいいよ!?良いんだけど、こっちに話を振るべきだろうがよ!
もしかして、陛下って頭悪いのか?
......まぁ、いいや。
とりあえず、どうなるか...これで魅了じゃなかったらスカーレットごめんねって感じだけどね。
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