25 / 41
24話
しおりを挟む部屋に入ってきた殿下は、なんというか...まぁ、想像通りというか。
「ナナリー!ちょうど話をしたいと思っていたんだ!貴様はスカーレットに嫌がらせをしているらしいじゃないか!」
入ってくるなりそう言われたよ。
うん。やっぱりねってしか思わなかったけど。
前までの殿下だったらスカーレットの言うことが嘘だってすぐにわかったはずなんだけどね。
王妃様は泣き崩れてるし。
陛下は
「何を言ってるんだ!ナナリー嬢は妹が好き勝手しているのを諌めているだけだ!」
と私の援護をしている。
でもそれを面白く思わなかった殿下は
「そんなことありません、父上!しかもこいつは俺とスカーレットに嫉妬して生徒会室から追い出しました!」
なんて訳のわからないことを......。
陛下は私に説明を求めるように見てるしさぁ...。
はぁ...とため息をついてから
「殿下が生徒会室にいるにも関わらず溜まっている仕事をせずにスカーレットとイチャついているから追い出しただけです。私からすれば、嫉妬、というよりかは呆れていましたね」
本当に呆れちゃったよ。
1人仕事をする人が減るだけで、こっちに回ってくる仕事の量を考えて欲しいよねぇ。
てか、生徒会の仕事すらちゃんと出来ない人が国王になれる訳ないだろ。
スカーレットとイチャつきたいならさっさと王太子を辞めろ、ってしか思ってないよ。
あぁ、もちろんこんなことを言ったら流石に不敬罪とか言われちゃうから心の中だけにとどめてるよ。
それに、魅了にかかってるせいなら殿下だけのせいには出来ないし。
私の話を聞くなり、陛下は、なんてことを...と頭を抱えてしまった。
あらまぁ、自分の息子がここまで馬鹿なことをしてるなんて思ってなかったのかな?
まだ全部は言ってないんだけど、この様子じゃ教えたらぶっ倒れちゃうね。
やめておこう。
「それで......陛下、この殿下の様子を見てどう思いましたか?」
そうお父様が聞くと、陛下は力なく頷いた。
「あぁ、息子はこんなに愚かだったのか、と思ったが魅了にかかって盲目になっているとしか思えん」
そうだよねぇ。
1週間前の殿下だったらこんな馬鹿な行動はしないし、てか言わなかったけど入ってきた時、私の事呼び捨てにしてたよね。
初めて呼び捨てにされたからビックリしちゃったよ。
誰も何も言わないから聞き間違えかと思ったくらいだよ。
殿下をチラッと見ると会話の意味がわかっていないから首を傾げている。
まぁ、黙っているだけマシな方か。
そう思っていると
「ハルトよ、お前は魅了にかかっている」
と陛下が説明し始めた。
最初は黙って聞いていた殿下だったけど、かけたのがスカーレットだとわかったら
「そんな訳がない!俺は心からスカーレットを愛している!」
と騒ぎ始めた。
そんなこと言ってもねぇ。
だって、殿下が言う言葉全てに頭の悪さが出ちゃってるんだよね。
もっと賢い人だったじゃん。明らかにおかしいよ。
陛下は殿下を睨みながら
「魅了じゃない、というなら解除した後でもスカーレット嬢の気持ちは変わらない、ということだな?」
と聞くと
「そうです!」
殿下は食い気味にそう答えた。
いや、てかその質問さ、一応婚約者の私の目の前ですることなの?
もう少し考えて欲しいよね。
なんて思っているうちに
「そうか。ならさっさと始めよう。もし、本当に変わらないのであれば、スカーレット嬢との婚約も考えてやってもいい」
「......わかりました」
勝手に話が決まってしまった。
いやいや、何を許可なく婚約者を変えるみたいな約束してんだよ。
別にいいよ!?良いんだけど、こっちに話を振るべきだろうがよ!
もしかして、陛下って頭悪いのか?
......まぁ、いいや。
とりあえず、どうなるか...これで魅了じゃなかったらスカーレットごめんねって感じだけどね。
84
お気に入りに追加
4,984
あなたにおすすめの小説
婚約破棄は夜会でお願いします
編端みどり
恋愛
婚約者に尽くしていたら、他の女とキスしていたわ。この国は、ファーストキスも結婚式っていうお固い国なのに。だから、わたくしはお願いしましたの。
夜会でお相手とキスするなら、婚約を破棄してあげると。
お馬鹿な婚約者は、喜んでいました。けれど、夜会でキスするってどんな意味かご存知ないのですか?
お馬鹿な婚約者を捨てて、憧れの女騎士を目指すシルヴィアに、騎士団長が迫ってくる。
待って! 結婚するまでキスは出来ませんわ!
【完結】やり直しですか? 王子はいらないんで爆走します。忙しすぎて辛い(泣)
との
恋愛
目覚めたら7歳に戻ってる。
今度こそ幸せになるぞ! と、生活改善してて気付きました。
ヤバいです。肝心な事を忘れて、
「林檎一切れゲットー」
なんて喜んでたなんて。
本気で頑張ります。ぐっ、負けないもん
ぶっ飛んだ行動力で突っ走る主人公。
「わしはメイドじゃねえですが」
「そうね、メイドには見えないわね」
ふふっと笑ったロクサーナは上機嫌で、庭師の心配などどこ吹く風。
ーーーーーー
タイトル改変しました。
ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。
32話、完結迄予約投稿済みです。
R15は念の為・・
コルセットがきつすぎて食べられずにいたら婚約破棄されました
おこめ
恋愛
親が決めた婚約者に婚約を破棄して欲しいと言われたクリス。
理由は『食べなくなった』から。
そんな理由で納得出来るかーーー!とキレつつも婚約破棄自体は嬉しい。
しかしいつものように平民街の食堂で食事をしているとそこに何故か元婚約者が!?
しかも何故かクリスを口説いてくる!?
そんなお話です。
性悪妹は、まだ知らない。姉の婚約破棄を企んでも、絶対に成功しないことを
柚木ゆず
恋愛
※1月3日、本編完結いたしました。明日(4日)からは、本編の裏側が明らかになる番外編(補完編)の投稿を始めさせていただきます。
長年双子の姉のジュリエットに嫉妬し、ジュリエットが交わしている侯爵家の嫡男テオとの婚約の破棄を企む妹のマリィ。
ある日ようやくそのための作戦が完成し、マリィはついに動き出します。しかしその時の彼女は、まだ知らないのでした。
テオはジュリエットを、マリィが思っている以上に愛していることを。
完璧なはずのその作戦は、テオがジュリエットに抱く愛の力によって台無しになってしまうことを。
妹に全てを奪われた令嬢は第二の人生を満喫することにしました。
バナナマヨネーズ
恋愛
四大公爵家の一つ。アックァーノ公爵家に生まれたイシュミールは双子の妹であるイシュタルに慕われていたが、何故か両親と使用人たちに冷遇されていた。
瓜二つである妹のイシュタルは、それに比べて大切にされていた。
そんなある日、イシュミールは第三王子との婚約が決まった。
その時から、イシュミールの人生は最高の瞬間を経て、最悪な結末へと緩やかに向かうことになった。
そして……。
本編全79話
番外編全34話
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
悪役令嬢に転生!?わたくし取り急ぎ王太子殿下との婚約を阻止して、婚約者探しを始めますわ
春ことのは
恋愛
深夜、高熱に魘されて目覚めると公爵令嬢エリザベス・グリサリオに転生していた。
エリザベスって…もしかしてあのベストセラー小説「悠久の麗しき薔薇に捧ぐシリーズ」に出てくる悪役令嬢!?
この先、王太子殿下の婚約者に選ばれ、この身を王家に捧げるべく血の滲むような努力をしても、結局は平民出身のヒロインに殿下の心を奪われてしまうなんて…
しかも婚約を破棄されて毒殺?
わたくし、そんな未来はご免ですわ!
取り急ぎ殿下との婚約を阻止して、わが公爵家に縁のある殿方達から婚約者を探さなくては…。
__________
※2023.3.21 HOTランキングで11位に入らせて頂きました。
読んでくださった皆様のお陰です!
本当にありがとうございました。
※お気に入り登録やしおりをありがとうございます。
とても励みになっています!
※この作品は小説家になろう様にも投稿しています。
逆ハーレムエンド? 現実を見て下さいませ
朝霞 花純@電子書籍化決定
恋愛
エリザベート・ラガルド公爵令嬢は溜息を吐く。
理由はとある男爵令嬢による逆ハーレム。
逆ハーレムのメンバーは彼女の婚約者のアレックス王太子殿下とその側近一同だ。
エリザベートは男爵令嬢に注意する為に逆ハーレムの元へ向かう。
よくある父親の再婚で意地悪な義母と義妹が来たけどヒロインが○○○だったら………
naturalsoft
恋愛
なろうの方で日間異世界恋愛ランキング1位!ありがとうございます!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
最近よくある、父親が再婚して出来た義母と義妹が、前妻の娘であるヒロインをイジメて追い出してしまう話………
でも、【権力】って婿養子の父親より前妻の娘である私が持ってのは知ってます?家を継ぐのも、死んだお母様の直系の血筋である【私】なのですよ?
まったく、どうして多くの小説ではバカ正直にイジメられるのかしら?
少女はパタンッと本を閉じる。
そして悪巧みしていそうな笑みを浮かべて──
アタイはそんな無様な事にはならねぇけどな!
くははははっ!!!
静かな部屋の中で、少女の笑い声がこだまするのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる